Summit inflation at Mauna Loa, as indicated by GPS measurements between June 2004 and April 2005.
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火山地殻変動マグマインフレーションデフレーション

火山地殻変動のメカニズムと観測技術マグマの動きをどう捉えるか

🗓 2026年8月12日

火山の形状や周囲の地形が変化する現象は、専門用語で地殻変動(deformation)と呼ばれます。これは主に地下でマグマが移動することによって引き起こされる現象であり、火山の内部で何が起きているかを知るための極めて重要な手がかりとなります。

Key Facts

  • インフレーション(膨張):マグマの蓄積やガス放出などで地表が盛り上がること。
  • デフレーション(収縮):マグマの流出や冷却などで地表が沈み込むこと。
  • 観測手法:GPS、傾斜計、InSAR(合成開口レーダー干渉法)、地震観測などが併用される。
  • 予測の重要性:地殻変動のみで噴火を断定することはできず、地震やガス成分の変化と組み合わせて分析する必要がある。

地殻変動の2つの形態:膨張と収縮

火山の地殻変動は、大きく分けて「インフレーション」と「デフレーション」の2つのプロセスに分類されます。

インフレーション(膨張)

地下のマグマ溜まりにマグマが蓄積し、圧力が上昇すると、地表や火山体、あるいは地下のマグマ塊が押し上げられ、地面が盛り上がります。この要因には、マグマの蓄積だけでなく、揮発性成分の分離(ガスが発生すること)、地熱プロセス、加熱、あるいは構造的な圧縮などが含まれます。

特に、粘性の高い珪長質マグマが地表近くまで上昇しながらも、地表を突き破らずに内部に留まった場合、地表に特有の盛り上がりであるクリプトドーム(隠伏ドーム)を形成することがあります。

A cryptodome developed on the north side of Mount St. Helens prior to its 1980 eruption as magma pushed up within the peak.

デフレーション(収縮)

一方で、マグマが別の場所へ移動したり、噴火によって外部へ放出されたりして圧力が低下すると、地表や火山体が沈み込むデフレーションが起こります。これ以外にも、ガスの脱出、冷却による熱収縮、結晶化に伴う相変化、あるいは構造的な引張などが原因となります。

なお、氷河の下にある火山(氷下火山)の場合、マグマの動きだけでなく、上部に載っている氷冠の厚さやサイズの変化が地殻変動として現れることがあります。アイスランドのカトラ火山などがその代表例です。

地殻変動を捉える高度な観測技術

火山が示すセンチメートル単位の微細な変化を捉えるため、複数の精密な測定手法が組み合わせて活用されています。

直接的な地表計測

  • GPS(全地球測位システム):地表の垂直方向および水平方向の動きを測定し、地下でマグマがどこに、どれだけ蓄積しているかを推定します。ハワイのマウナロア火山では、1990年代半ばから詳細な膨張データが記録されています。
  • 傾斜計(チルトメーター):地表のわずかな傾きの変化を記録します。環境ノイズや人為的な振動を避けるため、通常は地下約4メートルの孔内に設置されます。噴火やマグマ貫入の数時間から数日前に急激な変化が検出されることが多いのが特徴です。
Summit inflation at Mauna Loa, as indicated by GPS measurements between June 2004 and April 2005.
USGS GPS Station, The Husband, Three Sisters, Oregon.

広域的なリモートセンシングと間接観測

InSAR(合成開口レーダー干渉法)は、航空機や人工衛星から得た複数のレーダー画像を比較することで、広範囲の地殻変動マップを作成する技術です。GPSと併用することで、広域的な変化から局所的な変動までを包括的に把握できます。

Interferogram produced with the Italian Space Agency's (ASI) constellation of COSMO-SkyMed radar satellites over Kilauea, Hawaii, showing ground deformation after an eruption on 5 March 2011.

また、地震学的なアプローチも不可欠です。マグマや火山流体の移動によって岩盤にストレスがかかると、高周波の火山構造地震が発生します。一方で、マグマの移動に伴う亀裂内での共鳴現象(物理的な振動)は、低周波地震として記録されます。

噴火予測への応用と限界

地殻変動のデータは、地下の状態を可視化するための強力なツールです。例えば、変動信号の時間的変化を監視し、特定の閾値を超えたかどうかで判断する「材料破壊予測法」などのアプローチが試みられています。

しかし、マグマが移動しても必ずしも噴火に至るとは限らないため、地殻変動のみで噴火を予測することは困難です。予測の信頼性を高めるには、地殻変動に加えて、地震活動の活発化や揮発性成分の放出といった複数の指標を総合的に分析することが不可欠です。

地殻変動の要因まとめ

火山地殻変動の要因比較
変動タイプ 主な現象 主な原因
インフレーション 地表の盛り上がり・膨張 マグマの蓄積、ガスの分離、加熱、構造的圧縮
デフレーション 地表の沈降・収縮 マグマの流出・噴火、冷却、結晶化、構造的引張

Frequently Asked Questions

地殻変動があれば必ず噴火するのですか?

いいえ、必ずしもそうではありません。マグマが地下で移動したり蓄積したりしても、地表まで到達せずに止まるケースは多くあります。そのため、他の観測データと併せて総合的に判断する必要があります。

クリプトドームとは何ですか?

マグマが地表付近まで上昇したものの、地表を突き破らずに内部で溜まり、地表を盛り上げた「隠伏ドーム」のことです。1980年のセントヘレンズ山などで見られた現象です。

InSARとGPSの使い分けはどうなっていますか?

GPSは特定の地点で非常に高精度な連続測定を行うのに適しており、InSARは衛星を用いて広範囲の変動を面として捉えるのに適しています。この両者を組み合わせることで、詳細かつ広域的な把握が可能になります。

なぜ傾斜計は地下に設置するのですか?

地表付近では、気温の変化や風による振動、あるいは人間活動によるノイズの影響を受けやすいためです。地下約4メートルに設置することで、これらの外部要因を遮断し、純粋な地殻変動のみを測定できます。

氷下火山ではどのような変動が起きますか?

マグマの動きによる変動に加え、火山を覆っている氷河(氷冠)の厚さや大きさが変わることで、地表に圧力がかかったり解放されたりし、それが地殻変動として観測されることがあります。

References

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📸 フォトギャラリー

Summit inflation at Mauna Loa, as indicated by GPS measurements between June 2004 and April 2005.
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Interferogram produced with the Italian Space Agency's (ASI) constellation of COSMO-SkyMed radar satellites over Kilauea, Hawaii, showing ground deformation after an eruption on 5 March 2011.