Composite photograph showing an iceberg both above and below the waterline.
← ホームへ戻る

Wikisource世界中の自由なテキストを保存するデジタルライブラリ

🗓 2026年8月16日

インターネット上の膨大な知識を整理するWikipediaの姉妹プロジェクトとして、Wikisourceウィキソースは、著作権の切れた作品や自由なライセンスで公開されたテキストを収集・保存するデジタルライブラリとしての役割を担っています。単なるテキストの集積所ではなく、歴史的な一次資料をデジタル化し、誰でもアクセス可能な形で後世に残すことを目的とした壮大なアーカイブプロジェクトです。

Key Facts

  • 運営主体:非営利団体 Wikimedia Foundation(ウィキメディア財団)
  • 設立日:2003年11月24日(当初は「Project Sourceberg」として始動)
  • コンテンツ:パブリックドメインまたは自由ライセンスのテキスト、翻訳、注釈など
  • 規模:83の言語サブドメインで運用され、約989万件の記事を収録(2026年8月時点)
  • 特徴:スキャン画像とテキストを照合して校正する独自のシステムを導入

Wikisourceの成り立ちと進化

このプロジェクトは、Wikipediaの記事を裏付ける「一次資料(根拠となる元の文書)」を保管する場所として構想されました。当初は歴史的に重要な文書のアーカイブに特化していましたが、次第にあらゆるジャンルの自由なテキストを扱う総合ライブラリへと拡大しました。

設立当初は「Project Sourceberg」という、有名な電子図書館プロジェクト「プロジェクト・グーテンベルク」にちなんだ名称でしたが、後に現在の「Wikisource」へと改称されました。初期のロゴには氷山の写真が使われていましたが、ライセンスの問題やデジタル表示への適応のため、現在はベクトル形式のスタイリッシュな氷山ロゴが採用されています。

Composite photograph showing an iceberg both above and below the waterline.

収録コンテンツの基準と信頼性の確保

Wikisourceに掲載されるのは、専門的に出版された著作物や歴史的な公文書などであり、個人の日記のような「自費出版物」は原則として除外されます。基本的にはパブリックドメイン(著作権消滅)またはクリエイティブ・コモンズなどの自由なライセンスが付与された作品のみが対象です。

テキストの正確性を担保するため、多くの言語版では「スキャンされた原本画像」があることが推奨、あるいは必須とされています。これにより、単なる転記ミスを防ぎ、誰でも原本と照らし合わせて検証できる仕組みになっています。

A Venn diagram of the inclusion criteria for works to be added to Wikisource. The three overlapping circles are labelled "Sourced", "Published" and "Licensed". The area where they all overlap is shown in green. The areas where just two overlap are shown in yellow (except the Sourced-Published overlap, which remains blank)

校正ツール「ProofreadPage」の導入

精度の高いデジタル化を実現するために開発されたのが、MediaWikiの拡張機能であるProofreadPageです。このツールを使うと、画面の片側に原本のスキャン画像、もう片側に編集中のテキストを並べて表示させることができます。これにより、編集者は物理的な本を手に持たなくても、オンライン上で効率的に校正作業を行うことが可能です。

Screen shot of Norwegian Wikisource. The text can be seen on the left of the screen with the scanned image displayed on the right.

このような地道な校正作業は世界中のボランティアによって行われており、学生がプロジェクトの一環として参加するケースも見られます。

A student doing proof reading during her project at New Law College in Pune, India

多言語展開と組織構造

Wikisourceは、言語ごとに独立したサブドメインを持つ構造を採用しています。これは、ヘブライ語のように右から左へ書く言語など、言語特有の編集環境に対応するためです。現在は80以上の言語で活発に運用されており、中国語、ポーランド語、英語、フランス語などが特に大規模なコレクションを保持しています。

また、独自のサブドメインを持たない小規模な言語については、「wikisource.org」のメインサイト内でインキュベーター(育成場所)として管理されており、将来的な独立に向けて準備が進められています。

