1969年、人類が初めて月面に降り立った歴史的なミッション「アポロ11号」。この旅の目的は科学的な探査だけではありませんでした。彼らは、地球という惑星の代表として、世界中の人々からの平和と友好の願いを込めた特別なメッセージを月へと運びました。
Key Facts
- 正体:世界73カ国の指導者らによるメッセージを刻んだシリコン製のディスク。
- サイズ:直径が50セント硬貨ほどの小型ディスク。
- 技術:元の書簡を200分の1に縮小し、シリコンウェハーにエッチング(化学的に表面を削ってパターンを形成する技術)して記録。
- 設置場所:月面の「静かの海」にあるアルミニウム製のケースの中。
地球の声を刻んだ超小型ディスクの正体
アポロ11号の宇宙飛行士が月面に残したのは、シリコンで作られた小さな円盤です。ここには、世界73カ国のリーダーたちから寄せられた親善の言葉が凝縮されています。また、NASAのトップマネジメントや過去の管理者、さらにはNASAに関連する法案を扱う米議会の下院・上院の4つの委員会メンバーの名前も併せて刻まれました。
ディスクの最上部には「アポロ11号の宇宙飛行士によって月へ運ばれた、世界中からの親善メッセージ」という一文が記されており、縁の部分には「地球惑星より 1969年7月」という言葉が添えられています。

最先端技術による記録プロセス
この膨大なメッセージを小さなディスクに収めるため、当時の高度な技術が投入されました。まず、NASAのトーマス・O・ペイン局長が米国国務省に提案し、世界各国の指導者にメッセージを要請しました。集まった書簡はマサチューセッツ州バーリントンのGCA社に送られ、そこで縮小カメラを用いて、すべてのメッセージと縁の文字を含むネガ・フォトマスクが作成されました。
その後、このマスクはノースアダムスのスプラグ・エレクトリック社に渡され、シリコンウェハー上にイメージが転写され、エッチング処理によって永久的に記録されました。結果として、元のサイズから200分の1にまで縮小された「超マイクロフィッシュ」形式の記録となったのです。
月面への設置:緊迫した船外活動のひととき
この親善ディスクは、バズ・オルドリン飛行士の宇宙服の肩ポケットにあるパッケージに、他の記念品と共に保管されていました。船外活動(EVA)の締めくくりとして、月着陸船「イーグル」のハシゴを登っていた際、ニール・アームストロング飛行士からパッケージの存在を思い出させられたオルドリン飛行士は、それを月面に静かに置きました。
その後、地球の管制センター(ヒューストン)から確認が求められ、ディスクが確実に設置されたことが報告されました。現在、このディスクはアルミニウム製のケースに守られ、静かの海に安置されています。
アポロ11号ミッション概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 乗組員 | ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、マイケル・コリンズ |
| 使用宇宙船 | 司令船コロンビア、月着陸船イーグル |
| 着陸地点 | 静かの海(トランキリティベース) |
| 回収船 | ヘリコプター66、USSホーネット |
Frequently Asked Questions
ディスクには具体的に誰のメッセージが書かれていますか?
世界73カ国の指導者によるメッセージのほか、NASAの現職および過去の管理者、そしてNASAに関連する立法を担う米議会の上院・下院の委員会のリーダーたちの名前が刻まれています。
どのような方法で文字を記録したのですか?
縮小カメラで作成したフォトマスクを使用し、シリコンウェハーにパターンをエッチングする手法が用いられました。これにより、元の書簡を200分の1という極小サイズに凝縮して記録することが可能になりました。
ディスクは月面のどこにありますか?
月面の「静かの海」と呼ばれる地域に、アルミニウム製の保護ケースに入った状態で置かれています。
誰がこのアイデアを提案したのですか?
当時のNASA局長であったトーマス・O・ペインが米国国務省に提案し、世界各国のリーダーへメッセージを募る調整を行いました。