中国の国家航天局(CNSA)が主導する中国探月工程は、ロボットによる無人探査から始まり、最終的に人類を月面に到達させることを目指す壮大な宇宙開発プロジェクトです。このプログラムのシンボルは、月を意味する漢字の「月」を模した三日月と、その中心に刻まれた2つの足跡で構成されており、月への到達という強い意志を象徴しています。
2004年に始動して以来、中国は段階的なアプローチを採用し、着実に技術的なハードルを乗り越えてきました。軌道周回から着陸、そしてサンプル回収へとステップを上げることで、リスクを最小限に抑えながら成功率を高める戦略をとっています。

Key Facts
- 主導機関: 中国国家航天局(CNSA)
- 運用期間: 2004年1月23日から現在まで継続中
- ミッション実績: これまでに9回のミッションをすべて成功させている
- 使用ロケット: 長征(Long March)シリーズ
- 最終目標: 2030年までの有人月面着陸と、その後の国際月面研究ステーションの構築
探査プログラムの構造と進展
中国の月探査は、大きく分けて4つの無人探査フェーズと、その後の有人探査フェーズで構成されています。
第1〜第3フェーズ:基礎構築とサンプル回収
初期の第1フェーズでは、「嫦娥1号」と「嫦娥2号」による月周回ミッションが行われ、月の表面を詳細に観測しました。続く第2フェーズでは、月面へのソフトランディング(軟着陸)に挑戦し、「嫦娥3号」や、月面車「玉兔(ぎょくと)」を投入。さらに「嫦娥4号」では、人類史上初となる月の裏側への着陸を実現しました。
第3フェーズでは、高度な技術を要するサンプルリターン(月面からの試料回収)に重点が置かれました。「嫦娥5号」は月面から土壌サンプルを採取し、地球へ持ち帰ることに成功しています。
第4フェーズから有人飛行へ
現在は第4フェーズにあり、月面ロボット研究ステーションの構築に向けた準備が進んでいます。「嫦娥6号」によるミッションなどが含まれ、さらなる科学的知見の収集が行われています。2026年には「嫦娥7号」、2028年には「嫦娥8号」による月面調査が計画されており、これらは将来の有人ミッションの布石となります。
そして2029年から2030年にかけて、新型の長征10号ロケットを用い、ついに人類を月面に送り込む有人ミッションが予定されています。2035年以降は、国際的な協力体制による月面基地の運用と活用を目指しています。
ミッション履歴と今後の計画
これまでの主要なミッションと、今後予定されている計画を以下の表にまとめます。
| ミッション名 | 打ち上げ年 | 主な目的・成果 | ステータス |
|---|---|---|---|
| 嫦娥1号 | 2007年 | 月周回観測 | 成功 |
| 嫦娥2号 | 2010年 | 月周回観測 | 成功 |
| 嫦娥3号 | 2013年 | 月面軟着陸・月面車投入 | 成功 |
| 嫦娥4号 | 2018年 | 月裏面への初着陸 | 成功(運用中) |
| 嫦娥5号 | 2020年 | 月面サンプル回収・帰還 | 成功 |
| 嫦娥6号 | 2024年 | 月裏面サンプル回収 | 成功 |
| 嫦娥7号 | 2026年(予定) | 月面詳細調査 | 計画中 |
| 嫦娥8号 | 2028年(予定) | 月面詳細調査 | 計画中 |
| 有人ミッション | 2029-30年(予定) | 人類の月面着陸 | 計画中 |
核心となる技術と国際協力
これらのミッションを成功させるため、中国は複数の重要技術を開発してきました。遠距離からの追跡・指令・制御(TT&C)や、過酷な月環境への適応能力、精密な軌道設計と飛行シーケンス制御、そして着陸時の危険回避システムなどが挙げられます。
また、自国のみならず国際的な連携も重視しており、特にロシアとの協力関係を通じて、月および深宇宙探査の推進を図っています。
Frequently Asked Questions
中国の月探査プログラムの最終的な目標は何ですか?
短期的には2030年までの有人月面着陸であり、長期的には2035年以降に国際的な月面研究ステーションを構築し、持続的な月面活動を展開することを目指しています。
「嫦娥4号」の特筆すべき成果は何ですか?
世界で初めて月の裏側に探査機を着陸させたことです。裏面は地球から直接通信ができないため、中継衛星「鵲橋(Queqiao)1号」を運用することで通信を可能にしました。
サンプルリターンとは具体的にどのようなミッションですか?
月面に降り立った探査機が、月面の土壌や岩石などの試料を採取し、それを再び宇宙船に乗せて地球まで持ち帰る高度なミッションです。嫦娥5号や嫦娥6号がこれに当たります。
有人飛行にはどのロケットが使用される予定ですか?
2029年から2030年に予定されている有人月面着陸ミッションでは、長征10号(Long March 10)ロケットの使用が計画されています。
References
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