ある若き新聞記者が、メキシコ国境付近での闘牛取材中に経験した衝撃的な出来事が、その後の人生を大きく変えることになりました。闘牛士が牛の耳を切り落とす残酷な光景に耐えかね、抗議の意を込めてクッションを投げつけたアモリー・スミス。この出来事をきっかけに、彼は記者としての道を離れ、動物たちの尊厳を守るための闘いに身を投じることになります。

主要な実績(Key Facts)

  • Fund for Animalsを1967年に設立し、野生動物の救出と保護を推進。
  • テキサス州に広大な動物サンクチュアリ「ブラックビューティー牧場」を創設。
  • HSUS(米国人道協会)の理事や、NEAVS(ニューイングランド反生体解剖協会)の会長を歴任。
  • シーシェパード創設者のポール・ワトソンに初の遠洋航海船を提供し、反捕鯨活動を支援。
  • ヘンリー・フォンダやグレース・ケリーなど、多くの著名人を動物権利活動へ巻き込んだ。

動物保護団体の設立とリーダーシップ

アモリーは1960年代初頭から、記者やコメンテーターとしての活動と並行して、動物権利団体への関わりを深めていきました。1962年から1970年までは米国人道協会(HSUS)の理事を務め、その後1987年から没後の1998年まで、ニューイングランド反生体解剖協会(NEAVS)の会長として組織を牽引しました。

特に1967年に彼が設立した「Fund for Animals」は、狩猟から動物を守り、安全な避難所(サンクチュアリ)を構築することを使命としていました。設立当初は困難に直面しましたが、1979年に国立公園局による処分予定だったグランドキャニオンのロバ580頭を、陸路と空路を駆使して救出したことで大きな注目を集めました。また、国防省によるサンクレメンテ島のヤギの殺処分阻止に尽力したほか、カナダのマグダレン諸島では、アザラシの子供たちの毛皮に価値がないことを証明するため、オーガニック塗料で「ペイント」を施すという独創的な救出作戦を展開しました。

理想を形にした「ブラックビューティー牧場」

アナ・スウェルの小説『ブラックビューティー』に深く感銘を受けたアモリーは、テキサス州マーチソンに1,460エーカー(約590ヘクタール)に及ぶ広大な聖域「ブラックビューティー牧場」を設立しました。ここは、人間による支配や強制から解放され、動物たちが自由に暮らせる場所を目指して作られたものです。

この牧場には、かつて言語実験に使用され、その後実験動物として売られたチンパンジーのニム・チンプスキーをはじめ、ロバやゾウなど、虐待を受けた600頭以上の動物たちが暮らしていました。アモリーは著書『Ranch of Dreams』の中で、馬たちが手綱や猿ぐつわに縛られることなく、ただ自由に駆け回る場所を作りたいという長年の夢を語っています。現在、この牧場はHSUSによって運営されています。

海洋保護への貢献と著名人への影響力

アモリーの活動は陸上にとどまらず、海洋生物の保護にも及びました。1978年、彼はシーシェパード保存協会の創設者であるポール・ワトソンに、初の遠洋航海船を提供しました。この船は、日本の捕鯨船に対する初期の抗議活動に活用されました。アモリー自身も、捕鯨やアザラシ猟に反対する多くのキャンペーンに積極的に参加しました。

また、彼は社交界に広い人脈を持っており、その影響力を動物権利の普及に活用しました。ヘンリー・フォンダ、アンディ・ウィリアムズ、グレース・ケリーといった名士たちを支持者に変えたほか、ドリス・デイ、アンジー・ディッキンソン、メアリー・タイラー・ムーアらを巻き込み、毛皮製品に反対するキャンペーンを展開しました。

アモリー・スミスの活動まとめ

アモリー・スミスの主な活動と影響
活動分野 主な取り組み・組織 成果・目的
組織運営 Fund for Animals, HSUS, NEAVS 動物権利の組織化と制度的な保護の推進
野生動物救出 グランドキャニオンのロバ救出など 殺処分からの救出と安全な移送
サンクチュアリ ブラックビューティー牧場 虐待された動物への永続的な自由と安息の提供
海洋保護 シーシェパードへの船舶提供 反捕鯨・反アザラシ猟活動の物理的支援
社会啓発 著名人のリクルート 毛皮反対運動などの社会的認知度の向上

よくある質問(FAQ)

アモリー・スミスが動物保護に目覚めたきっかけは何ですか?

若手記者時代に取材した闘牛で、勝者が牛の耳を切り落とす残酷な光景を目にしたことが転機となりました。この出来事に激しい憤りを感じ、動物福祉への関心を深めることになりました。

Fund for Animalsとはどのような団体ですか?

1967年にアモリーによって設立された団体で、主に狩猟から動物を守ることや、動物サンクチュアリの建設を目的としていました。後にHSUS(米国人道協会)と提携しています。

ブラックビューティー牧場のコンセプトは何ですか?

小説『ブラックビューティー』にインスパイアされ、「人間による強制がなく、動物たちが自由に歩き回れる聖域」を作ることを目的としています。虐待を受けた動物たちが、人生の最後に安らぎを得られる場所として設計されました。

海洋保護活動においてどのような支援を行いましたか?

シーシェパード保存協会のポール・ワトソンに、反捕鯨活動に使用するための最初の遠洋航海船を購入して提供しました。

どのような著名人が彼の活動を支持しましたか?

ヘンリー・フォンダやグレース・ケリー、ドリス・デイなど、当時の映画界や音楽界のトップスターたちが、特に毛皮製品に反対するキャンペーンなどで協力しました。