タスマニア州における死因の究明や遺体の管理は、タスマニア州治安判事裁判所(Magistrates Court of Tasmania)の検視部門である「検視法廷(Coroners Court)」が担っています。この法廷は、単なる死因の特定にとどまらず、州内で発生した火災や爆発事故の調査という、英国の制度にはない独自の権限を持っている点が特徴です。
Key Facts
- 管轄範囲: 遺体の管理、死因の特定、および州内の火災・爆発事故の調査。
- 組織構造: 州検視官という独立した役職はなく、治安判事長(Chief Magistrate)がその機能を兼任する。
- 資格: タスマニア州のすべての治安判事は、その職務に伴い検視官としての権限を持つ。
- 刑事連携: 検視過程で重大な犯罪が発覚した場合、州司法長官へ刑事訴追を検討するよう照会できる。
検視法廷の歴史的背景
タスマニア州の検視制度は、英国の法体系を継承して発展してきました。初期のニューサウスウェールズ州知事アーサー・フィリップは、知事としての任命状に基づき検視官の権限を有していました。その後、タスマニア州の前身であるヴァン・ディーメンズ・ランドの副知事たちも同様の権限を行使し、必要に応じて治安判事(Justices of the Peace)などを検視官に任命していました。
権限と司法手続き
検視官は、管轄区域内における死因を調査する強力な権限を有しています。具体的には、遺体の保管、検視(オートプシー)の命令、および遺体の処理方法の指示などが含まれます。また、前述の通り、火災や爆発事故の調査権限を持つ点は、本制度の特筆すべき点です。
検視の結果、犯罪の疑いが濃厚であると判断された場合、検視官はタスマニア州司法長官に報告し、刑事手続きの開始を促すことができます。なお、検視官の決定に対する不服申し立て(上訴)は原則として認められていませんが、タスマニア州最高裁判所や治安判事長が、特定の条件下で検視の再開を命じたり、最高裁判所が特権的救済(prerogative relief)を認めたりする場合があります。
組織体制と運営
タスマニア州の制度でユニークなのは、法律で定められた「州検視官(State Coroner)」という特定のポストが存在しないことです。代わりに治安判事長が以下の役割を担います。
- 州全体の検視サービスの監督および調整。
- 管轄下のすべての死亡(または死亡の疑い)が適切に調査されているかの確認。
- 必要な検視の実施確保および検視官へのガイドライン策定。
また、州知事による検視官の任命が行われるほか、司法省の秘書が首席書記官や検視助手(Coroner’s Associate)などの公務員を任命します。さらに、州内のすべての警察官は「検視官補助員(coroner’s officer)」としての役割を兼ねています。
統計と実績
法廷の業務量は年によって変動しますが、例えば2005-2006年度の統計では、636件の死亡報告があり、そのうち14件の検視(inquest)が実施されました。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 所属組織 | タスマニア州治安判事裁判所(検視部門) |
| 主な管轄 | 死因究明、遺体管理、火災・爆発事故の調査 |
| 責任者 | 治安判事長(Chief Magistrate) |
| 検視官の資格 | すべての治安判事が兼任 |
| 刑事連携 | 州司法長官への照会による刑事訴追の検討 |
Frequently Asked Questions
タスマニア州の検視官は誰が務めるのですか?
タスマニア州のすべての治安判事が、その任命に伴い検視官としての権限を持っています。また、州知事によって任命される場合もあります。
英国の検視制度と異なる点は何ですか?
タスマニア州の検視官は、死因の調査だけでなく、州内で発生した火災や爆発事故についても調査を行う権限を持っている点が、英国の制度とは異なります。
検視の結果に不服がある場合、上訴は可能ですか?
原則として検視官の決定に対する上訴はできません。ただし、治安判事長や州最高裁判所が検視を再開させる手続きや、最高裁判所による特権的救済が認められる場合があります。
州検視官(State Coroner)という役職はありますか?
いいえ、タスマニア州法には州検視官を任命する具体的な規定はありません。その代わりに、治安判事長が州全体の検視サービスの監督・調整という役割を担っています。
検視中に犯罪が見つかった場合はどうなりますか?
検視官は、重大な刑事犯罪が判明したと判断した場合、その事項をタスマニア州司法長官に報告し、刑事訴追の検討を求めることができます。
References
- "Coroners and Morgue". Archived from the original on 8 December 2007. Retrieved 29 July 2020.
- sections 59 & 59A, Coroners Act 1995
- section 7, Coroners Act 1995
- .Annual Report of the Tasmanian Magistrates Court