オーストラリアのメルボルン中心部に位置するビクトリア州立図書館(State Library Victoria)は、単なる本の保管場所ではなく、都市の知的遺産が集結する文化の殿堂です。1854年に「メルボルン公共図書館」として設立されたこの施設は、オーストラリアで最も古い公共図書館であり、世界的に見ても初期の無料図書館の一つとして知られています。現在では、世界で3番目に利用者の多い図書館として、地域住民のみならず世界中から訪れる人々を迎え入れています。
主要な事実(Key Facts)
- 設立年: 1854年(オーストラリア最古の公共図書館)
- 世界的な地位: 2023年時点で世界で3番目に利用者が多い図書館
- コレクション規模: 電子登録されたアイテム数は約389万点にのぼる
- アクセス: 誰でも無料で利用可能
- 法的地位: ビクトリア州の法定納本図書館(州内で出版された資料を収集・保存する義務を持つ)
歴史的変遷:構想から現代の姿まで
この壮大な建築物の始まりは、1853年にチャールズ・ラ・トローブ知事とレッドモンド・バリー卿が、図書館、博物館、美術館を統合した複合施設を建設することを決定したことにあります。設計を担ったのは建築家ジョセフ・リードで、彼のビジョンに基づき、19世紀を通じて段階的に拡張が進められました。
1856年に最初のセクションがオープンした際、バリー卿が選定した3,800冊の蔵書から始まりました。当時の利用条件は「14歳以上で、手が清潔であること」というシンプルなものでした。その後、19世紀後半にかけてクイーンズ・リーディングルームやバリー・ホールなどが次々と建設され、徐々に街区全体を埋める巨大な施設へと成長しました。

20世紀に入ると、1913年に象徴的なドーム型の閲覧室が完成し、図書館の顔となりました。その後も時代に合わせて改装が繰り返され、1970年代には近隣にメルボルン・セントラル駅(旧ミュージアム駅)が開通したことで、鉄道でのアクセスが飛躍的に向上しました。



近年では「Vision 2020」と呼ばれる大規模な再開発プロジェクト(予算約8,810万豪ドル)が実施されました。これにより、屋上庭園の整備や子供・若者向けスペースの拡充が行われ、建物の約40%が新たに一般公開されるなど、より開放的で現代的なコミュニティ拠点へと進化を遂げています。

建築のハイライトと内部空間
ラ・トローブ閲覧室(ドーム)
図書館の最大の象徴であるラ・トローブ閲覧室は、直径と高さが共に34.75メートルに及ぶ巨大な八角形の空間です。完成当時は世界最大のドームを誇りました。現在はオーストラリア関連の資料(Australiana)が収蔵されており、その圧倒的な空間美は訪れる人々を魅了し続けています。

多様な閲覧室とギャラリー
館内には、用途に合わせた多様な空間が配置されています。現代的な書籍や雑誌を扱うレッドモンド・バリー閲覧室や、予約制で貴重な資料を閲覧できるヘリテージ・コレクション閲覧室などがあります。また、カウエン・ギャラリーなどの展示スペースでは、世界的な規模の展示が行われています。


屋外空間とアート
スワンストン通りに面した前庭(フォアコート)は、学生や会社員の憩いの場となっており、大型のチェスボードが設置されているのが特徴です。また、聖ジョージの像やジャンヌ・ダルクの像など、歴史的な彫刻が点在し、屋外美術館のような雰囲気を持っています。


貴重なコレクションとサービス
ビクトリア州立図書館は、単なる貸出図書館ではなく、膨大なアーカイブを保持する研究機関としての側面を持っています。特に、ジョン・ジェームズ・オーデュボンの『アメリカの鳥類』のような世界的に希少な本や、125万枚を超える写真コレクションは圧巻です。

また、デジタル化への取り組みも積極的で、著作権が消滅した画像は無料でダウンロード可能です。さらに、世界的に見ても最大級のチェス関連コレクションを保有しており、現在はイアン・ポッター・クイーンズ・ホールにてその資料や対局テーブルが提供されています。

施設概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | オーストラリア、ビクトリア州メルボルン |
| 設立 | 1854年 |
| 蔵書数 | 電子登録アイテム 約3,892,523点 |
| 利用料金 | 無料 |
| 主要施設 | ラ・トローブ閲覧室、クイーンズ・ホール、各種ギャラリー |
| アクセス | メルボルン・セントラル駅、州立図書館停留所 |
よくある質問(FAQ)
図書館の利用に料金はかかりますか?
いいえ、ビクトリア州立図書館は無料でどなたでもアクセスし、利用することができます。
ラ・トローブ閲覧室(ドーム)の特徴は何ですか?
1913年にオープンしたこの閲覧室は、直径と高さが約34.75メートルの巨大な八角形構造をしており、完成当時は世界最大のドームでした。現在はオーストラリア関連の貴重なコレクションが収蔵されています。
どのような貴重な資料が展示されていますか?
「World of the Book」などの常設展では、300点以上の希少本や歴史的に重要なアイテムが展示されています。また、オーデュボンの『アメリカの鳥類』などの世界的な名著もコレクションに含まれています。
デジタル資料は利用できますか?
はい。125万枚以上の写真コレクションの多くがデジタル化されており、著作権のない画像はTIF形式で自由にダウンロードすることが可能です。
図書館の周辺にどのような施設がありますか?
目の前にはRMIT大学があり、またメルボルン・セントラル駅が直結しているため、非常にアクセスしやすい立地にあります。
References
- "Library Board of Victoria Annual Report 2022-23" (PDF). Retrieved 7 March 2024.
- "State Library of Victoria". . . Retrieved 27 November 2023.
- Victoria, Creative (26 June 2023). "Two million reasons to love State Library Victoria". Creative Victoria. Retrieved 4 October 2023.
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- "The history of the State Library of Victoria: The Basics". State Library Victoria. Archived from the original on 7 November 2017. Retrieved 5 November 2017.
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- Burt, Sandra (2001). "Marcus Clarke at the Public Library", La Trobe Library Journal, 67, pp. 55–60
- Jones, Mike (11 February 2015). "The library, the museum, and me". Context Junky. Archived from the original on 13 May 2022. Retrieved 27 April 2020.
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