1967年に公開された映画『ザ・コメディアンズ』は、著名な作家グラハム・グリーンが自らの小説を基に脚本を手掛けた、重厚な政治ドラマです。舞台はフランソワ・"パパ・ドク"・デュバリエによる独裁体制下のハイチ。権力による弾圧と社会の崩壊が進む中で、人々が抱く諦念や葛藤が、豪華キャストの競演によって描き出されています。
Key Facts
- 原作・脚本:グラハム・グリーンによる同名小説がベース。
- 豪華キャスト:リチャード・バートン、エリザベス・テイラー、アレック・ギネス、ピーター・ウスティノフらが出演。
- 舞台設定:デュバリエ政権下のハイチ(撮影は当時のダホメー、現ベナンおよびフランスで行われた)。
- 物語の核心:独裁政権の恐怖政治と、それに翻弄される外国人たちの運命。
- 評価:豪華な配役に反して批評家からの評価は低く、興行面でも苦戦した。
物語のあらすじと構造
物語の主人公は、母から受け継いだホテルを経営するイギリス人のブラウンです。彼は経営難に悩みながらも、皮肉な視点でハイチの現状を眺めています。そこへ、武器商人のジョーンズ少佐や、菜食主義の普及を目指すアメリカ人のスミス夫妻が訪れます。
しかし、彼らが直面したのは、デュバリエ政権の秘密警察「トントン・マクート」による残酷な弾圧でした。スミス夫妻は政権の残虐性を目の当たりにして絶望し、ジョーンズ少佐は武器取引の失敗から逃亡生活を余儀なくされます。ブラウンは、南米大使の妻であるマルタ・ピネダとの密かな関係を持ちながら、巻き込まれた客たちを助けようと奔走します。
政治に無関心を装っていたブラウンでしたが、次第に反体制派の活動に深く関わることになります。ジョーンズ少佐を反乱軍へと導く危険な旅に出ますが、そこで待ち受けていたのは残酷な結末でした。最終的にブラウンは、自らの意志とは裏腹に革命軍の一員となる道を選び、愛するマルタとの別れを迎えます。
制作の舞台裏とキャスティング
本作の撮影において最大の課題となったのは、ハイチ国内の政治情勢により現地での撮影が不可能だったことです。そのため、制作陣は当時のダホメー(現在のベナン)やフランスのコートダジュールでロケを行い、ハイチの風景を再現しました。この困難な撮影過程は、『The Comedians in Africa』という短編ドキュメンタリーとしても記録されています。
また、本作は後に世界的な名声を獲得する黒人俳優たちの若き日の姿を見ることができる貴重な作品でもあります。ジェームズ・アール・ジョーンズやシセリー・タイソンなど、後にアカデミー賞にノミネートされる才能たちが重要な役どころを演じました。
監督のピーター・グレンビルにとって、本作は彼が監督した最後の映画となりました。彼は以前、リチャード・バートンを起用した舞台『ベケット』で高い評価を得ており、グラハム・グリーンとも深い信頼関係を築いていました。
作品の評価と reception
豪華なスターキャストが集結したにもかかわらず、映画としての評価は非常に厳しいものでした。多くの批評家は、物語の展開が遅く、対話が冗長であると指摘しました。特にロジャー・エバートは、政治的な重要性を追求しようとして、結果的に「退屈で尊大な作品」になったと酷評しています。
一方で、個々の演技やカリブ海のような雰囲気作りについては一定の評価を得ました。リリアン・ギッシュがゴールデングローブ賞にノミネートされ、ポール・フォードがナショナル・ボード・オブ・レビュー賞を受賞するなど、俳優陣のパフォーマンスは認められていました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 公開日 | 1967年10月31日(ニューヨーク) |
| 上映時間 | 160分 |
| 製作国 | アメリカ合衆国 |
| 製作・配給 | メトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) 他 |
| 興行収入 | 約520万ドル |
Frequently Asked Questions
なぜハイチで撮影しなかったのですか?
当時のハイチはフランソワ・デュバリエによる独裁政権下にあり、政治的な状況が極めて不安定で危険だったため、現地での撮影は不可能と判断されました。
物語に登場する「トントン・マクート」とは何ですか?
デュバリエ政権が組織した秘密警察のことです。政権に反対する人々を拷問や殺害などで弾圧し、国民に恐怖を植え付ける役割を担っていました。
この映画は原作小説に忠実ですか?
脚本を原作の著者であるグラハム・グリーン本人が執筆しているため、物語の骨組みや政治的なテーマは強く反映されていますが、映画的な演出やシーンの追加が行われています。
出演している俳優の中で、後に有名になった人は誰ですか?
ジェームズ・アール・ジョーンズやシセリー・タイソンなど、1970年代以降にハリウッドで大活躍し、アカデミー賞にノミネートされる俳優たちが多く出演しています。
映画の結末はどうなりますか?
ジョーンズ少佐は殺害され、ブラウンは反乱軍の士気を維持するために彼の代わりとして革命軍に加わります。一方、ブラウンを助けたピネダ夫妻は国外追放となり、二人は離れ離れになります。
References
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- "The Comedians, Box Office Information". The Numbers. Retrieved March 8, 2012.
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