Augite, tillamook
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輝石の一種「輝石(Augite)」の特性と地質学的役割

🗓 2026年8月10日

地球上の多くの岩石を構成する重要な鉱物の中に、輝石(Augite)があります。この鉱物は、特に火成岩において非常に一般的であり、地質学的な履歴を解明するための重要な鍵を握っています。ギリシャ語で「輝き」を意味する言葉に由来するその名の通り、一部の標本は美しい光沢を放ちますが、実際には地殻の深い場所で形成される質実剛健な造岩鉱物です。

Key Facts

  • 分類:単斜晶系に属する単鎖状のイノシリケート(連鎖状珪酸塩鉱物)である。
  • 主要成分:カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム、チタンなどを含む複雑な組成を持つ。
  • 産出:玄武岩や斑れい岩などの苦鉄質火成岩に不可欠な成分として含まれる。
  • 特徴的な劈開:約87度(ほぼ直角)で交差する2方向の明瞭な劈開を持つ。
  • 地質学的価値:カルシウム含有量の変化から、岩石が経験した温度履歴を推定できる。

輝石(Augite)の化学的・構造的性質

輝石は、輝石グループの中の単斜輝石(クリノパイロキシン)亜群に分類されます。化学式は (Ca,Na)(Mg,Fe,Al,Ti)(Si,Al)₂O₆ と表され、ディオプサイドやヘデンベルガイトといった端成分を持つ固溶体としての性質を持っています。また、アルミニウムやチタン、ナトリウムなどの元素も多く含まれるのが特徴です。

結晶構造は単斜晶系で、一般的には短く太い柱状の結晶として現れますが、針状や樹枝状の形態をとることもあります。物理的な硬度はモース硬度で5.5から6であり、脆い性質を持っています。

Euhedral crystal of augite from Teide (4.4 x 3.0 x 2.3 cm)

視覚的特徴と識別方法

外観は黒色、褐色、緑色、あるいは紫褐色など、暗い色調が主流です。光沢はガラス光沢から樹脂光沢、あるいは鈍い光沢まで幅広く、条痕色は緑白色を示します。透明度は透明から不透明まで様々です。

専門的な識別においては、2方向の良好な劈開(へきかい:特定の方向に割れやすい性質)が決定的な指標となります。この2つの面が成す角度は約87度であり、これが輝石グループを識別する大きな特徴となっています。

Augite, tillamook

地質学的な分布と形成環境

輝石は、主に苦鉄質火成岩(玄武岩や斑れい岩など)や超苦鉄質岩に不可欠な構成鉱物として存在します。また、高温の変成岩である苦鉄質グラニュライトや、変成した鉄鉱層の中にも見られます。共生鉱物としては、斜長石(ラブラドライト)、カンラン石、角閃石などが一般的です。

特に興味深いのは、輝石が持つ「温度計」としての機能です。輝石とピジョン輝石や斜方輝石との間には、温度と圧力によって混ざり合う割合が変わる「混和隙間」が存在します。そのため、岩石中のカルシウム含有量を分析することで、その岩石がどのような温度履歴を経て冷却されたかを再構築することが可能です。

具体的な産地としては、アメリカ・オレゴン州のティラムックなどが知られており、火山灰凝灰岩の中に黒く光沢のある美しい単斜晶の結晶が含まれている標本が見つかります。

輝石の物理的・光学的な詳細データ

輝石(Augite)の主要特性まとめ
項目 詳細内容
結晶系 単斜晶系 (Monoclinic)
化学組成 (Ca,Na)(Mg,Fe,Al,Ti)(Si,Al)₂O₆
モース硬度 5.5 〜 6
比重 3.19 〜 3.56
劈開角 約87度
屈折率 (n) α: 1.680–1.735 / β: 1.684–1.741 / γ: 1.706–1.774

Frequently Asked Questions

輝石(Augite)にはどのような産業的利用価値がありますか?

残念ながら、輝石に特筆すべき工業的または経済的な用途はありません。主に地質学的な研究や標本としての価値に限定されています。

輝石と他の輝石グループとの見分け方は?

最も顕著なのは劈開角です。輝石グループはほぼ直角(約87度)に割れる特徴がありますが、これは他の珪酸塩鉱物と区別する際の重要なポイントになります。

なぜ「輝石」という名前がついたのですか?

ギリシャ語で「輝き」を意味する「augites」に由来しています。多くの標本は暗い色で鈍い光沢ですが、一部の標本に見られる強い光沢から名付けられました。

どのような岩石の中で見つけることができますか?

玄武岩や斑れい岩などの苦鉄質火成岩に非常に多く含まれています。また、高温で変成した岩石の中にも出現します。

温度履歴の推定にどのように役立つのですか?

輝石に含まれるカルシウムの量は、周囲の温度によって変化します。冷却過程でピジョン輝石などが薄い層(ラメラ)として分離して出てくる現象などを分析することで、過去の温度変化を推定できます。

References

  1. Warr, L.N. (2021). "IMA–CNMNC approved mineral symbols". Mineralogical Magazine. 85 (3): 291–320. :2021MinM...85..291W. :10.1180/mgm.2021.43.  235729616.
  2. Handbook of Mineralogy
  3. Augite on Mindat.org
  4. Webmineral data for Augite
  5. Klein, Cornelius; Hurlbut, Cornelius S. Jr. (1993). Manual of mineralogy : (after James D. Dana) (21st ed.). New York: Wiley. pp. 481–482.  .
  6. Nesse, William D. (2000). Introduction to mineralogy. New York: Oxford University Press. pp. 268–269.  .

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Euhedral crystal of augite from Teide (4.4 x 3.0 x 2.3 cm)