Synchronetは、現代のコンピューティング環境で動作するように設計された、高度なマルチプラットフォーム対応のBBS(電子掲示板)ソフトウェアパッケージです。かつてのダイヤルアップ時代の文化を継承しつつ、TCP/IPベースのネットワーク通信に最適化されており、Windows、Linux、BSDなどの多様なOSで運用することが可能です。

Key Facts

  • 開発者:Rob Swindell氏(Digital Man)および共同開発者によるプロジェクト。
  • 対応OS:Windows, Linux, BSD(クロスプラットフォーム対応)。
  • ライセンス:GPLv2 / LGPLv2(以前はパブリックドメイン)。
  • 主要機能:Telnetサーバー内蔵、JavaScriptによるカスタマイズ、多様なインターネットプロトコルのサポート。
  • 最新状況:2025年現在も安定版およびプレビュー版のリリースが継続している。

Synchronetの歩みと進化

Synchronetは1991年、Rob Swindell氏が当時のBBSソフト「WWIV」に不足していた機能(複数ノードの同時接続、バッチアップロード、双方向ファイル転送など)を実現したいと考えたことから誕生しました。開発のきっかけは、彼が手術後の療養期間中に集中してプログラミングを行ったことにあります。名称の由来は、ネットワーク上で同期的に動作させることができる能力にあります。

当初は商用ソフトとして販売されていましたが、1990年代半ばに一度低迷期を迎え、1997年にはフリーウェアとして公開され、ソースコードがパブリックドメインとなりました。その後、1999年にC++への移行を含む大規模な刷新が行われ、2000年のバージョン3.00bで32ビットWindowsへのネイティブ対応とTelnetサーバーの搭載が実現しました。このタイミングで、従来のダイヤルアップ接続からTCP/IP専用システムへと舵を切りました。

2001年からはStephen Hurd氏が開発に参画し、FreeBSDやLinuxへの移植が進みました。また、カスタマイズ言語として従来のBAJAに代わり、SpiderMonkey JavaScriptエンジンが組み込まれたことで、IRCやNNTP、GopherといったTCP/IPサービスの構築が容易になりました。さらに、後年になって「SEXPOTS」というゲートウェイプログラムが開発されたことで、現代的な環境でありながら再びモデムによる直接接続を提供することが可能になっています。

技術的な構成とサブプロジェクト

Synchronetは単なるBBSソフトではなく、複数のライブラリとユーティリティで構成されるエコシステムです。

基盤ライブラリ

  • xpdev:スレッド処理や.iniファイルの解析など、プロジェクト全体で利用されるクロスプラットフォーム開発ライブラリ。
  • ciolib:Borlandのconioライブラリをクリーンルーム実装したもので、ANSIエミュレーションや多様なフォント、画面モードをサポートし、レトロな視覚表現を可能にします。
  • UIFC:テキストベースの設定ユーティリティに使用されるユーザーインターフェースライブラリ。
  • comio:WindowsとUnix系OSの両方で動作する汎用シリアルポートAPI。

周辺ユーティリティ

ファイル転送を担うSEXYZ(X/Y/ZModem対応)や、モデム接続をTelnetに変換するSEXPOTS、そして多様な接続方式(SSH, Telnet, シリアル等)をサポートするターミナルエミュレータSyncTERMなどが提供されています。また、ANSIアート作成用のエディタSyncDrawの開発も行われています。

サードパーティ製ソフトウェアと「Door」の統合

Synchronetは、外部のBBS用アプリケーション(いわゆる「Door」プログラム)を積極的に取り込んでいます。特にDomain Entertainment社が開発したオープンソース化されたソフトウェアが統合されており、以下のようなコンテンツが利用可能です。

  • Domain Poker:最大25テーブル、各テーブル最大6名でプレイ可能なリアルタイムポーカーゲーム。
  • The Beast's Domain:最大250人が同時に参加できる、ANSIベースのマルチプレイヤー・ローグライクアドベンチャー。
  • OpenDoors:C言語向けの有名なDoorキットであり、DOOR32形式やソケット通信に対応しています。

この他にも、「The Clans」や「Virtual BBS 3」など、多くの外部ソースがプロジェクトに採用されています。

ソフトウェア仕様まとめ

Synchronet 基本仕様一覧
項目 詳細
最新安定版 3.20b (2025年1月3日リリース)
最新プレビュー版 3.20d (2025年3月3日リリース)
サポートOS Windows, Linux, BSD
ライセンス GPLv2 / LGPLv2
主要プロトコル Telnet, SSH, HTTP, FTP, SMTP, POP3

Frequently Asked Questions

Synchronetで今でもモデム接続は可能ですか?

はい、可能です。SEXPOTSというモデム・Telnetゲートウェイプログラムを使用することで、SysOp(システム管理者)は再びモデム同士の直接接続をユーザーに提供できます。

どのような言語でカスタマイズができますか?

伝統的なBAJAスクリプトに加え、組み込まれたSpiderMonkeyエンジンによるJavaScriptが利用可能です。JavaScriptを使用することで、独自のTCP/IPサービスを比較的簡単に実装できます。

SyncTERMとは何ですか?

Synchronetの基盤ライブラリ(xpdev, ciolib等)を利用して構築されたターミナルエミュレータです。TelnetやSSHだけでなく、シリアル接続やRawソケットなど幅広い接続オプションをサポートしています。

どのようなゲームをBBS内で遊べますか?

統合された「Domain Poker」や、大規模マルチプレイヤー対応のANSIアドベンチャー「The Beast's Domain」などのゲームが提供されています。

OSのサポート状況はどうなっていますか?

現在はクロスプラットフォーム対応となっており、Windows、Linux、BSDで動作します。かつてはMS-DOSやOS/2もサポートしていましたが、バージョン3.0以降でサポートが終了しました。