Chungara Lake and Parinacota and Pomerape volcanoes as seen from the ISS. June 2023.
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チュンガラ湖チリラウカ国立公園アルティプラーノパリナコタ火山

チュンガラ湖チリ・アンデス高地に眠る神秘の火山湖

🗓 2026年8月12日

南米チリの最北端、標高4,517メートルという極限の高さに位置するチュンガラ湖は、世界でも有数の高地湖です。アリカ・イ・パリナコタ州のアルティプラーノ(高地平原)に広がるラウカ国立公園内にあり、周囲を雄大な火山に囲まれたこの湖は、自然の驚異と繊細な生態系が共存する場所として知られています。

この湖の成り立ちは劇的です。約8,000年から17,000年前、近隣のパリナコタ火山が崩壊し、その大量の土砂がラウカ川の流れをせき止めたことで誕生しました。以来、地下への浸透量が減少したことで湖は徐々に拡大し、現在の姿となりました。

Chungara Lake and Parinacota and Pomerape volcanoes as seen from the ISS. June 2023.

Key Facts

  • 標高: 4,517メートル(世界で最も高い湖の一つ)
  • 形成原因: パリナコタ火山の崩壊による天然ダムの形成
  • 主な水源: チュンガラ川(供給量の約80%を占める)
  • 生態学的価値: 固有種の魚類(パップフィッシュ等)が生息する貴重な環境
  • 保護状況: ラウカ国立公園の一部として厳格に保護されている

地理的特徴と自然環境

チュンガラ湖は、不規則な形状をした表面積約21.5〜22.5平方キロメートルの湖です。最大水深は26〜40メートルに達し、特に北西部で深くなっています。湖の北側と西側は急峻な岸壁となっており、一方で南側と東側は緩やかな傾斜を描いています。東岸には広大な扇状地が広がり、南岸にはチュンガラ川が運んできた堆積物が蓄積しています。

周囲を囲む火山群

湖の景観を決定づけているのが、周囲にそびえる火山たちです。北側には標高6,342メートルのパリナコタ火山があり、その溶岩流が湖の北岸を形成しています。また、西側にはミオセン時代のアホヤ火山(5,293m)、東岸にはキシキシニ火山(5,516m)が位置しています。さらに南には標高6,063メートルのグアッラティリ火山がそびえ立ち、雪を頂いた山々が湖を囲む壮大なパノラマを作り出しています。

水文学的特性と気候

この湖は、出口を持たない「閉鎖湖」に近い特性を持っています。主な流入源は、グアッラティリ火山に源を発するチュンガラ川ですが、流出した水は主に蒸発によって失われるか、地下に浸透してコタコタニ湖へと流れます。水質はわずかにアルカリ性で塩分を含み、周囲のドロマイト岩の影響を受けています。

気候は非常に乾燥しており、年間の降水量は約330ミリメートルと少なめです。特筆すべきは「ボリビアの冬」と呼ばれる夏季の降雨で、アマゾンや大西洋から運ばれてきた湿気が雨をもたらします。気温の変化は激しく、日中は20度まで上がることもありますが、夜間はマイナス10度まで冷え込む厳しい環境です。

多様な生態系と固有種

厳しい環境ながら、湖の周囲には「ボフェダレス」と呼ばれる高地湿地が形成されており、ドワーフツリー(ポレレピス)や低木、タサックグラスなどの植物が自生しています。これにより、チリフラミンゴやアンデスかもめ、ムクドリガモなどの鳥類が集まる憩いの場となっています。

絶滅が危惧される固有魚類

湖の中には、世界的に見ても極めて高い標高で生存している固有種が存在します。オレスティアス・チュンガレンシス(パップフィッシュの一種)とトリコミクテルス・チュンガレンシス(ナマズの一種)の2種がその代表です。特にオレスティアスは、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されています。

しかし、1990年代以降に導入された外来種のニジマスが、これらの固有魚を捕食しており、生態系への深刻な脅威となっています。チリ政府は現在、固有種を守るためのニジマス駆除策を検討しています。

人間活動と環境保護の歴史

古くからこの地にはアイマラ人が住み、アルパカやリャマ、羊などの家畜を飼育して生活しています。「チュンガラ」という名前もアイマラ語に由来し、「苔に覆われた」あるいは神話に登場する「髭のある男」を意味すると言われています。

環境面では、1970年代に灌漑目的で湖水をアサパ渓谷へ送るポンプ計画が実施されましたが、水位の低下と生態系への悪影響が顕著になったため、すぐに中止されました。1985年にはチリ最高裁判所が、国際的な環境条約(CITESなど)を根拠に湖水の利用を禁止する判決を下し、法的にも保護されることとなりました。現在は、観光客やドライバーによるゴミの投棄が課題となっており、政府による清掃活動が行われています。

湖の基本データまとめ

チュンガラ湖の主要諸元
項目 詳細データ
標高 4,517 m
表面積 約 21.5 〜 22.5 km²
最大水深 26 〜 40 m
流域面積 260 km²
主な流入河川 チュンガラ川
主要な固有魚 Orestias chungarensis / Trichomycterus chungaraensis

Frequently Asked Questions

チュンガラ湖はどのようにしてできたのですか?

約8,000年から17,000年前、パリナコタ火山が崩壊した際に放出された大量の土砂が、当時流れていたラウカ川をせき止めたことで形成されました。

なぜこの湖は環境保護が重要視されているのですか?

世界で最も高い標高に生息する固有種の魚類など、他に類を見ない極限環境の生態系を有しているためです。また、ラウカ国立公園という保護区に指定されています。

湖の水はどこへ流れていくのですか?

明確な流出口はありません。大部分は蒸発によって失われますが、一部は地下に浸透し、近隣のコタコタニ湖へと供給されています。

現在、どのような環境問題が起きていますか?

外来種であるニジマスによる固有魚の捕食問題と、道路沿いでのゴミの投棄という2つの大きな課題に直面しています。

「ボリビアの冬」とは何ですか?

夏季にアマゾンや大西洋から湿った空気が運ばれてくる現象のことで、この時期にチュンガラ湖周辺にまとまった降水がもたらされます。

References

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