Wetpaintの軌跡:Wikiホスティングからエンタメメディアへの変遷と終焉

かつてインターネットの世界で、ユーザー参加型の情報共有プラットフォームとして注目を集めたWetpaint。2005年に誕生したこの企業は、時代のニーズに合わせてその姿を大きく変えながら、メディア業界に独自の足跡を残しました。単なるWiki提供サービスから、高度な分析プラットフォームを備えたエンターテインメントメディアへと進化を遂げた同社の歴史を振り返ります。

Key Facts

  • 設立: 2005年10月(当初はWikisphereとして始動)
  • 主要事業: Wikiホスティングから始まり、後にエンタメニュース配信と分析プラットフォームへ移行
  • 最大の特徴: 独自の「ソーシャルディストリビューションシステム」による分析機能
  • 買収と終焉: 2012年にFunction(X)に買収され、2020年にサービス終了
  • 評価: 2007年にTime誌の「最高のウェブサイト50選」に選出

Wikiファームとしての誕生と急成長

Wetpaintは、2005年10月にBen Elowitz氏らによって設立されました。創業当初は「Wikisphere」という名称で、独自のソフトウェアを用いて複数のWikiをホストするWikiファーム(Wiki作成・管理サービス)として運営されていました。

創業直後から投資家からの強い支持を受け、2005年のシリーズAで525万ドル、2007年のシリーズBで950万ドル、そして2008年のシリーズCでは2,500万ドルという多額のベンチャーキャピタル資金を調達しました。Accel PartnersやTrinity Venturesなどの著名な投資会社が参画し、急速な事業拡大を後押ししました。

戦略的転換:プロ向けコンテンツとエンタメへの特化

2008年にはソーシャルネットワーキング機能を追加し、ユーザー間の交流を強化しましたが、オンライン広告収入の減少という壁にぶつかります。これにより、2009年には人員削減を余儀なくされ、同時にビジネスモデルの根本的な見直しが行われました。

同社は、一般ユーザーによるWiki作成から、専門家が作成する「プロフェッショナルコンテンツ」の配信へと舵を切ります。特に18歳から34歳の女性層をターゲットにしたテレビ番組ファン向けサイト「Wetpaint Entertainment」を主軸に据え、特化型メディアとしての地位を確立しようと試みました。

独自の技術基盤「ソーシャルディストリビューションシステム」

2010年12月、Wetpaintは自社および外部パブリッシャー向けに、分析ツールである「ソーシャルディストリビューションシステム」を発表しました。これにより、コンテンツがどのように拡散され、どのような効果を上げているかを詳細に把握することが可能となり、メディア運営の効率化を図りました。

買収とサービスの段階的な終了

2012年12月、Wetpaintはエンターテインメント報酬プラットフォームを運営するViggle社(後のFunction(X))に買収されました。この買収を経て、同社はFunction(X)の完全子会社となりました。

その後、事業の切り離しが進みます。2013年にはWikiホスティング部門がWikifoundry社に売却され、Wetpaint本体からは完全に分離されました。しかし、本サイトであるwetpaint.comの更新は2018年までに停止し、2020年半ばに完全に閉鎖されました。

また、Wiki部門を引き継いだWikifoundryも、基盤となっていたAdobe Flashのサポート終了などの影響もあり、2021年6月に運営を停止。これにより、15年にわたるWetpaintのWikiエコシステムは完全に幕を閉じました。

Wetpaint 企業概要まとめ

Wetpaintの基本データ
項目 詳細
設立年 2005年10月
本社所在地 アメリカ合衆国 ニューヨーク
主要製品 メディア向け技術プラットフォーム、Wikiホスティング
親会社 Function(X)
従業員数 65名
サービス終了 2020年(Wiki部門は2021年)

Frequently Asked Questions

Wetpaintとはどのようなサービスでしたか?

当初はユーザーが自由にWikiを作成できるWikiファームとして始まりましたが、後に専門的なエンターテインメントニュースを配信するメディアプラットフォームへと移行しました。

なぜビジネスモデルを変更したのですか?

オンライン広告収入の減少に伴い、一般ユーザー主導のコンテンツから、より収益性の高いプロフェッショナルによるコンテンツ制作へと戦略を切り替えたためです。

ソーシャルディストリビューションシステムとは何ですか?

自社サイトや他のオンラインパブリッシャーが利用できる、コンテンツの拡散状況や効果を測定するための独自の分析プラットフォームです。

WetpaintのWiki機能はどうなりましたか?

2013年にWikifoundry社に売却されましたが、同社が2021年6月に運営を停止したため、現在は利用できません。

最終的にどのような経緯で閉鎖されたのですか?

2012年にFunction(X)に買収された後、2018年頃からサイトの更新が止まり、2020年半ばに正式にサービスが終了しました。