ウォクレース:ボブスレーコースを中華鍋で駆け抜ける異色のウィンタースポーツ
想像してみてください。氷に覆われた急勾配のボブスレーコースを、なんと中華鍋(ウォク)に乗って滑り降りるという光景を。これは単なる冗談ではなく、ドイツで誕生し、熱狂的な人気を博したユニークな競技「ウォクレース」の世界です。
このスポーツは、ドイツのテレビ司会者でありエンターテイナーのステファン・ラーブによって考案されました。オリンピック仕様のボブスレーコースを舞台に、改造したウォクを用いてタイムを競うタイムトライアル形式のウィンタースポーツです。
Key Facts
- 競技内容:改造した中華鍋(ウォク)に乗り、ボブスレーコースを滑走するタイムトライアル。
- カテゴリー:シングル(1人乗り)とフォー(4人乗り)の2種目がある。
- 起源:2003年にドイツのテレビ番組『Wetten, dass..?』の賭けから着想を得て開始。
- 参加者:芸能人やアーティストに加え、ジョージ・ハックルのような本物の冬季五輪メダリストも参戦。
- 最高速度:コースによっては時速100kmを超える猛スピードに達する。
競技の仕組みと機材
使用されるウォクは主に中国から輸入されたものがベースとなっています。そのままでは氷上を滑走できないため、底面にエポキシ樹脂を充填して補強し、さらにバーナーで加熱して表面を処理するという特殊な改造が施されています。

4人乗り競技の場合は、2組のウォクを丸みを帯びたフレームで固定し、さらにそれらを連結して一つのソリのような構造にします。また、非常に危険を伴うスポーツであるため、選手はアイスホッケー用に近い重装備のプロテクターを着用します。さらに、摩擦の軽減と怪我の防止を目的として、足の下に「おたま(レードル)」を装着するというユニークな工夫がなされています。
歴史と大会の展開
2003年にヴィンターベルクで開催された第1回世界選手権の放送が大きな成功を収めたことで、この競技は一気に注目を集めました。その後、インスブルックやアルテンベルクなど、ドイツやオーストリアの著名なボブスレーコースを転々としながら大会が開催されてきました。
当初はバラエティ色の強いイベントでしたが、次第に競技性は高まりました。2005年の大会では、スタート順を決定するための「トリックスキー・ジャンプ」という予選が導入されたほか、2回の走行タイムを合算する方式が採用されるなど、ルールが整備されていきました。

広告を巡る法的論争
この大会はステファン・ラーブの番組『TV total』の特別編として放送されていましたが、放送局のProSiebenがこの番組を「スポーツイベント」として定義していたことが問題となりました。ドイツの法律では、スポーツ中継中の企業スポンサーシップは「付随的な広告」として扱われ、厳しいCM時間制限の対象外となるためです。
しかし2009年、ベルリンの裁判所は「このレースはテレビ放送のために演出されたものであり、通常のスポーツイベントとは異なる」との判断を下しました。これにより、番組は「インフォマーシャル(広告番組)」としてラベル付けされることとなりました。
大会概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開始年 | 2003年 |
| 主な開催地 | ヴィンターベルク、インスブルック、ケーニヒゼーなど |
| 競技形式 | 1人乗り / 4人乗り(タイムトライアル) |
| 主要機材 | 改造中華鍋、プロテクター、足元用のおたま |
| 主な強豪 | ジョージ・ハックル、ジョーイ・ケリー、アルミン・ツォゲラー |
Frequently Asked Questions
ウォクレースは誰が考えたのですか?
ドイツのテレビホストでエンターテイナーのステファン・ラーブが、テレビ番組内の賭けから着想を得て開発しました。
どのような人が参加しているのですか?
ミュージシャンや俳優などの著名人が中心ですが、リュージュのオリンピック金メダリストであるジョージ・ハックルや、ジャマイカのボブスレーチームのような本物のトップアスリートも参加しています。
普通のフライパンで滑れるのですか?
いいえ、市販のウォクをそのまま使うのではなく、底面にエポキシ樹脂を塗り込み、バーナーで加熱して補強・加工した専用の機材を使用します。
最高速度はどのくらい出ますか?
コースによりますが、記録では時速114.3km(ヴィンターベルク)という驚異的な速度が記録されています。
4人乗りはどうやって構成されていますか?
2組のウォクを丸いフレームで固定し、さらにそれらをカップリングで連結させることで、4人が乗れるソリのような形状にしています。
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