地球を構成する火成岩は、その化学組成によってさまざまなカテゴリーに分類されます。その中でも酸性岩(Acidic rock)は、特定の化学成分が豊富に含まれていることが最大の特徴です。地質学の分野では、岩石がどのような成分でできているかを知ることで、その岩石がどのように形成されたかという地球の歴史を読み解くことができます。
酸性岩を定義する化学的基準
酸性岩とは、化学組成における二酸化ケイ素(SiO2)、いわゆるシリカの含有量が重量比で63%を超えている火成岩を指します。また、一般的に自由石英(結晶として独立して存在するクォーツ)を20%以上含んでいることが多く、これが酸性岩を識別する重要な指標となります。
代表的な酸性岩としては、深成岩である花崗岩や、火山岩である流紋岩が挙げられます。
分類手法の使い分け:化学分析と鉱物組成
火成岩の分類には、大きく分けて「化学的な分類」と「鉱物学的な分類」の2つのアプローチがあります。
- 化学的分類:シリカ(SiO2)の含有量に基づいて「酸性」や「塩基性」といった用語で区分します。
- 鉱物学的(モード)分類:野外調査など、詳細な化学分析が困難な状況で用いられます。ここでは、色の明るい成分が多いフェルシック(Felsic)やロイコクラティック、色の暗い成分が多いマフィック(Mafic)やメラノクラティックといった用語で区分されます。
なお、南米などの地域では「シリシック(Silicic)」という用語が広く使われており、これは多くの場合、酸性岩とほぼ同義として扱われています。
「酸性」という呼称の歴史的背景と誤解
岩石を「酸性」や「塩基性」と呼ぶ習慣は19世紀に確立されました。当時の考え方は、シリカ含有量が多い岩石を「酸性」、少ないものを「塩基性」と定義するものでした。
しかし、現代の化学的な視点から見ると、この命名法には誤解が含まれています。なぜなら、酸性岩だからといって、その岩石自体のpH値が低い(酸性である)わけではないからです。それでも、地質学の伝統的な用語として、現在でもこれらの言葉は広く定着し、使用され続けています。
Key Facts
- 酸性岩は、重量比で63%以上のSiO2(シリカ)を含んでいる。
- 通常、20%以上の自由石英を含有している。
- 代表例は花崗岩と流紋岩である。
- 「酸性」という名称はシリカ量に基づく慣習的な呼び方であり、pH値とは関係がない。
- 野外での分類では、化学組成よりも鉱物組成(フェルシックなど)による区分が一般的である。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 化学的定義 | SiO2含有量 63 wt% 以上 |
| 主要鉱物指標 | 自由石英 20% 以上 |
| 代表的な岩石 | 花崗岩、流紋岩 |
| 類義語・関連語 | シリシック、フェルシック |
Frequently Asked Questions
酸性岩は実際に酸性の性質を持っているのですか?
いいえ、持っていません。この名称は19世紀にシリカ含有量に基づいて付けられた慣習的なものであり、化学的なpH値が低いことを意味するものではありません。
酸性岩とフェルシック岩の違いは何ですか?
酸性岩はシリカ含有量という「化学組成」に基づいた分類であるのに対し、フェルシック岩は含まれる鉱物の種類や色などの「鉱物組成(モード組成)」に基づいた分類です。実質的に指し示す岩石はほぼ同じですが、分類の視点が異なります。
代表的な酸性岩にはどのようなものがありますか?
地下深くでゆっくり冷えて固まった花崗岩や、地表付近で急速に冷えて固まった流紋岩が代表例です。
シリカ含有量がどれくらいあれば酸性岩とされますか?
重量比で63%以上の二酸化ケイ素(SiO2)を含んでいる場合に酸性岩と定義されます。
「シリシック」という言葉はどういう意味ですか?
主に南米などで使われる用語で、シリカに富んでいることを意味します。一般的に酸性岩とほぼ同じ意味で用いられます。
References
- Maitre, R. W. Le, Streckeisen, A., Zanettin, B., Bas, M. J. Le, Bonin, B., Bateman, P., 2002: Igneous Rocks: A Classification and Glossary of Terms (Recommendations of the International Union of Geological Sciences Subcommission on the Systematics of Igneous Rocks). Cambridge University Press, 252 pp. ISBN 978-0-521-66215-4.
- Mannell, F. P., 1913: A manual of petrology. Chapmann & Hall, Covent Garden, p. 118
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