1953年に発表された『Star Rangers』(別名:The Last Planet)は、アメリカのSF作家アンドレ・ノートンによる壮大なスペースオペラです。本作は、ノートンが構築した「セントラル・コントロール」シリーズの一冊であり、地球の歴史を投影した銀河帝国の興亡を描いています。没落しゆく帝国という退廃的な背景の中で、法と秩序を守ろうとする者たちの葛藤と冒険が繰り広げられます。
Key Facts
- 著者:アンドレ・ノートン(Andre Norton)
- 初版刊行:1953年8月20日(Harcourt, Brace & Company)
- ジャンル:サイエンス・フィクション(SF)
- シリーズ:セントラル・コントロール(Central Control)
- 舞台設定:西暦8054年、崩壊しつつある第一銀河帝国
物語の舞台と世界観
物語の舞台となるのは、かつての栄光を失い、各地で小規模な独裁者が割拠する崩壊寸前の「第一銀河帝国」です。帝国の中心組織であるセントラル・コントロールの工作員は、帝国に残された最後の法執行機関であるステラ・パトロール(星間巡視隊)を排除しようと画策します。その手段として、彼らはパトロール隊を「失われた星系」の探索という困難な任務に追いやり、実質的に追放しようとしました。
この物語の中心となるのが、偵察船「スターファイア号」です。また、作中には人間以外にも多様な異星人が登場し、物語に彩りを添えています。
- ザカサン(Zacathans):惑星ザカスの爬虫類系種族。
- トリスティアン(Trystians):羽毛に覆われた、軽快で敏捷な鳥類系種族。
- ファルサリアン(Faltharians):薄暗い惑星ファルサル出身で、光に敏感な種族。
- アゲラタン(Ageratans):アゲラト星出身の人型種族。帝国におけるローマ人のような役割を担っています(旧版ではアークトゥルス三世出身の「アークトゥリアン」とされていました)。
- ベミーズ(Bemmies):「BEM(Bug-Eyed Monster:虫のような目の怪物)」の略称から呼ばれる異星人たちの総称。
あらすじ:未知の惑星での生存競争と衝撃の真実
西暦8054年、ステラ・パトロールの偵察船スターファイア号は、地球に酷似した環境を持つ未知の惑星に不時着します。生存者たちは、文明の跡が見当たらないその地でキャンプを設営し、生き延びる道を模索します。
しかし、ある夜、空に不自然なビーコンの光が観測されました。調査に向かったカルトル軍曹とロルスは、あたかも人が住んでいるかのように明かりが灯る、放棄された都市を発見します。そこで彼らは、緊急着陸した豪華客船から200人近い人々を率いて都市を占拠していたアゲラタンの副セクター卿、ジョイド・カミと遭遇します。
パトロール隊はカミの独裁体制に巻き込まれ、やがて抑圧されていた反乱軍と共に戦うことになります。激戦の末にカミは敗走しますが、彼はテレパシーを用いてカルトルの肉体を操り、逃走を図りました。その後、意識を取り戻したカルトルは、現地の先住民の少年を救出したことをきっかけに、再びカミと対峙します。カミは先住民に「エムファイア」という致死性の熱病を広めていましたが、最終的にその病によって自滅することとなりました。
物語のクライマックスで、生存者たちは先住民が語る「神々の集会所」を訪れます。そこにあったのは、帝国の首都にある「自由惑星議事堂」と酷似した、しかし遥かに古い建築物でした。彼らはそこが伝説の「別れのホール」であることを知り、自分たちが降り立った惑星こそが、人類の故郷である地球(Terra of Sol)であったことに気づくのです。
海賊に拠点を破壊された別のパトロール隊の生存者たちとも合流したカルトルは、都市に戻るか、あるいはこの地で新生活を始めるかを問いかけます。人々は満場一致で「新たな始まり」を選択し、人類の原点である地球での再出発を決意するのでした。
作品の評価と概要
当時の専門誌『The Magazine of Fantasy and Science Fiction』は、本作を「ロマンスと驚きに満ちた見事な成功作」と評しました。広大な銀河帝国の陰謀というマクロな視点と、不時着した惑星という限定的な舞台での人間ドラマというミクロな視点を巧みに融合させた冒険譚として高く評価されています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 原題 | Star Rangers (別名: The Last Planet) |
| 著者 | アンドレ・ノートン |
| 出版年 | 1953年 |
| ページ数 | 280ページ(ハードカバー版) |
| ISBN | 978-0152794262 |
| 主要登場人物 | カルトル軍曹、ジョイド・カミ |
Frequently Asked Questions
『Star Rangers』はどのような物語ですか?
崩壊しつつある銀河帝国の法執行機関であるステラ・パトロールの隊員たちが、未知の惑星に不時着し、そこで独裁者との戦いを経て、最終的に自分たちが人類の故郷である地球に辿り着く物語です。
「セントラル・コントロール」シリーズとは何ですか?
アンドレ・ノートンによるSFシリーズで、銀河帝国の歴史や政治的な権力争いを描いた作品群です。『Star Guard』などの作品が含まれます。
作中に登場する「アゲラタン」とはどのような存在ですか?
アゲラト星出身の人型種族で、作中の銀河帝国においては、かつてのローマ帝国の citizen のように、権威ある支配層としての役割を担っている種族です。
物語の結末で、登場人物たちはどうなりますか?
彼らは自分たちがいる惑星が地球であることを知り、過去の帝国のしがらみを捨てて、地球で新しい社会を築くことを決意します。
この小説の特筆すべき点はどこにありますか?
単なるサバイバル物語にとどまらず、銀河規模の政治的陰謀と、人類のルーツへの回帰というテーマを組み合わせている点にあります。
References
- Harrison, Irene R., and Roger C. Schlobin, Andre Norton: a primary and secondary bibliography, NESFA Press (Framingham, MA), 1994, Pg 3
- Star Rangers at the Retrieved April 30, 2014