Example of a Business Process Model and Notation for a process with a normal flow
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BPMN(ビジネスプロセスモデル表記法)による業務プロセスの可視化と標準化

🗓 2026年8月13日

複雑なビジネスプロセスを正確に記述し、組織全体で共有することは、業務効率化の第一歩です。BPMN(Business Process Model and Notation)は、ビジネスプロセスの仕様を定義するための世界的な標準グラフィカル表記法です。この手法を用いることで、現場のビジネスユーザーからシステムの開発エンジニアまで、異なる役割を持つステークホルダーが共通の言語でプロセスを理解できるようになります。

もともとはBPMI(Business Process Management Initiative)によって開発されましたが、2005年にObject Management Group(OMG)に統合され、現在はOMGが管理しています。2011年にリリースされたバージョン2.0では、単なる図解だけでなく「実行セマンティクス(実行上の意味論)」が導入され、図面から直接実行可能な形式へのマッピングが可能となりました。また、国際標準規格であるISO 19510としても認定されています。

Key Facts

  • 共通言語の提供: ビジネスアナリスト、開発者、マネージャーが同一の理解を持つための標準表記法である。
  • 実行可能性: BPMN 2.0以降、BPELなどの実行言語へのマッピングが可能になり、自動化への道が開かれた。
  • 広範な適用範囲: 内部プロセス(プライベート)から組織間の連携(コラボレーション)まで幅広くモデル化できる。
  • 国際標準: OMGによって維持され、ISO 19510として標準化されている。

BPMNの目的と設計思想

BPMNの最大の目的は、直感的な理解しやすさと、複雑なプロセスを厳密に表現できる能力を両立させることです。UML(Unified Modeling Language)のアクティビティ図に似たフローチャート形式を採用しており、専門知識がないユーザーでも流れを把握しやすく、同時に技術者が実装に必要な詳細情報を抽出できる設計になっています。

これにより、ビジネス設計とシステム実装の間に生じがちな「コミュニケーションギャップ」を最小限に抑えることが可能です。また、BPMNの考え方を応用し、ケース管理に特化したCMMNや、意思決定プロセスに特化したDMNといった関連規格も展開されています。

Example of a Business Process Model and Notation for a process with a normal flow

BPMNを構成する基本要素

BPMNでは、限られた種類のグラフィカル要素を組み合わせて図を作成します。これにより、誰が書いても同じ意味として解釈される再現性が確保されます。主要な要素は以下の4つのカテゴリーに分類されます。

1. フローオブジェクト(Flow Objects)

プロセスの主要な動作を定義する要素です。

  • イベント(Event): プロセスの中で「起こること」を指し、円形で表現されます。開始イベント(トリガー)、中間イベント、終了イベント(結果)の3種類があり、メッセージやタイマーなどのアイコンで詳細を区別します。
  • アクティビティ(Activity): プロセスの中で「行うこと」を指し、角丸の長方形で表現されます。単一の作業である「タスク」と、内部にさらに詳細なフローを持つ「サブプロセス」に分かれます。また、すべて完了しなければならない「トランザクション」や、共通プロセスを再利用する「コールアクティビティ」も存在します。
  • ゲートウェイ(Gateway): 分岐や合流を制御するひし形で表現されます。1つの経路のみを選択する「排他的(Exclusive)」、複数の経路を同時に進む「並列(Parallel)」、条件に応じて複数を選択する「包含的(Inclusive)」などがあります。

2. 接続オブジェクト(Connecting Objects)

要素同士をどのようにつなぐかを定義します。

  • シーケンスフロー: 同一プロセス内での実行順序を示す実線です。
  • メッセージフロー: 異なる組織やプール間でのやり取りを示す点線です。
  • アソシエーション: 情報や注釈を要素に結びつける線です。

3. スイムレーン(Swimlanes)

責任分担を明確にするための枠組みです。

  • プール(Pool): 組織や主要な参加者を表現する大きな枠です。
  • レーン(Lane): プール内部をさらに分割し、部署や役割(ロール)を区別します。

4. アーティファクト(Artifacts)

フローに付随する追加情報を表現します。

  • データオブジェクト: プロセスで必要となる、または生成される情報を定義します。
  • グループ・注釈: 図の理解を助けるための視覚的なグループ化やメモ書きです。

プロセスのモデル化における3つの視点

BPMNでは、記述したい内容に応じて以下の3つのサブモデルを使い分けます。

BPMNサブモデルの比較
モデルタイプ 概要 主な特徴
プライベートプロセス 組織内部の完結したフロー 単一のプール内で完結し、外部へのメッセージ送信のみを記述する。
パブリックプロセス 外部から見たインターフェース 内部の詳細は隠し、外部とのやり取り(メッセージ)のみを抽出して表現する。
コラボレーション 複数組織間の相互作用 複数のプールを配置し、プール間をメッセージフローで結んで連携を表現する。

他表記法との比較と認定資格

BPMNは、他のモデリング手法と比較して効率的な記述が可能です。例えば、EPC(イベント駆動プロセスチェーン)と比較した場合、BPMNはシンボルの数は多いものの、同じプロセスを表現するのに必要な要素数を約40%削減できるという研究結果があり、可読性に優れています。また、UMLアクティビティ図とも親和性が高く、同様のプロセスをモデル化できます。

専門性を証明するための資格として、OMGが提供するOCEB(OMG Certified Expert in BPM)があります。これはBPMN 2を中心とした資格で、基礎から高度な技術レベルまで5段階の認定レベルが設けられています。また、ABPMPが提供するCBPAやCBPPといった、BPM全般の専門知識を問う認定資格も業界で認められています。

Frequently Asked Questions

BPMNでデータフロー図(DFD)を作成できますか?

いいえ、BPMNはビジネスプロセスの「流れ」を記述するためのものであり、データフロー図ではありません。データオブジェクトを用いて情報の関連付けは可能ですが、データの詳細な構造や変換を定義する目的には適していません。

BPMN 2.0で最も重要な変更点は何ですか?

最大の変更点は、表記法に「実行セマンティクス」が導入されたことです。これにより、作成した図面が単なるドキュメントではなく、BPELなどの実行言語に変換してシステムで自動実行させることが可能になりました。

サブプロセスとタスクの違いは何ですか?

タスクはそれ以上分解できない最小単位の作業(アトミックな活動)を指します。一方、サブプロセスは内部にさらに複数のタスクやイベントを含む複合的な活動であり、詳細を隠したり(折りたたみ)、展開して表示したりすることができます。

BPMNを学ぶための推奨される資格はありますか?

BPMNの標準仕様を深く理解し、品質の高いモデルを作成したい場合は、OMGが提供するOCEB認定資格の取得が推奨されます。また、BPM全般のキャリアを構築したい場合は、ABPMPのCBPAやCBPPも有効な選択肢となります。

References

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