英国の政治史において、ウェールズへの権限委譲を試みた重要な転換点となったのがウェールズ法1978年です。この法律は、ウェールズ独自の議会を設立し、地域的な統治体制を構築することを目指して制定されました。

当時の構想では、1998年のウェールズ政府法と同様に、行政を担う「執行府」と法律を定める「立法府」を明確に分けない体制が想定されていました。つまり、権限が一体化した統治形態を計画していたのが特徴です。

Key Facts

  • 法案の目的:ウェールズにおける議会設置と統治体制の整備。
  • 統治構造:執行府と立法府を分離しない形式を採用。
  • 発効条件:法律の施行には、ウェールズ国内での国民投票による承認が必須であった。
  • 結果:1979年の国民投票で圧倒的多数が反対し、法案は不成立となった。

国民投票の実施と劇的な結果

ウェールズ法1978年には、法案が実際に効力を持つための条件として、事後的な国民投票(ポスト・レジスレイティブ・リファレンダム)を行うことが組み込まれていました。これにより、最終的な判断はウェールズの有権者に委ねられることとなりました。

1979年3月1日に実施されたこの国民投票では、議会設置に対する強い拒絶反応が見られました。投票結果は以下の通りであり、賛成派を大きく上回る反対票が投じられました。

1979年3月1日 ウェールズ議会設置に関する国民投票結果
投票区分 得票数 得票率
賛成 243,048票 20.26%
反対 956,330票 79.74%

法の失効と廃止への流れ

国民投票の結果、約8割という圧倒的な反対多数により、ウェールズ議会の設置案は否決されました。この結果を受けて、ウェールズ法1978年が実際に施行されることはありませんでした。

最終的に、この法律自体に盛り込まれていた規定に基づき、「1979年ウェールズ法(廃止)命令」によって正式に廃止されることとなりました。これにより、当時の分権化への試みは一旦幕を閉じることになります。

Frequently Asked Questions

ウェールズ法1978年の最大の特徴は何でしたか?

執行府(行政)と立法府(議会)を分離させない統治構造を計画していた点です。これは後の1998年ウェールズ政府法に近い考え方でした。

法律が施行されなかった理由は何ですか?

法案の中に「国民投票で承認されなければ発効しない」という条件が含まれていたためです。1979年の投票で反対多数となったため、効力を持ちませんでした。

1979年の国民投票の結果はどうでしたか?

賛成が約20%(243,048票)に対し、反対が約80%(956,330票)という圧倒的な差で否決されました。

否決された後、この法律はどうなったのでしょうか?

法案自体の規定に従い、「1979年ウェールズ法(廃止)命令」によって正式に廃止されました。