イングランド、ノーフォーク州のノリッジ市中心部に位置していたアングリア・スクエアは、半世紀以上にわたり地域の商業拠点として機能してきました。1970年にオープンしたこの施設は、当時の大胆な都市計画の象徴でしたが、時代の変遷とともにその役割を終え、現在は大規模な再開発に向けた解体プロセスへと移行しています。
もともとは屋外の広場でしたが、20世紀後半にガラスとスチール製の屋根が設置され、雨を避けて買い物を楽しめる構造となりました。赤レンガとコンクリートを多用したブルータリズム(機能性を重視し、素材の質感をそのまま活かす建築様式)スタイルが特徴的なこのエリアは、隣接する政府刊行物局(HMSO)の旧庁舎であるソブリン・ハウスと共に、戦後の近代化を象徴する景観を作り出していました。

Key Facts
- 運営期間:1970年7月オープン、2025年11月に閉鎖。
- 設計・開発:Alan Cooke & Partnersが担当。
- 建築様式:コンクリートと赤レンガを用いたブルータリズム様式。
- 今後の計画:解体後、1,000戸以上の住宅、店舗、オフィスを建設予定。
- 所有権の変遷:投資会社を経て、2024年12月にノリッジ市議会が買収。
歴史的背景:サクソン時代から戦後復興まで
アングリア・スクエアが位置する場所は、古くからノリッジの歴史が刻まれた地です。サクソン時代には、現在のボトルフ・ストリートや駐車場のあたりに防衛用の堀が築かれていました。また、19世紀には喪服に用いられる生地を製造するクレープ工場が建てられていた場所でもあります。
大きな転換点となったのは第二次世界大戦中の1942年です。「ベーデカー空襲」によりこの地域は甚大な被害を受け、戦後の都市再開発に適した土地と見なされました。1945年に策定された「ノリッジ計画」に基づき、市中心部を囲む環状道路(インナー・リンク・ロード)の整備が進められ、その過程で1646年建立のパブ「キングス・アームズ」や、ジョージ王朝・ヴィクトリア朝時代の歴史的建造物が数多く取り壊されました。
施設概要と地域の文化
アングリア・スクエアは、単なるショッピングセンター以上の役割を果たしていました。1階部分にはディスカウントスーパーや個人商店、チェーン店が軒を連ね、屋根付きの広場では露店が賑わいを見せていました。
特に象徴的だったのが、1971年にオープンしたオデオン・シネマです。コンクリートの基盤の上に建てられたこの映画館は、後にハリウッド・シネマズチェーンの一部となりました。2013年には、地元ならではのキャンペーン「レスタースクエアではなくアングリア・スクエアで」という機運が高まり、映画『Alan Partridge: Alpha Papa』の世界プレミア上映が行われたことでも知られています。映画館は2019年に閉館しました。

また、センターの西端に位置するソブリン・ハウスは、1969年にオープンしたHMSO(政府刊行物局)の建物であり、アングリア・スクエアの建築群と一体となって地域のランドマークとなっていました。

混迷した再開発計画と最終的な解体へ
2000年代後半から、このエリアの近代化を目指す「カルバート・スクエア」計画などが浮上しましたが、2008年の世界金融危機(クレジットクランチ)の影響で規模が縮小されました。その後、2014年に投資会社スレッドニードル・インベストメンツが750万ポンドで買収し、ウェストン・ホームズ社と共に再開発を模索しました。
2018年頃には、20階建てのタワーを含む1,200戸の住宅建設案が提出されましたが、景観への影響を懸念する歴史的建造物保護団体やノリッジ大聖堂などの強い反対に遭い、計画は二転三転しました。2023年には市議会から承認を得たものの、2024年2月に開発業者がプロジェクトから撤退し、計画は白紙となりました。
最終的に、2024年12月にノリッジ市議会がホームズ・イングランドからの助成金を用いて施設を買い戻しました。これにより、2025年11月に施設が閉鎖され、同年から解体工事が開始されました。2026年2月からは、工事スペース確保のために一部の道路が6週間にわたり閉鎖されるなど、本格的な撤去作業が進められています。

アングリア・スクエア概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | イングランド、ノーフォーク州ノリッジ |
| 運用期間 | 1970年7月 〜 2025年11月 |
| 設計者 | Alan Cooke & Partners |
| 建築スタイル | ブルータリズム(赤レンガ・コンクリート) |
| 主要施設 | 小売店、露店、オデオン・シネマ(2019年閉館) |
| 今後の用途 | 1,000戸以上の住宅、商業施設、オフィス |
Frequently Asked Questions
アングリア・スクエアが解体される理由は何ですか?
老朽化したブルータリズム建築の更新と、住宅不足の解消、および市中心部の活性化を目的とした大規模な再開発計画に基づいているためです。
解体後にどのような施設が建設される予定ですか?
1,000戸を超える新しい住宅のほか、現代的な小売店やオフィススペースが整備される計画となっています。
ソブリン・ハウスとはどのような建物でしたか?
1969年にオープンした旧政府刊行物局(HMSO)の庁舎で、アングリア・スクエアの西側の境界を形成していた建物です。現在は空き状態で、同様に解体される予定です。
再開発計画が何度も変更されたのはなぜですか?
高層タワーの建設案が地域の景観を損なうとして、歴史的建造物保護団体や教会などの強い反対を受けたことや、開発業者の撤退、経済状況の変化などが影響しました。
この場所にはもともと何がありましたか?
サクソン時代の防衛堀や、19世紀にはクレープ生地の工場がありました。また、第二次世界大戦中の空襲で多くの建物が破壊された後、戦後の都市計画によって現在の形になりました。
References
- Anglia Square Archived October 31, 2008, at the Retrieved 5 September 2008
- The Norwich Society Archived October 31, 2008, at the Retrieved 5 September 2008
- Evening News report Archived 28 May 2021 at the Retrieved 9 June 2014
- BBC News Retrieved 11 June 2021
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- "Norwich Anglia Square plan approved by city council". BBC News. 28 April 2023. Retrieved 29 April 2023.
- "Norwich Anglia Square developer quits regeneration project". BBC News. 6 February 2024.
- "Norwich City Council revives Anglia Square". www.norwich.gov.uk. 18 December 2024. Retrieved 8 April 2025.
- https://www.bbc.co.uk/news/articles/cpd27lpjljwo
- Thompson, Emily-Rose (29 January 2026). "Neighbours vent frustration at council's planned six-week road closure". Norwich Evening News. Retrieved 31 January 2026.
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