2020年10月25日、チリでは国の根幹となる憲法の刷新を問う歴史的な国民投票(プレビシト)が実施されました。この投票は、単なる法的な手続きではなく、2019年にサンティアゴで120万人以上が参加した「チリ最大規模のデモ」に代表される激しい社会抗議運動への政治的な回答として行われたものです。
国民は、現在の憲法に代わる新しい憲法を策定すべきか、そして策定する場合にどのような組織がそれを担うべきかという2つの重要な問いに直面しました。

Key Facts
- 新憲法策定への賛成率: 78.28%という圧倒的な支持で承認されました。
- 策定機関の選択: 約79%の有権者が、直接選挙で選ばれた市民のみで構成される「憲法制定会議」を支持しました。
- 投票率: 有権者の51%が投票に参加しました。
- 背景: 2019年の大規模な社会不安と抗議活動が直接的な契機となりました。
- その後の展開: 2021年に制定会議メンバーが選出され草案が作成されましたが、2022年9月の国民投票でその草案は否決されました。
投票の背景とスケジュールの変更
この国民投票は、社会的な不平等や制度への不満が爆発した2019年の抗議デモを受けて計画されました。当初は2020年4月26日に実施される予定でしたが、世界的に拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響を受け、議会は日程を10月25日に延期することを決定しました。
この日程変更に伴い、大統領による憲法改正の公布と官報への掲載という法的手続きが行われ、民主的なプロセスを維持しつつ公衆衛生上のリスクを回避する措置が取られました。

投票内容と詳細な結果
有権者は、以下の2つの設問に対して回答しました。
設問1:新しい憲法を策定することを望むか?
結果は「承認(Approve)」が78.31%、「拒否(Reject)」が21.69%となり、国民の大多数が現状の憲法を刷新することを強く望んでいることが明確になりました。
設問2:どのような組織が新憲法を執筆すべきか?
ここでは、現職の国会議員と直接選挙で選ばれた市民が半々で構成される「混合会議(Mixed Convention)」か、あるいは直接選挙で選ばれた市民のみで構成される「憲法制定会議(Constitutional Convention)」かの選択が求められました。結果は、後者の「憲法制定会議」が79.18%という圧倒的な支持を集めました。

政治勢力の動向と世論
この投票に向けて、チリの政治地図は大きく分かれました。「承認」派には、社会主義党(PS)や広範戦線(Broad Front)、共産党(PC)などの左派・中道左派に加え、一部の右派勢力も含まれていました。一方で「拒否」派は、共和党(PREP)や新時代(NT)、および右派連合チレ・バモス(Chile Vamos)の一部勢力が中心となりました。
事前の世論調査では、新憲法策定への支持は一貫して高く推移していましたが、策定機関の選択については、時期によって混合会議への支持が変動するなど、議論が分かれる場面も見られました。
投票結果まとめ
| 項目 | 選択肢 | 得票数 | 得票率 |
|---|---|---|---|
| 新憲法策定の是非 | 承認 (Approve) | 5,899,683 | 78.31% |
| 拒否 (Reject) | 1,634,506 | 21.69% | |
| 策定機関の選択 | 憲法制定会議 | 5,673,793 | 79.18% |
| 混合会議 | 1,492,260 | 20.82% |
Frequently Asked Questions
なぜ2020年に国民投票が行われたのですか?
2019年にチリ全土で発生した大規模な社会抗議運動への対応として、政治体制の根本的な見直しと、国民の意思を反映した新しい憲法の策定が必要と判断されたためです。
「憲法制定会議」と「混合会議」の違いは何でしたか?
憲法制定会議は、直接選挙で選ばれた市民のみで構成される組織です。対して混合会議は、現職の国会議員と直接選挙で選ばれた市民が半分ずつで構成される仕組みを指していました。
投票の結果、その後どうなったのでしょうか?
国民の意思により、2021年に直接選挙でメンバーが選出された憲法制定会議が新憲法の草案を作成しました。しかし、2022年9月に行われた別の国民投票において、その草案は最終的に否決されました。
パンデミックは投票にどのような影響を与えましたか?
新型コロナウイルスの流行により、当初2020年4月に予定されていた投票日が10月25日まで延期されました。これに伴い、法的な日程変更のための憲法改正が行われました。
References
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