製造業や製品設計の分野において、異なるシステム間で正確にデータをやり取りすることは極めて重要です。そのための国際標準として知られるのが ISO 10303 です。この規格群の中で、データの表現方法としてSTEP-XML(正式名称:ISO 10303-28)が定義されています。

STEP-XMLは、産業オートメーションシステムおよび統合における製品データの表現と交換を目的としており、特にEXPRESS schema(ISO 10303-11で定義されたデータモデル)とその管理下にあるデータを、汎用的なXML(Extensible Markup Language)形式で記述するための実装手法を規定しています。これにより、従来のSTEP-Fileに代わる柔軟なデータ交換手段が提供されます。

Key Facts

  • 正式名称: ISO 10303-28産業オートメーションシステムおよび統合—製品データ表現および交換—第28部)
  • 主な目的: EXPRESSスキーマおよびそのデータをXML形式で表現すること。
  • 代替手段: 従来のSTEP-Fileに代わるデータ交換方式として機能する。
  • 基盤技術: ISO 10303-11 (EXPRESS) をベースとしたXMLマッピング。

STEP-XMLがカバーする技術的範囲

ISO 10303-28では、EXPRESSスキーマをXMLで効率的に扱うための詳細な仕様が定められています。具体的には、データの性質に応じて以下の2つのマークアップ宣言セットを使い分けます。

  • Late Bound(後方結合): 特定のEXPRESSスキーマに依存せず、あらゆるスキーマが管理するデータを記述できる汎用的な宣言セット。
  • Early Bound(前方結合): 個別のスキーマごとに最適化され、その特定のスキーマが管理するデータのみを記述する専用の宣言セット。

さらに、これら2つの宣言セット間のマッピングや、EXPRESSのプリミティブデータ型(基本データ型)をXMLの要素コンテンツや属性値としてどのように表現するかについても定義されています。また、EXPRESSスキーマ自体をXMLで表現するためのマークアップ宣言や、スキーマとデータを含むXMLドキュメントの形式も本規格の範囲に含まれます。

本規格の適用外となる事項

STEP-XMLはデータ表現の形式を規定するものですが、すべての処理をカバーしているわけではありません。以下の事項は ISO 10303-28 の範囲外として定義されています。

  • EXPRESSスキーマが持つ「意味的な意図(セマンティクス)」に依存したXMLマークアップ宣言。
  • XMLマークアップ宣言から元のEXPRESSスキーマへの逆マッピング。
  • XML形式で表現されたEXPRESSスキーマを、元のEXPRESSスキーマへ復元する処理。
  • EXPRESSスキーマから派生したXMLマークアップ宣言を、元のスキーマへ戻すマッピング。
  • 最終的なXMLスキーマの利用方法に関するマッピング。

なお、XMLマークアップ宣言とデータセットがあれば、データの意味的な意図を捉えたEXPRESSスキーマを構築することは理論的に可能ですが、それにはXMLの宣言だけでは不十分であり、データの用途や意味に関する深い理解が必要となります。

STEP-XMLの仕様まとめ

STEP-XML (ISO 10303-28) の機能範囲
区分 範囲内 (Included) 範囲外 (Excluded)
マークアップ Late Bound および Early Bound の宣言セット 意味的意図に依存する宣言
マッピング スキーマ依存型と独立型の宣言間の相互変換 XMLから元のEXPRESSスキーマへの逆変換
データ表現 プリミティブ型の要素・属性としての表現 最終的なXMLスキーマの利用マッピング
ドキュメント EXPRESSスキーマおよびデータのXML形式 -

Frequently Asked Questions

STEP-XMLとは具体的に何ですか?

ISO 10303-28で定義された規格で、製品データ交換標準であるSTEPのEXPRESSスキーマとデータを、XML形式で表現するための実装ルールです。

STEP-Fileとの違いは何ですか?

どちらもISO 10303に基づいたデータ交換手法ですが、STEP-XMLはXML(Extensible Markup Language)を利用することで、より現代的なデータ処理環境への適応や柔軟なデータ表現を可能にしています。

Late BoundとEarly Boundの違いは何ですか?

Late Boundはあらゆるスキーマに適用可能な汎用的な形式であり、Early Boundは特定のスキーマ専用に設計された最適化された形式であるという点に違いがあります。

XMLから元のEXPRESSスキーマに完全に復元できますか?

いいえ、XML表現から元のEXPRESSスキーマへ戻すマッピングは本規格(ISO 10303-28)の範囲外となっており、標準的にサポートされている機能ではありません。

どのようなデータ型がXMLで表現されますか?

EXPRESSで定義されているプリミティブデータ型(基本データ型)が、XMLの要素の内容(コンテンツ)または属性値として表現されます。