アメリカ合衆国における中等教育(Secondary Education)は、義務教育の最終段階にあたる6〜7年間の教育課程を指します。一般的に12年生(17〜18歳)で締めくくられますが、開始学年は州や学区によって異なり、6年生(11〜12歳)から始まる場合と7年生(12〜13歳)から始まる場合があります。
アメリカの教育体制は非常に多様であり、地域社会のニーズや歴史的背景が色濃く反映されています。本記事では、初期の「アカデミー」時代から現代の多様な学校形態、そして評価制度までを詳しく解説します。

Key Facts
- 教育期間: 通常は6〜7年間で、12年生で卒業する。
- 運営主体: 主に州政府および地方学区が管理し、連邦政府の資金援助は全体の約8%に留まる。
- 評価基準: AからFまでの5段階評価を用い、累積平均点(GPA)で成績を管理する。
- 多様な選択肢: 公立学校のほか、チャータースクール、私立学校、ホームスクーリングなどが存在する。
- 柔軟な時間割: 伝統的な1日多科目制のほか、集中して学習するブロック制が導入されている。
中等教育の歴史的変遷
初期の「アカデミー」時代
18世紀から19世紀にかけて、現在でいう高校に相当する教育機関は「アカデミー」と呼ばれていました。当時の多くの中等教育は公立ではなく、私的な資金や授業料で運営されていました。例えば、ベンジャミン・フランクリンが設立した機関は、後にペンシルベニア大学へと発展しました。
また、第二次大覚醒という宗教的リバイバル運動の影響で、プロテスタントの教派によるアカデミーや大学の設立が相次ぎました。1860年頃には全米で6,415ものアカデミーが稼働していましたが、南北戦争などの社会情勢の変化に伴い、その多くが消滅または形態を変えていきました。

公立高校の普及と近代化
1910年から1940年にかけて、公立高校の設立が急増しました。この時期の大きな転換点は、大学進学のための理論的な学習から、実生活に役立つスキルを習得する「実用的カリキュラム」への移行です。これにより、熟練したブルーカラー労働者の育成が進み、より多くの生徒が卒業資格(ディプロマ)を取得できるようになりました。
1950年代半ばまでには、就学率が約80%に達し、欧州諸国を上回る水準となりました。その後、1990年代からは教育改革が進み、多くの州で卒業試験の導入や、運営の自律性を持つ「チャータースクール」の設立が推進されました。
学校の種類と教育形態
公立学校(Public Schools)
すべての子どもに無料で提供される権利が保証されており、人種や経済状況に関わらず入学可能です。運営は地方学区が担い、カリキュラムの内容は州や学区の裁量に任されています。保護者と教師の連携を深めるPTA(Parent-Teacher Association)の活動も盛んです。

独立系・私立学校(Independent Schools)
政府の管理下にない私立の教育機関で、多くの場合、授業料が必要です。特に宗教的な背景を持つ学校が多く、全私立学校の約7割を占めています。また、大学進学に特化したカレッジプレップ(大学準備)校などもこのカテゴリーに含まれます。

その他の学習形態
チャータースクールは、公費で運営されながらも、州法や学区の規制から独立して運営される公立学校の一種です。また、家庭で教育を行うホームスクーリングも全50州で合法的に認められており、宗教的理由や個別の教育ニーズに応じて選択されています。

カリキュラムと評価制度
学習内容と選択科目
生徒は必須のコア科目だけでなく、自身の興味に合わせた選択科目(Electives)を履修します。代表的な選択科目には以下のようなものがあります。
- 視覚芸術: 絵画、彫刻、写真、映画研究など
- 舞台芸術: 合唱、演劇、吹奏楽、ダンスなど
- ジャーナリズム: 校内新聞、年鑑作成、テレビ制作など
- 家庭科学: 栄養学、調理、児童発達など

成績評価と卒業要件
アメリカの学校では、一般的にA(最高)からF(不可)までのアルファベットによる評価が用いられます。通常、D以上の成績を収めることで単位(Credit)が認定されます。
| グレード | パーセンテージ | 評価の意味 |
|---|---|---|
| A (A+, A, A-) | 90% - 100% | 期待される基準を大きく上回る |
| B (B+, B, B-) | 80% - 89% | 期待される基準を上回る |
| C (C+, C, C-) | 70% - 79% | 期待される標準的な水準 |
| D (D+, D, D-) | 60% - 69% | 期待される基準に届かない |
| F | 59%以下 | 不合格(単位認定なし) |

時間割の運用形態
伝統的なスケジュール
1日に6〜9つのクラスをすべて受講する形式です。1コマあたりの時間は40分から60分程度で、1年を通じて毎日同じ科目を学習します。
ブロックスケジュール
1コマの時間を90〜120分と長く設定し、受講科数を絞る形式です。例えば「A日」と「B日」で受講科目を分ける交互制や、1年を2学期に分けて4科目ずつ集中して学ぶ「4×4ブロック制」などがあります。これにより、深い学習や実験などの時間を確保することが可能です。
Frequently Asked Questions
中等教育の開始学年はどこで決まりますか?
州政府や個別の学区によって異なります。6年生から中等教育が始まる地域もあれば、7年生から始まる地域もあります。
チャータースクールと私立学校の違いは何ですか?
チャータースクールは公費で運営されるため原則無料で、公立学校の一種ですが、運営方法に大きな自由度を持っています。一方、私立学校は政府から独立した機関であり、多くの場合、授業料が発生します。
GPAとは何ですか?
Grade Point Averageの略で、各科目の成績(A〜F)を数値化し、その平均を出したものです。大学進学時の重要な審査基準となります。
ホームスクーリングは法的に認められていますか?
はい、アメリカの全50州で合法です。最高裁判所の判例などにより、親が子どもを公立学校に通わせず家庭で教育する権利が支持されています。
卒業試験に落ちるとどうなりますか?
州によって異なりますが、一部の州では卒業試験の合格が必須となっており、基準を満たさない場合は卒業証書(ディプロマ)が授与されないことがあります。
References
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