1966年から1967年にかけて、アメリカのABCネットワークで放送された『The Pruitts of Southampton』(後に『The Phyllis Diller Show』に改題)は、当時の人気スタンドアップコメディアン、フィリス・ディラーを主役に据えた野心的なシットコムでした。ルーシル・ボールのような国民的コメディアンへの転身を狙ったこの作品は、その奇抜な設定と展開で、テレビ史に奇妙な足跡を残しています。
Key Facts
- 主演: フィリス・ディラー(スタンドアップコメディアン)
- 原作: パトリック・デニスの小説『House Party』(1954年)
- 放送期間: 1966年9月6日 〜 1967年4月7日(全30エピソード)
- 音楽: ヴィック・ミジー(『アダムス・ファミリー』の作曲家)
- 特徴: 途中でタイトルが『The Phyllis Diller Show』に変更された
没落した富豪一家が繰り広げる「見栄」のコメディ
物語の舞台はロングアイランドの高級住宅街、ハンプトンズ。主人公のフィリス・プルイット率いる一家は、周囲から超富裕層だと思われていますが、実態は内国歳入庁(IRS)の監査によって正体が暴かれた「一文無し」の状態でした。
しかし、彼らが破産したことが公になれば経済的な混乱を招くという、いささか無理のある理由から、IRSは彼らが大邸宅に住み続け、富豪のふりをすることを黙認します。財政難に喘ぎながらも、上流階級の体面を維持しようとする滑稽な日常が描かれました。シーズン中盤からは、資金調達のために邸宅を下宿屋として開放し、さらに風変わりな住人たちが加わることで物語は加速していきます。
第1話では、フィリスがフロントロード式の洗濯機を使って七面鳥を焼こうとするという、彼女のキャラクターを象徴するような迷シーンが披露されました。
制作の背景と『アダムス・ファミリー』との繋がり
本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務めたデヴィッド・レヴィは、直前までヒット作『アダムス・ファミリー』を手掛けていた人物です。そのため、本作には前作のスタッフやキャストが多く起用されました。音楽を担当したヴィック・ミジーは、シーズン中に2つの異なるテーマ曲を提供しています。
また、キャスト陣にも『アダムス・ファミリー』の縁があり、娘役のリサ・ロリングや、後に合流したジョン・アスティン(ゴメズ・アダムス役)が出演しました。ジョン・アスティンとマーティ・インゲルスは、1962年の作品『I'm Dickens, He's Fenster』以来の再共演となりました。
ロケ地には、ノースカロライナ州アシュビルにあるビルトモア・エステートの外観が使用され、豪華な視覚演出が図られていました。
苦戦した視聴率と後年の評価
放送開始当初は火曜日に放送されていましたが、CBSの強力なライバル番組『The Red Skelton Hour』に太刀打ちできず、視聴率ランキングでは91番組中77位という低迷を記録しました。1967年1月には、番組名を『The Phyllis Diller Show』に変更し、放送曜日を金曜日に移すなどのテコ入れが行われましたが、状況を覆すことはできませんでした。
フィリス・ディラー自身は、この作品を『ビバリーヒルビリーズ』の逆バージョンであると感じていたといいます。その後、彼女はNBCでバラエティ番組『The Beautiful Phyllis Diller Show』に挑戦しますが、こちらも低視聴率のため3ヶ月で打ち切られています。
こうした迷走ぶりから、2002年にTV Guide誌が選出した「史上最悪のテレビ番組50選」では第20位にランクインするという不名誉な評価を受けることとなりました。
番組概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ジャンル | シチュエーション・コメディ(シットコム) |
| 放送局 | ABC(アメリカ) |
| エピソード数 | 計30話(旧題17話 / 新題13話) |
| 主な出演者 | フィリス・ディラー、ジプシー・ローズ・リー、リチャード・ディーコン、ジョン・アスティン、ポール・ラインデ |
| 制作会社 | Filmways TV Productions / PhilDil Productions Limited |
Frequently Asked Questions
番組のタイトルが途中で変わったのはなぜですか?
視聴率の低迷を受け、番組の方向性を修正し、主演であるフィリス・ディラーの知名度をより前面に押し出すため、1967年1月13日のエピソード「Little Miss Fixit」から『The Phyllis Diller Show』へと改題されました。
どのようなストーリー設定だったのでしょうか?
表向きは超富裕層として振る舞っているものの、実際には破産しているプルイット一家が、内国歳入庁(IRS)の黙認のもとで、見栄を張りながら貧乏生活を送るという皮肉な設定のコメディです。
『アダムス・ファミリー』との関係はありますか?
はい。エグゼクティブ・プロデューサーのデヴィッド・レヴィや作曲家のヴィック・ミジー、そして俳優のジョン・アスティンやリサ・ロリングなど、多くのスタッフ・キャストが共通しています。
なぜ「最悪の番組」の一つに選ばれたのですか?
視聴率の低迷に加え、コメディとしての方向性が視聴者に受け入れられなかったためと考えられます。2002年のTV Guide誌のランキングでは、史上最悪の番組50選のうち20位に選ばれています。
フィリス・ディラーはこの後どうなりましたか?
1968年にNBCで週刊バラエティ番組『The Beautiful Phyllis Diller Show』を開始しましたが、こちらも視聴率が伸びず、3ヶ月で放送終了となりました。
References
- https://nostalgiacentral.com/television/tv-by-decade/tv-shows-1960s/pruitts-of-southampton-the-the-phyllis-diller-show/
- Diller, Phyllis; Buskin, Richard (2005). Like a Lampshade in a Whorehouse: My Life in Comedy. New York: The Penguin Group. pp. 190–193. .
- The Curtain Will Rise Soon for 34 New Television Programs, published August 28, 1966, in the , page 27; via
- TV Guide Guide to TV. Barnes and Noble. 2004. pp. 228. .
- 100 Favorite Moments in Television at scrubbles.net