テニス界には、個人の栄光を競うツアー以外に、国を背負って戦う団体戦の魅力があります。かつてATP(男子プロテニス協会)が主催し、デビスカップに次ぐ権威を持つと言われたのがワールドチームカップです。1975年の誕生から2012年の幕を閉じるまで、世界最高峰の選手たちが国籍を同じくして激突したこの大会の歩みを振り返ります。
ワールドチームカップの概要と大会形式
本大会は、前年末の世界ランキングに基づき、上位2名の合計順位が高い8カ国が招待される形式で運営されていました。選出された精鋭たちが、国としてのプライドをかけて優勝カップを争いました。
1975年にジャマイカのキングストンで「ネーションズカップ」として産声を上げた後、1978年からはドイツのデュッセルドルフに拠点を移しました。会場となったのは名門のロクスクラブであり、屋外のクレーコート(赤土)での戦いが繰り広げられました。

デュッセルドルフでの開催期間中、大会は単なるスポーツイベントを超え、地域の社交界におけるハイライトとして親しまれました。毎年約7万5千人の観客を動員し、世界160カ国以上に放送されるなど、絶大な人気を誇りました。
主要な事実(Key Facts)
- 開催期間:1975年〜2012年(一部の中断期間あり)
- 主要会場:ドイツ・デュッセルドルフのロクスクラブ(1978年以降)
- サーフェス:屋外クレーコート
- 出場枠:世界ランキング上位者が所属する8カ国(ラウンドロビン方式)
- 最高賞金:1,764,700米ドル
- カテゴリー:ATPワールドツアー250シリーズ
スポンサーの変遷と大会の終焉
大会の名称は、時代のメインスポンサーによって変遷してきました。初期の「アンブル・ソレイユ」時代から始まり、「プジョー」、そして2000年からは「ARAG保険グループ」が長期的にサポートしました。2011年には一時的にスポンサー不在による中止の危機に陥りましたが、「パワーホース」の支援により開催が実現しました。
しかし、2012年10月に大会の終了が発表されます。その後、デュッセルドルフでは個人のATP 250大会である「パワーホースカップ」へと移行することとなりました。
後継大会への流れと再編
ワールドチームカップの精神は、その後の新しい団体戦の構想に影響を与えました。2017年にはオーストラリアでの24チーム制大会という復活案が出されましたが、最終的にATPは2020年に新大会ATPカップを創設しました。その後、ATPカップも2022年をもって終了し、2023年からは男女混合の「ユナイテッドカップ」へと引き継がれています。
大会実績とポイントシステム
過去の戦績を見ると、アメリカとドイツがそれぞれ5回の優勝を誇り、アルゼンチン、スウェーデン、スペインがそれに続きます。また、スポーツマンシップを称える「フェアプレー・トロフィー」が1989年から授与され、ステファン・エドベリやピート・サンプラスといった名選手たちが受賞しました。
| 優勝回数 | 国名 | 主な優勝年 | 準優勝回数 |
|---|---|---|---|
| 5 | アメリカ / ドイツ | 米: 1975, 1982, 1984, 1985, 1993 / 独: 1989, 1994, 1998, 2005, 2011 | 米: 4 / 独: 3 |
| 4 | アルゼンチン / スウェーデン / スペイン | 例: アルゼンチン (1980, 2002, 2007, 2010) | アルゼンチン: 3 / スウェーデン: 2 / スペイン: 1 |
| 3 | オーストラリア / セルビア | 例: セルビア (2009, 2012, 2020) | オーストラリア: 6 |
ランキングポイントの配分は、シングルス1・2および決定戦となるダブルスで構成されていました。特に、全4試合に勝利し、かつチームが優勝した選手にはボーナスポイントが付与される仕組みとなっていました。
よくある質問(FAQ)
ワールドチームカップとはどのような大会でしたか?
ATPが主催した男子テニスの国別対抗戦で、世界ランキング上位者が所属する8カ国が競い合いました。デビスカップに次いで権威ある団体戦と見なされていました。
なぜ大会は終了したのですか?
主な要因はスポンサーシップの問題です。2012年をもって終了し、その後は個人戦のATP 250大会へと形式が変更されました。
大会の会場はどこでしたか?
1975年の初回はジャマイカで開催されましたが、1978年以降はドイツのデュッセルドルフにあるロクスクラブのクレーコートで固定して開催されました。
ATPカップとの関係はありますか?
ATPカップは、ワールドチームカップの復活案などの議論を経て、2020年に新しく創設された別の団体戦です。直接的な継続ではなく、コンセプトを引き継いだ新しい形式の大会と言えます。
フェアプレー・トロフィーとは何ですか?
1989年から導入された賞で、テニスジャーナリストや各国キャプテンによる審査を経て、優れたスポーツマンシップを示した選手に贈られていました。
References
- , ed. (1976). World of Tennis '76 : a BP and Commercial Union yearbook. London: Queen Anne Press. p. 196. . 650229036.
- , ed. (1980). World of Tennis 1980 : a BP yearbook. London: Queen Anne Press. p. 238. . 237184610.
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- Reuters
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