バチカン市国クリケットチーム:信仰とスポーツで結ぶ国際交流の架け橋
世界最小の国家であるバチカン市国が、意外なスポーツを通じて世界に手を広げています。それがクリケットです。カトリック教会が主導して設立したこのアマチュアチームは、単なる競技としてのスポーツではなく、英連邦諸国などクリケットが深く根付いている地域との絆を深め、異なる信仰を持つ人々との対話を促進することを目的としています。
Key Facts
- 目的:クリケットを通じて英連邦諸国(インドやカリブ海地域など)との関係を強化し、宗教間対話を促進すること。
- 構成員:バチカン市民ではなく、ローマ市内のカトリック大学や神学校で学ぶ神学生や司祭、執事らで構成。
- 運営:教皇がパトロンを務め、文化・教育省がスポンサーとなっている。
- 本拠地:ローマ唯一の国際基準クリケット場である「ローマ・カパネッレ・クリケットグラウンド」を使用。
チームの成り立ちと発展
公式なチームが発足する前から、バチカンを代表する暫定的なチーム「バチカンXI」による活動は始まっていました。2008年5月にはローマ・カパネッレ・クリケットクラブとの親善試合を行い、同年9月にはオランダを拠点とするチームと対戦。この試合では、急造のピッチながら1ウィケット失って107ランを記録し、相手チームを58ランで抑えて勝利を収めています。
その後、2013年に駐聖座オーストラリア大使ジョン・マッカーシー氏の提案により、「聖ペトロクリケットクラブ(St Peter's Cricket Club)」が正式に結成されました。このクラブは、ローマ周辺の神学校に身を置く約300人の神学生や司祭から有望な選手を募り、その中から精鋭を選抜して「バチカンXI」として活動させる仕組みとなっています。
2014年6月に正式に発足したチームの初期メンバーは、主にインド出身の司祭や神学生で構成され、イギリス、スリランカ、パキスタンからの選手も加わりました。彼らの活動は、教皇庁の文化・教育省による後援や、教皇騎士団のメンバーによる支援を受けています。
世界を巡る「信仰の光ツアー」
バチカンチームは、スポーツを通じた外交活動として「信仰の光ツアー(Light of Faith Tour)」を定期的に実施しています。
ポルトガル訪問(2017年)
2017年にはポルトガルのミランダ・ド・コルヴォを訪れ、消防隊による盛大な歓迎を受けながら試合を行いました。
イギリス遠征(2018年)
2018年の夏には、世界最古のイエズス会学校であるストーニーハースト・カレッジの卒業生チームと対戦。その後、クリケットの聖地であるロードスでアングリカン(英国聖公会)のチームと対戦したほか、ウィンザーのロイヤル・ハウスホールド・クリケットクラブや英連邦諸国選抜チームとも試合を繰り広げました。なお、イギリスへの遠征は2014年にも行われており、当時は英国聖公会や英国王室チームと対戦しています。
最新の活動(2024年)
2024年にも「教皇のXI(Pope's XI)」の愛称で知られるチームがイギリスを訪問しました。ウィンザー城やウェストミンスター寺院、アランデル城に近いホームパークにて、キングズXIやセントメアリーズ大学と対戦。特筆すべきは、2024年のメンバー全員がインドのケララ州出身の司祭や神学生で構成されていた点です。
チーム概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | 聖ペトロクリケットクラブ(St Peter's Cricket Club) |
| 代表チーム名 | バチカンXI / 教皇のXI(Pope's XI) |
| パトロン | 教皇 |
| 主な構成員 | ローマ在住の司祭、執事、神学生(主にインド出身者が多い) |
| ホームグラウンド | ローマ・カパネッレ・クリケットグラウンド |
| 主な活動目的 | 英連邦諸国との親睦および宗教間対話の促進 |
Frequently Asked Questions
バチカン市国の市民がプレーしているのですか?
いいえ。チームのメンバーはバチカン市民ではなく、ローマ市内のカトリック大学や神学校で勉強・勤務している司祭や神学生たちで構成されています。
なぜクリケットという競技を選んだのですか?
インドやカリブ海諸国など、クリケットが非常に人気のある英連邦諸国との結びつきを強め、スポーツを通じて異なる信仰を持つ人々との対話を深めるためです。
チームの運営や資金はどうなっているのですか?
教皇庁の文化・教育省がスポンサーとなっており、また教皇騎士団のメンバーからも支援を受けて活動しています。
どのような相手と試合をしているのですか?
英国聖公会のチームや英国王室のチーム、英連邦諸国の選抜チーム、あるいはカトリック系の教育機関(ストーニーハースト・カレッジなど)のチームと対戦しています。
最近のチームメンバーにはどのような特徴がありますか?
伝統的にインド出身の選手が多く、特に2024年のイギリス遠征メンバーは全員がインドのケララ州出身の司祭や神学生で構成されていました。