シャフ=ヘルツォーク宗教知識百科事典:キリスト教神学の集大成

シャフ=ヘルツォーク宗教知識百科事典(The Schaff–Herzog Encyclopedia of Religious Knowledge)は、キリスト教に関する広範な知識を網羅した権威ある宗教百科事典です。主にプロテスタントの視点から、聖書、歴史、教義、そして実践的な神学までを深く掘り下げて解説しています。

この事典の最大の特徴は、ドイツの著名な百科事典である『プロテスタント神学および教会に関する実百科事典(Realencyklopädie für protestantische Theologie und Kirche)』を基盤としている点にあります。ドイツの緻密な学術的成果を英語圏に導入し、さらに時代に合わせた更新を加えることで、世界的な宗教研究のツールとなりました。

A set of The New Schaff-Herzog Encyclopedia of Religious Knowledge.

Key Facts

  • 基盤となる著作: ドイツの『Realencyklopädie für protestantische Theologie und Kirche』に基づいている。
  • 視点: 主にプロテスタントの神学的立場から記述されている。
  • 最終版: 1908年から1914年にかけて全13巻の『新シャフ=ヘルツォーク宗教知識百科事典』として刊行。
  • 網羅範囲: 聖書的、歴史的、教義的、実践的な神学、および教会関係者の伝記をカバー。
  • 現代の利用: CCEL(Christian Classics Ethereal Library)やLogos Bible Softwareによるデジタル化が進んでいる。

編纂の歴史と発展

初期の試みとフィリップ・シャフの貢献

英語圏でヘルツォークの事典を翻訳しようとする試みは、1856年にJ.H.A.ボンバーガー牧師による要約翻訳から始まりました。しかし、アメリカ南北戦争の影響でこの計画は中断されます。その後、1877年にフィリップ・シャフ教授がヘルツォーク本人から依頼を受け、第2版の英語再現に着手しました。

Philip Schaff

シャフ教授の指導のもと、サミュエル・M・ジャクソンやD.S.シャフらが加わり、1882年から1884年にかけて第1版が刊行されました。その後、1891年には第3版が登場し、当時の著名な神学者の情報を盛り込んだ補遺などが統合され、一般に「シャフ=ヘルツォーク百科事典」として知られる4巻構成の形態となりました。

『新版』への進化と特徴

時代の変化に伴い、情報の更新が必要となったため、1908年から1914年にかけて全13巻からなる新シャフ=ヘルツォーク宗教知識百科事典が発行されました。これはドイツ側の第3版(1896–1909年)をベースにしています。

The German Realenzyklopädie für protestantische Theologie und Kirche, which Schaff-Herzog is based on.

新版では、単なる翻訳にとどまらず、以下の点が大幅に強化されました。

  • 最新情報の統合: ドイツの寄稿者に直接協力を仰ぎ、内容を凝縮させつつ最新の知見を反映させた。
  • 現代人物の詳述: 当時の人物に関する数百のスケッチを追加し、専門的な伝記情報を充実させた。
  • 書誌情報の拡充: 研究者が根源的な資料に辿り着けるよう、多言語にわたる詳細な参考文献リストを整備した。

新版の構成詳細

新版はサミュエル・マコーレー・ジャクソンが中心となって編集され、最終巻の索引はジョージ・ウィリアム・ギルモアが担当しました。以下に各巻の構成をまとめます。

新シャフ=ヘルツォーク宗教知識百科事典 巻別構成
刊行年 収録範囲(項目) 編集者
1 1908 Aachen – Basilians S. M. Jackson
2 1908 Basilica – Chambers S. M. Jackson
3 1909 Chamier – Draendorf S. M. Jackson
4 1909 Draeseke – Goa S. M. Jackson
5 1909 Goar – Innocent S. M. Jackson
6 1910 Innocents – Liudger S. M. Jackson
7 1910 Liutprand – Moralities S. M. Jackson
8 1910 Morality – Petersen S. M. Jackson
9 1911 Petri – Reuchlin S. M. Jackson
10 1911 Reutsch – Son S. M. Jackson
11 1911 Son of Man – Tremellius S. M. Jackson
12 1912 Trench – Zwingli S. M. Jackson
13 1914 索引 (Index) G. W. Gilmore

Frequently Asked Questions

この百科事典はどのような視点で書かれていますか?

主にプロテスタントの視点からキリスト教を解説しています。基盤となったドイツの『Realencyklopädie』と同様の傾向を持っています。

「新版」とそれ以前の版との主な違いは何ですか?

新版では、ドイツの寄稿者による最新の要約記事の採用、現代人物に関する詳細な伝記の追加、および研究に不可欠な詳細な書誌情報の整備が行われました。

聖書辞典として利用できますか?

聖書に関する項目は含まれていますが、項目設定は基盤となったドイツの事典に従っているため、純粋な「聖書辞典」として設計されたものではありません。

現在、この事典を閲覧する方法はありますか?

Christian Classics Ethereal Library (CCEL) がデジタル化してオンラインで公開しているほか、Logos Bible Softwareによるデジタル化プロジェクトも進行しています。

誰がこの事典の編集を主導しましたか?

初期はフィリップ・シャフ教授が主導し、後の新版ではサミュエル・マコーレー・ジャクソンが主要な編集者を務めました。