時代を超えて愛される名曲『アンチェインド・メロディ(Unchained Melody)』。数多くのアーティストがカバーしていますが、なかでもライチャス・ブラザーズによるバージョンは、この楽曲の決定版として世界的に認知されています。情熱的なボーカルと壮大なサウンドが融合したこの楽曲が、いかにして誕生し、そして数十年後に再び世界的なヒットとなったのか、そのドラマチックな歴史を紐解きます。
Key Facts
- 1965年にリリースされた際、当初はB面曲として収録されていた。
- リードボーカルはボビー・ハットフィールドが担当し、コイン投げで歌唱権を勝ち取った。
- プロデュースの実質的な主導権はビル・メドリーが握っていた。
- 1990年の映画『ゴースト』への起用により、世界的なリバイバルヒットを記録した。
- 同一楽曲のオリジナル版と再録版が同時に全米トップ20に入った史上初のアーティストとなった。
偶然から生まれた名曲:1965年のレコーディング
1965年3月2日、ハリウッドのラジオ・スタジオで録音されたこの曲は、もともとA面としてリリースされる予定はありませんでした。当時のプロデューサーであったフィル・スペクターはB面曲やアルバム曲の制作に消極的だったため、実質的な制作はメンバーのビル・メドリーに任されていました。メドリーはスペクターの代名詞である「ウォール・オブ・サウンド(音の壁)」に近い重厚なインストゥルメンタル・トラックを構築しました。
歌唱を担当したボビー・ハットフィールドは、レコーディング中に重要なアレンジを加えました。当初はロイ・ハミルトンのスタイルで歌っていましたが、3回目のテイクで最終節の「I need your love」というラインのメロディを高く変更。この直感的な変更が、楽曲に劇的な感情の昂ぶりをもたらしました。なお、曲中で使用されているワルリッツァー・ピアノはメドリー自身が演奏しています。

B面からの逆転劇とチャートの快挙
この曲はシングル『Hung on You』のB面としてリリースされました。しかし、ラジオDJたちがA面よりもB面の『アンチェインド・メロディ』を好んで放送し始めたことで状況が一変します。これに憤慨したフィル・スペクターは、放送を止めるよう各局に電話をかけたと言われていますが、その努力は実りませんでした。
結果として、楽曲は米ビルボードHot 100で4位、全英チャートで14位という大ヒットを記録。ブルー・アイド・ソウル(白人によるソウルミュージック)の金字塔となりました。
映画『ゴースト』による世界的な再燃
1990年、映画『ゴースト』の劇中でこの曲が使用されたことで、再び世界的な注目を集めます。この際、ライセンスの問題から、彼らは改めてこの曲を再録音し、カセットおよびCDシングルとしてリリースしました。ハットフィールドの歌声は全盛期とは異なっていたものの、再録版は全米19位を記録し、グラミー賞にもノミネートされました。
同時に、1965年のオリジナル版も再リリースされ、全米アダルト・コンテンポラリー・チャートで2週連続1位を獲得。イギリスでは4週連続で1位となり、1990年の年間シングルチャートで首位に輝くという驚異的な快挙を成し遂げました。これにより、彼らは同一楽曲の2つのバージョンを同時に全米トップ20に送り込んだ初のアーティストとなりました。
楽曲の評価と音楽的影響
ライチャス・ブラザーズのバージョンは、現在でもこの曲の「決定版」と見なされています。特にオリジナル版におけるハットフィールドのテナーボイスは、ロマンチックな渇望感と天上的な美しさを併せ持った「ボーカルの力作」として高く評価されています。感情を揺さぶる壮大なプロダクションは、愛する人と離れた者の心を激しく揺さぶる力を持っていると評されています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| リリース日 | 1965年7月17日(オリジナル) |
| ジャンル | ブルー・アイド・ソウル |
| 作詞・作曲 | アレックス・ノース(曲)、ハイ・ザレット(詞) |
| リードボーカル | ボビー・ハットフィールド |
| 主な記録 | 全英チャート1位(1990年)、全米Hot 100 4位(1965年) |
Frequently Asked Questions
なぜこの曲はB面としてリリースされたのですか?
当時のプロデューサー、フィル・スペクターがB面曲やアルバム曲の制作にあまり関心を持たなかったため、メインの楽曲(A面)の裏側として配置されました。
ボビー・ハットフィールドが歌うことになった経緯は?
グループのルールとして、アルバムごとにメンバーが1曲ずつソロ曲を歌うことになっていました。この曲をどちらが歌うかで意見が分かれたため、コイン投げで決定し、ハットフィールドが勝利しました。
1990年に2つのバージョンがチャートに入ったのはなぜですか?
映画『ゴースト』の影響で需要が高まった際、権利関係の問題で新しく録音した「再録版」と、権利処理を経て再リリースされた「オリジナル版」の両方が市場に流通し、それぞれが支持されたためです。
この楽曲の音楽的な特徴は何ですか?
ビル・メドリーによる「ウォール・オブ・サウンド」的な重厚な伴奏と、ボビー・ハットフィールドによる感情豊かな高音域のテナーボーカルが融合している点が最大の特徴です。
イギリスでの販売実績はどうでしたか?
1990年のリバイバル時、イギリスでは4週連続で1位を獲得し、年間で最も売れたシングルとなりました。2017年時点での累計販売数は117万枚に達しています。