トゥジュンガ・ウォッシュの地理と歴史:ロサンゼルス川を支える重要水路

カリフォルニア州ロサンゼルス郡を流れるトゥジュンガ・ウォッシュは、全長約20.9km(13マイル)に及ぶ重要な水路です。ロサンゼルス川の主要な支流であり、川全体の流量の約5分の1を供給しています。約580平方キロメートル(225平方マイル)の広大な流域をカバーしていますが、「ウォッシュ(wash)」と呼ばれる通り、下流域を中心に通常は干上がっており、主に11月から4月にかけての嵐の時期にのみ大量の水が流れるという特徴を持っています。

Tujunga Wash, south from Victory Boulevard
: Tujunga Wash, south from Victory Boulevard

Key Facts

  • 役割:ロサンゼルス川の流量の約20%を担う主要支流。
  • 特性:季節的な水流を持つ「ウォッシュ」であり、冬季にのみ増水する。
  • 水源:サンガブリエル山脈から流れ出す2つの分流(ビッグおよびリトル)で構成。
  • インフラ:洪水制御と地下水涵養を目的としたビッグ・トゥジュンガダムとハンセンダムが設置されている。
  • 名称の由来:先住民族トンガ族の言葉に由来し、「老婆の場所」などの意味を持つ。

名称に刻まれた文化と伝承

「トゥジュンガ(Tujunga/Tuxunga)」という名は、この地に住んでいた先住民族トンガ族およびフェルナンデニョ族の言葉に由来しています。一般的に「Tuxu」は「老婆」を意味し、全体で「老婆の場所」と訳されます。これは、地域の首長であったクラウィヤウィの妻が、娘を亡くした深い悲しみから山へ隠れ、やがて石に変わったという伝承に基づいていると考えられています。実際にリトル・トゥジュンガ・キャニオンには、座った老婆のように見える巨大な岩が存在します。

一方で、ビッグ・トゥジュンガ・キャニオン付近にあったフェルナンデニョ族の村「ムクスンガ(Muxúnga)」は、方言で「射撃の場所」を意味しており、異なる意味を持つ名称が共存していた歴史が見て取れます。

水系の構造と地理的ルート

この水系は、サンガブリエル山脈を起点とする2つの大きな流れから成り立っています。

  1. ビッグ・トゥジュンガ・ウォッシュ:上流ではトゥジュンガ・クリークと呼ばれ、東から西へ流れてビッグ・トゥジュンガダム(貯水池)に集まります。ダム下流から「ウォッシュ」と呼ばれ、サンフェルナンド・バレーへと流入します。
  2. リトル・トゥジュンガ・ウォッシュ:北側のサンガブリエル山脈から流れ出し、ハンセンダムの手前でビッグ・トゥジュンガ・ウォッシュと合流します。

その後、水流は南へと向かい、途中でパコイマ・ウォッシュと合流した後、最終的にロサンゼルスのスタジオシティ地区でロサンゼルス川へと注ぎ込みます。

治水インフラと環境への影響

激しい洪水から地域を守るため、2つの主要なダムが建設されました。1931年に完成したビッグ・トゥジュンガダム(容量:約735万立方メートル)は、2011年に現代の安全基準を満たすため、ダムの厚みを2倍にする耐震補強工事が行われました。また、1940年に米陸軍工兵隊によって建設されたハンセンダムは、約9,140万立方メートルという大規模な貯水能力を備えています。

Flooding damage along the wash in 1938
: Flooding damage along the wash in 1938

これらの施設は洪水制御だけでなく、地下水への浸透(涵養)を促進する役割も担っています。しかし、上流では流速が速すぎて土壌に水が吸収されにくく、下流では都市化に伴い地面がコンクリートで覆われたため、自然な浸透が妨げられています。その結果、多くの雨水は地下に浸透せず、そのまま海へと排出される状況にあります。

過去の災害事例

1969年には深刻な洪水が発生しました。かつて不活性だった水路に水が流れ込み、深さ15〜23メートルの砂利採取場に流入したことで、河床が約4メートル削られる浸食が発生しました。この影響で、高速道路の橋3基が崩落し、7軒の住宅が流失するという被害が出ました。

水路を横断する主要インフラ

トゥジュンガ・ウォッシュは、多くの道路や鉄道によって横断されています。以下に北から南への主な交差地点をまとめます。

トゥジュンガ・ウォッシュ横断地点一覧
区分 主な横断施設・道路 建設年(一部)
ダム・上流部 ハンセンダム、グレンオークス通り 1940年 / 1953年
主要幹線道路 サンフェルナンド通り、ローレルキャニオン通り、州道170号線、州間高速5号線 1935年〜1963年
市街地道路 ロスコ通り、カンタラ通り、サティコイ通り、シャーマンウェイ 1952年〜1956年
下流・合流部 ビクトリー通り、オックスナード通り、国道101号線(ベンチュラ・フリーウェイ) 1952年 / 1959年
鉄道 ユニオン・パシフィック海岸線、メトロGライン -

Frequently Asked Questions

トゥジュンガ・ウォッシュはなぜ普段は乾いているのですか?

この水路は「ウォッシュ」と呼ばれる季節的な河川であり、主に11月から4月の雨季にのみ有意な流量が発生するため、それ以外の期間や下流域では通常、水が流れていない状態になります。

ダムの主な目的は何ですか?

最大の目的は洪水制御による被害防止です。同時に、貯めた水を地面に浸透させることで地下水を補充する「地下水涵養」という重要な役割も果たしています。

名称の由来となった伝説とはどのようなものですか?

トンガ族の伝承によれば、地域の首長の妻が娘を亡くした悲しみから山に引きこもり、そのまま石になったと言われています。この物語が「老婆の場所」という意味の名称に繋がったと考えられています。

都市化は水路にどのような影響を与えましたか?

下流域で地面がコンクリートのチャネル(水路)に置き換わったため、雨水が土壌に浸透しにくくなりました。これにより、自然な地下水への還元が制限され、多くの水が直接海へ流出するようになっています。

1969年の洪水でなぜ橋が崩落したのですか?

不活性だった水路に水が流れ込み、深い砂利採取場に達したことで激しい河床浸食が起こりました。河床が約4メートル低下したことで、橋の基礎部分が不安定になり、崩落に至りました。