毎年6月29日に執り行われる聖ペトロ・聖パウロ使徒祭(Solemnity of Saints Peter and Paul)は、キリスト教の歴史において極めて重要な役割を果たした二人の使徒、ペトロとパウロの殉教を記念する日です。ローマでの彼らの最期、あるいは聖遺物の移送を記念して制定されたこの祝日は、カトリック教会のみならず、正教会や聖公会など、多くのキリスト教諸派で大切に守られています。
この祝日は、単なる宗教的な儀式にとどまらず、地域によっては公休日となったり、独自の文化的な祭典と結びついたりするなど、世界各地で多様な形態で祝われています。

Key Facts
- 開催日:毎年6月29日
- 目的:使徒ペトロとパウロのローマでの殉教、または聖遺物の移送を記念する
- 典礼色:殉教を象徴する「赤」が用いられる
- 主な observance:カトリック、正教会、聖公会、ルター派、オリエント正教会など
- 地域的特徴:ローマの守護聖人であるため、イタリアやマルタなどで盛大に祝われる
西方キリスト教における伝統と意義
ローマ・カトリック教会において、この日は「厳粛礼節(Solemnity)」として位置づけられています。その記録は354年のローマ暦にまで遡り、歴史的に非常に高い格付けの祝日として扱われてきました。現代のラテン教会では「義務的祝日」とされており、信徒はミサへの参列が求められます(ただし、米国やカナダでは1840年以降、義務的祝日としての扱いはなくなっています)。
また、この祝日には教皇が新任の大司教に対し、職務の象徴であるパッリウム(羊毛の帯)を授与する重要な儀式が行われます。さらに、信仰の告白を伴い、司教によって祝福された聖具を用いることで、全免償を得られる機会としても提供されています。
聖公会では「フェスティバル(Festival)」として、ルター派では「小祭日(Lesser Festival)」としてそれぞれ記念されています。
東方キリスト教およびその他の伝統
正教会と東方カトリック教会
東方正教会の伝統では、この祝日は「使徒の断食」の締めくくりを意味します。12の主要祝日には含まれませんが、それに次ぐ重要な祝日の一つとして位置づけられており、前夜から徹夜祈祷が行われることも一般的です。なお、ユリウス暦を採用している地域では、グレゴリオ暦の7月12日にあたります。
オリエント正教会
コプト正教会やエチオピア正教会では、エピポス月5日にこの祝日を祝い、同時に使徒の断食を終了させます。
スピリチュアル・クリスチャン(ドゥホボル派)
聖人崇拝を行わないカナダのドゥホボル派にとっても、この日は伝統的な祝日です。特に1895年以降は、政府による殺戮への拒否を示す象徴として武器を廃棄した「武器の焼却」を記念する日となり、現在は「ペトロの日」や「ドゥホボル平和の日」として受け継がれています。
世界各地での文化的影響と祝祭
ペトロとパウロは「永遠の都」ローマの守護聖人であるため、イタリアでは特に盛んに祝われます。南東部のプーリア州では、中世からこの祝日にタランテラ舞踊を踊る習慣があります。
また、マルタ共和国では「L-Imnarja」という名称の公休日となり、バスケット庭園などで賑やかな祭典が開催されます。その他、スイスの一部のカントン(ティチーノ、ルツェルン、グラウビュンデン)やペルー、フィリピンのいくつかの自治体でも公休日となっており、特にフィリピンのオルモク市ではパレードやバザーなどの催しが行われます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 日付 | 6月29日(ユリウス暦では7月12日) |
| 典礼色 | 赤(殉教の象徴) |
| 主な意味 | 二大使徒の殉教および聖遺物の移送の記念 |
| カトリックでの扱い | 厳粛礼節 / 義務的祝日(地域による) |
| 正教会での扱い | 使徒の断食の終了日 / 大祝日の一つ |
| 関連行事 | パッリウムの授与、タランテラ舞踊、武器焼却の記念など |
Frequently Asked Questions
なぜ典礼色に「赤」が使われるのですか?
キリスト教の典礼において、赤色は血と火を象徴します。この日は聖ペトロと聖パウロが信仰のために命を捧げた「殉教」を記念する日であるため、赤色が用いられます。
この祝日は世界中で公休日になっていますか?
いいえ、すべてではありません。しかし、カトリックの影響が強い国々(イタリア、マルタ、ペルーなど)や、特定の地域(スイスの一部やフィリピンの都市)では公休日として定められています。
正教会における「使徒の断食」とは何ですか?
聖霊降臨祭の後の月曜日から始まり、この聖ペトロ・聖パウロ使徒祭で締めくくられる断食期間のことです。この祝日が断食の終了を告げる重要な節目となります。
ドゥホボル派にとってのこの日の意味は?
彼らは聖人を崇拝しませんが、1895年に武器を焼却して非暴力を誓った歴史的な出来事を記念する「平和の日」としてこの日を祝っています。
パッリウムとは何ですか?
教皇が新任のメトロポリタン大司教に授与する、羊毛で作られた白い帯状の衣服です。これは大司教としての権限と、教皇への忠誠および一致を象徴する重要な記章です。
References
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