ルビー・ディーは、8十年という驚異的な期間にわたり、演劇、映画、テレビというあらゆるメディアでその才能を発揮したアメリカの至宝とも言える女優です。彼女のキャリアは単なる演技の記録ではなく、黒人表現者が芸術の世界で道を切り拓いてきた歴史そのものでもありました。

Key Facts

  • 多才な活動領域:ブロードウェイ、ハリウッド映画、テレビドラマのすべてで高い評価を得た。
  • 歴史的快挙:アメリカン・シェイクスピア・フェスティバルで、黒人女性として初めて主役を演じた。
  • 最高峰の評価:プライムタイム・エミー賞の受賞に加え、85歳でアカデミー助演女優賞にノミネートされた。
  • 芸術的パートナーシップ:夫であるオジー・デイビスと共に、演劇や音声作品で数多くの共作を残した。

キャリアの黎明期:1940年代から50年代まで

彼女の原点は、シドニー・ポイティエやハリー・ベラフォンテらと共に学んだ「アメリカン・ネグロ・シアター」での見習い時代にあります。1943年の舞台『南太平洋』でブロードウェイデビューを果たし、その後ユージン・オニールの『アンナ・ルカスタ』でタイトルロールを演じるなど、舞台俳優としての基礎を築きました。

スクリーンへの進出は1946年のミュージカル映画『That Man of Mine』から始まり、1950年の『ジャッキー・ロビンソン物語』でレイチェル・ロビンソン役を演じたことで全米にその名を知らしめます。ニューヨーク・タイムズ紙の批評家ボスリー・クラウザーは、彼女の抑制の効いた演技を高く評価しました。

Dee by Carl Van Vechten, September 25, 1962

ブレイクスルーと黄金時代:1959年〜1979年

1959年、ルビー・ディーのキャリアは決定的な転換点を迎えます。黒人女性が執筆した作品として初めてブロードウェイで上演されたロレイン・ハンズベリー作『A Raisin in the Sun』で、苦悩する主婦ルース・ヤンガー役を創出しました。この役は1961年の映画版でも演じられ、彼女の地位を不動のものにしました。

Louis Gossett Jr., Dee and Sidney Poitier in A Raisin in the Sun (1959)

その後も、夫オジー・デイビスが出演・執筆した風刺劇『Purlie Victorious』などで観客を魅了し続けました。また、テレビ分野でも活躍し、1964年には『The Doctors and the Nurses』でプライムタイム・エミー賞の主演女優賞を受賞しています。さらに、アメリカン・シェイクスピア・フェスティバルにおいて『じゃじゃ馬馴らし』のケイト役や『リア王』のコーディリア役を演じ、同フェスティバル初の黒人主役女優となりました。

1970年代には、ドキュメンタリー映画『King: A Filmed Record... Montgomery to Memphis』への出演や、大作ミニシリーズ『Roots: The Next Generations』でのクイーン・ヘイリー役でエミー賞にノミネートされるなど、社会的なメッセージを持つ作品に多く携わりました。

Left to right: Ely Landau, Ruby Dee, Paul Newman, and Sidney Lumet at the King: A Filmed Record (1970)

円熟期から晩年まで:1980年〜2014年

キャリア後半においても、彼女の挑戦は止まりませんでした。スパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『ジャングル・フィーバー』に出演し、現代的な映画表現にも適応しました。1990年のテレビ映画『Decoration Day』では、彼女にとって唯一となるプライムタイム・エミー賞を手に入れています。

また、声優としても才能を発揮し、アニメシリーズ『Little Bill』のアリス役でデイタイム・エミー賞に2度ノミネートされました。2007年にはリドリー・スコット監督の『アメリカン・ギャングスター』でママ・ルーカス役を演じ、スクリーン俳優組合賞(SAG賞)を受賞。さらに、85歳という高齢でアカデミー助演女優賞にノミネートされる快挙を成し遂げました。これは同部門の史上3番目に高齢なノミネート記録です。

Dee with Congressman David Scott in 2006

晩年はナレーション活動にも力を入れ、2004年にはケネディセンター名誉賞を受賞。2007年には夫と共にグラミー賞(最優秀朗読アルバム賞)を受賞するなど、多方面で芸術性を追求し続けました。彼女の最後の劇場公開映画は2012年の『A Thousand Words』となりました。

ルビー・ディーの主要キャリアまとめ

ルビー・ディーの主な活動と受賞歴
時代 主な代表作・活動 主な受賞・評価
1940-50年代 『南太平洋』、『ジャッキー・ロビンソン物語』 全米的な認知度の獲得
1960-70年代 『A Raisin in the Sun』、『Roots』 エミー賞主演女優賞受賞
1980-90年代 『ドゥ・ザ・ライト・シング』、『Decoration Day』 エミー賞受賞、ナショナル・メダル・オブ・アーツ
2000年代以降 『アメリカン・ギャングスター』、『Little Bill』 アカデミー賞ノミネート、SAG賞受賞、グラミー賞受賞

Frequently Asked Questions

ルビー・ディーがブロードウェイで成し遂げた歴史的な快挙は何ですか?

黒人女性が執筆した作品として初めてブロードウェイで上演された『A Raisin in the Sun』で主要役を演じたほか、アメリカン・シェイクスピア・フェスティバルにおいて、黒人女優として初めて主役を演じました。

アカデミー賞へのノミネートについて教えてください。

2007年の映画『アメリカン・ギャングスター』での演技が評価され、助演女優賞にノミネートされました。当時85歳であり、これは同部門における史上3番目に高齢なノミネート記録となっています。

夫のオジー・デイビスとはどのような関係でしたか?

1946年の舞台『Jeb』で出会い、その後は人生のパートナーとしてだけでなく、芸術的な共演者としても活動しました。共に作品に出演したほか、2007年には朗読アルバムで共にグラミー賞を受賞しています。

テレビ分野での主な受賞歴はありますか?

1964年の『The Doctors and the Nurses』でプライムタイム・エミー賞の主演女優賞を、1990年の『Decoration Day』でもプライムタイム・エミー賞を受賞しています。

演技以外にどのような活動を行っていましたか?

アニメーション作品の声優活動や、HBOの映画『Unchained Memories』などのナレーションを務めたほか、朗読アルバムの制作など、音声表現の分野でも高い実績を残しました。