1985年のイギリス音楽界は、社会的な連帯感と技術的な革新が交差した極めて象徴的な一年でした。世界的な飢餓救済に向けたアーティストたちの団結が音楽チャートを席巻し、同時に音楽メディアの形式がアナログからデジタルへと移行し始めた重要な転換点となりました。
Key Facts
- Live Aidの開催:ロンドンのウェンブリー・スタジアムなどで実施され、エチオピア飢餓救済のために1億5,000万ポンドを調達。
- CD時代の到来:ダイア・ストレイツの『Brothers in Arms』がCD形式でミリオンセラーを記録し、業界の標準を変えた。
- チャリティの流行:Band Aidに続き、USA for Africaやデヴィッド・ボウイらによる寄付目的の楽曲がチャートを賑わせた。
- 年間最大のヒット曲:ジェニファー・ラッシュの「The Power of Love」が年間シングル売上1位を記録。
社会を動かした音楽とチャリティの波
この年、最も大きな影響を与えたのは7月13日に開催されたLive Aidです。前年のチャリティソング「Do They Know It's Christmas?」の成功を受け、クイーンやU2、ザ・フーといった世界的スターが集結しました。推定19億人が視聴したこのイベントは、音楽が持つ社会的な力を世界に証明しました。
また、チャリティの精神は個別の楽曲にも現れました。マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが書き下ろしたUSA for Africaの「We Are the World」や、デヴィッド・ボウイとミック・ジャガーによる「Dancing in the Street」がチャートを駆け上がりました。さらに、ブラッドフォードのスタジアム火災の犠牲者を悼むため、スーパーグループ「The Crowd」が「You'll Never Walk Alone」をカバーし、悲劇に見舞われた人々への追悼を捧げました。
デジタル革命とチャートの主役たち
技術面では、コンパクトディスク(CD)という新フォーマットが普及し始めました。ダイア・ストレイツが5月にリリースしたアルバム『Brothers in Arms』は、CDとして初めてミリオンセラーを達成し、1980年代のイギリスで最も売れたアルバムとなりました。特にシングル「Money for Nothing」は、初期のCGを駆使した革新的なビデオで注目を集め、後のMTVヨーロッパの放送開始時にも最初に流された楽曲となりました。
シングルチャートでは、ジェニファー・ラッシュのパワーバラード「The Power of Love」が異例の快挙を成し遂げました。数ヶ月間トップ40に入らなかったものの、9月に急上昇して5週連続1位を獲得し、この年最大のヒットとなりました。これは1991年まで途絶えることになる、80年代最後となるミリオンセラーシングルとなりました。
年末の「クリスマス・ナンバーワン」争いも激しく、ポール・マッカートニーやホイットサムなどの過去のヒット曲が再チャートインする中で、最終的にシェイキン・スティーヴンスの「Merry Christmas Everyone」が頂点に立ちました。
クラシック音楽と芸術的深化
ポピュラー音楽の喧騒の裏で、クラシック音楽の世界でも重要な作品が誕生していました。アンドリュー・ロイド・ウェバーとジョン・ラターがそれぞれ「レクイエム」を発表し、現代的な宗教音楽のあり方を提示しました。また、ピーター・マクスウェル・デイヴィスは、バグパイプを主役に据えた『An Orkney Wedding, with Sunrise』や交響曲第3番を制作し、独自の音楽世界を追求しました。
その他の作曲家たちも精力的に活動し、73歳のダニエル・ジョーンズが交響曲第12番を、80歳のマイケル・ティペットが最後のオペラ『New Year』に着手するなど、世代を超えた創作活動が続いていました。
1985年 音楽シーンまとめ
| カテゴリー | 主要アーティスト / 作品 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 年間売上1位シングル | ジェニファー・ラッシュ「The Power of Love」 | 80年代最後のミリオンセラー |
| 年間売上1位アルバム | ダイア・ストレイツ『Brothers in Arms』 | CDフォーマット初のミリオンセラー |
| 最大級のイベント | Live Aid | エチオピア飢餓救済のため開催 |
| ブリットアワード(グループ) | Wham! | 当時のポップシーンを牽引 |
Frequently Asked Questions
Live Aidはどのような目的で開催されましたか?
エチオピアで発生していた深刻な飢餓状態を救済するための資金を集める目的で開催されました。ロンドンのウェンブリー・スタジアムなどで行われ、最終的に1億5,000万ポンド以上の寄付金が集まりました。
『Brothers in Arms』が音楽史において重要な理由は?
このアルバムは、当時導入されたばかりのコンパクトディスク(CD)形式でリリースされ、そのフォーマットで初めてミリオンセラーを記録したためです。これにより、音楽業界のデジタル化が加速しました。
1985年のシングルチャートで最も売れた曲は何ですか?
ジェニファー・ラッシュの「The Power of Love」です。チャート入りから1位獲得まで時間を要しましたが、最終的に100万枚以上のセールスを記録し、年間のトップとなりました。
この年のブリットアワードで注目された賞は?
Wham!が最優秀ブリティッシュ・グループ賞を、ポール・ヤングが最優秀ブリティッシュ・男性ソロアーティスト賞を受賞しました。また、ボブ・ゲルドフとミッジ・ユアには、Live Aidなどの功績により特別賞が贈られました。
当時のクラシック音楽界ではどのような動きがありましたか?
ジョン・ラターやアンドリュー・ロイド・ウェバーによる「レクイエム」の初演が行われたほか、ピーター・マクスウェル・デイヴィスが地域の特色を活かした作品を発表するなど、伝統と現代性が融合した作品が多く生み出されました。
References
- Reached number 1 in 1984
- Reached number 2 in 1984
- Reached number 8 in 1986
- Reached number 1 in 1984
- Reached number 1 in 1984
- Reached number 4 in 1984
- Reached number 2 in 1983
- Reached number 1 in 1981
- Reached number 1 in 1981