英国空軍・海軍航空隊の第二次世界大戦期運用機一覧

第二次世界大戦中、イギリスの空を守り、また世界各地で作戦を展開した航空機は多岐にわたります。英国空軍(RAF)、海軍航空隊(FAA)、陸軍航空隊(AAC)、そして民間航空会社である英国海外航空(BOAC)は、自国製の傑作機のみならず、同盟国から導入した機体も含め、多様な機材を運用しました。

本記事では、当時の航空戦力を役割別に整理し、戦況に応じて進化していった英国の航空機ポートフォリオを概観します。

Key Facts

  • 多角的な運用体制:RAF(空軍)だけでなく、FAA(海軍)やBOAC(民間)が軍事作戦に深く関与した。
  • 技術的転換点:戦争後半にはグロスター・ミーティアなどのジェット機が登場し、航空史の転換期を迎えた。
  • 多様な調達源:スピットファイア等の国産機に加え、北米製(ムスタング、リパブリック P-47等)を積極的に導入した。
  • 特殊作戦の展開:輸送機だけでなく、エアスピード・ホーサなどの大型グライダーによる空挺作戦も実施された。

制空権を担った戦闘機と攻撃機

英国の防空の象徴であるスーパーマリン・スピットファイアやホーカー・ハリケーンは、初期の防空戦で決定的な役割を果たしました。その後、高高度迎撃や夜間戦闘のニーズが高まると、デ・ハビランド・モスキートのような高速機や、ブリストル・ボーファイターなどの強力な武装を備えた機体が投入されました。

また、海軍航空隊(FAA)では、空母運用が可能なシーファイアや、米国のグラマン社製ヘルキャット、ヴォート・コルセアなどが艦隊防空の主軸となりました。

Supermarine Spitfire Mk.II

夜間戦闘と特殊迎撃

夜間戦闘機としては、モスキート NF.IIやダグラス・ハボックなどが運用され、レーダー技術の向上とともに夜間の防空能力を強化しました。

de Havilland Mosquito NF.II night fighter

爆撃能力と対地・対艦攻撃

戦略爆撃の主役となったのは、アブロ・ランカスターやハンドリー・ページ・ハリファックスといった大型四発機です。これらはドイツ本土への夜間爆撃作戦において中核を担いました。

Formation of Avro Lancaster Mk.Is

一方、海軍航空隊では、フェアリー・ソードフィッシュのような魚雷爆撃機が、伝統的な攻撃手法で敵艦隊に打撃を与えました。また、陸軍協力機としてウェストランド・ライサンダーなどが偵察や連絡任務に従事しました。

Fairey Swordfish torpedo bomber

海上哨戒と沿岸防備

大西洋の航路を守るため、沿岸航空司令部は広大な海域を監視しました。ショート・サンダーランドのような大型飛行艇や、コンソリデーテッド・リベレーターが、Uボート対策や救難活動に投入され、「大西洋の空白地帯」を埋める重要な役割を果たしました。

Coastal Command Short Sunderland
Coastal Command Consolidated Liberator, the type that closed the Mid-Atlantic gap

訓練機および輸送・連絡機

膨大な数のパイロットを育成するため、デ・ハビランド・タイガーモスやノースアメリカン・ハーバードなどの訓練機が大量に運用されました。また、人員や物資の輸送には、ダグラス・ダコタやアブロ・ヨークなどが活用され、戦域を越えた迅速な展開を可能にしました。

Avro Anson trainer
North American Harvard Mk.I
Avro York - LV633 Ascalon, Churchill's personal aircraft.

輸送機の運用実績(代表例)

以下に、当時運用されていた主要な輸送・連絡機の概要をまとめます。

主要輸送・連絡機の運用概要
機体名 導入年 運用組織 主な特徴
ダグラス・ダコタ 1942年 RAF, BOAC 1,900機以上が導入された汎用輸送機
アブロ・ヨーク 1944年 RAF チャーチルの専用機としても使用
ハンドリー・ページ・ハリファックス 1940年 RAF 爆撃機からの転用を含む多目的運用
デ・ハビランド・モスキート 1941年 BOAC等 高速性能を活かした特殊輸送

実験機と次世代への挑戦

戦争末期、英国はジェット時代の幕開けを迎えました。グロスター E.28/39のような試験機を経て、実用ジェット戦闘機であるグロスター・ミーティアが誕生しました。また、飛行翼機やカナード翼などの前衛的な設計試験も行われ、戦後の航空機開発の基礎が築かれました。

Gloster E.28/39 jet engine testbed

Frequently Asked Questions

英国空軍は自国製以外の機体も使用していましたか?

はい。北米製のムスタングやリパブリック・サンダーボルト、ダグラス・ダコタなど、多くの米国製機体を導入し、戦力として組み込んでいました。

海軍航空隊(FAA)の主な役割は何でしたか?

主に空母からの艦隊防空、敵艦への魚雷攻撃、および海上哨戒任務を担っていました。フェアリー・ソードフィッシュやグラマン製機体がその代表です。

輸送機として特に重要だった機体は何ですか?

汎用性の高いダグラス・ダコタが非常に重要であり、大量に導入されました。また、政府要人の移動にはアブロ・ヨークなどが使用されました。

ジェット機の導入はいつ頃から始まったのでしょうか?

戦争後半にグロスター E.28/39などの試験機が登場し、その後、実戦的なジェット戦闘機としてグロスター・ミーティアが運用されました。

グライダーはどのような目的で使われましたか?

エアスピード・ホーサなどの大型グライダーは、兵員や重装備を敵陣深くへ静かに輸送するための空挺作戦に使用されました。