言語 コード 校正済み記事数 総記事数 総編集数
中国語 zh 3,415,429 6,427,893 8,700,500
ポーランド語 pl 1,318,035 1,359,191 4,159,674
英語 en 1,124,843 4,848,411 16,226,650
フランス語 fr 705,692 4,792,451 15,980,856
ドイツ語 de 652,334 711,158 5,012,788

外部機関との連携と評価

Wikisourceの取り組みは、公的なアーカイブ機関からも注目されています。例えば、フランス国立図書館(BnF)は自社のデジタルライブラリ「Gallica」のスキャンデータを提供し、Wikisourceのユーザーによる人間主導の校正を通じてテキストの精度を高める連携を行いました。また、アメリカ国立公文書記録管理局(NARA)も、資料のアクセシビリティ向上のため、高品質なスキャンデータをWikisourceに提供しています。

一方で、専門家による厳格な査読プロセスがないため、学術的な信頼性に疑問を呈する声もあります。特にユーザー主導の聖書翻訳プロジェクトなどでは、専門の学者から翻訳の誤りを指摘されるなどの議論が起きています。

Frequently Asked Questions

Wikibooks(ウィキブックス)との違いは何ですか?

Wikisourceは「既存の出版物の正確な保存」を目的としており、元のテキストが主役です。対してWikibooksは「教科書やガイドブックの作成」を目的としており、解説や注釈が主役となります。

どのような作品が掲載されますか?

小説、ノンフィクション、手紙、演説、法律、憲法などの公文書が中心です。ただし、著作権が消滅しているか、自由なライセンスで公開されている必要があります。

誰でも編集に参加できますか?

はい、可能です。特にProofreadPage機能を利用すれば、原本のスキャン画像を見ながらテキストを校正できるため、専門的な知識がなくても貢献できます。

自作の小説や論文を投稿することはできますか?

原則として、Wikisourceは「既にどこかで出版された作品」を扱うライブラリであるため、個人の未発表作品(バニティ・プレス的な投稿)は受け付けていません。

信頼性は十分にありますか?

ボランティアによる編集であるため、誤りが含まれる可能性があります。しかし、原本のスキャン画像が併記されているため、読者が自ら正誤を確認できる仕組みになっています。

References

  1. 's API:Sitematrix. Retrieved August 2026 from Data:Wikipedia statistics/meta.tab
  2. Ayers, Phoebe; Matthews, Charles; Yates, Ben (2008). How Wikipedia Works. No Starch Press. pp. 435–436.  .
  3. "Transcribe | Citizen Archivist". Archived from the original on October 31, 2013. Retrieved October 4, 2013.
  4. 's API:Siteinfo. Retrieved August 2026 from Data:Wikipedia statistics/data.tab
  5. The Cunctator (October 16, 2001). "Primary sources Pedia, or Project Sourceberg". . Archived from the original on March 14, 2016. Retrieved July 5, 2011.
  6. The Cunctator (October 16, 2001). "Primary sources Pedia, or Project Sourceberg". . Archived from the original on November 20, 2018. Retrieved March 24, 2012.
  7. (October 17, 2001). "Primary sources Pedia, or Project Sourceberg". . Archived from the original on April 9, 2022. Retrieved March 24, 2012.
  8. (October 17, 2001). "Primary sources Pedia, or Project Sourceberg". . Archived from the original on April 9, 2022. Retrieved March 24, 2012.
  9. Starling, Tim (July 23, 2004). "Scriptorium". Wikisource. Archived from the original on October 15, 2013. Retrieved July 5, 2011.
  10. "Wikisource.org". Wikisource.org. August 27, 2005. Archived from the original on November 10, 2013. Retrieved July 5, 2011.

📸 フォトギャラリー

Composite photograph showing an iceberg both above and below the waterline.
Screen shot of Norwegian Wikisource. The text can be seen on the left of the screen with the scanned image displayed on the right.
A student doing proof reading during her project at New Law College in Pune, India
A Venn diagram of the inclusion criteria for works to be added to Wikisource. The three overlapping circles are labelled "Sourced", "Published" and "Licensed". The area where they all overlap is shown in green. The areas where just two overlap are shown in yellow (except the Sourced-Published overlap, which remains blank)