リヒタースケールとは?地震の規模を測るマグニチュードの仕組みと歴史

地震が発生した際、ニュースなどで頻繁に耳にする「マグニチュード」という言葉。その基礎を築いたのが、1935年にチャールズ・リヒターが発表したリヒタースケール(リヒター地方マグニチュード)です。この指標は、地震によって放出されるエネルギーの大きさを客観的に数値化することを可能にしました。

現代の地震学では、より精緻な測定が可能な「モーメントマグニチュード(Mw)」などの新しい尺度に移行していますが、今なお一般的に「リヒタースケール」という名称が地震の規模を指す言葉として広く使われています。

Key Facts

  • 開発者:チャールズ・リヒターがベノ・グーテンベルクと協力して開発。
  • 仕組み:地震計で記録された波の振幅の対数を用いて算出される。
  • エネルギーの変化:マグニチュードが1増えると振幅は10倍、放出エネルギーは約31.6倍になる。
  • 限界:非常に大規模な地震では数値が飽和し、正確な測定ができなくなる特性がある。
  • 現代の主流:現在は、より物理的な断層の破壊規模を反映するモーメントマグニチュード(Mw)が主流。

リヒタースケールの誕生と発展

リヒタースケールが登場する以前、地震の強さは、人間が感じた揺れの激しさや被害状況に基づく「震度」のような主観的な評価(ロッシ・フォレル尺度など)でしか測れませんでした。しかし、1920年代にウッド・アンダーソン地震計などの実用的な計測器が登場し、地震波を客観的に記録することが可能になりました。

チャールズ・リヒターは、カリフォルニア大学などで収集されたデータを用い、地震波の振幅と震央距離の相関関係を分析しました。彼は、天文学で星の明るさを表す際に使われていた対数スケールを導入することで、極めて小さな揺れから巨大な地震までを扱いやすい数値範囲で表現することに成功しました。

Charles Francis Richter (c. 1970)

当初、この尺度は南カリフォルニアの地質特性に基づいて設計されたため、後に「地方マグニチュード(ML)」と呼ばれるようになりました。その後、グーテンベルクらによって表面波マグニチュード(Ms)や実体波マグニチュード(Mb)など、異なる波形を用いた尺度へと発展していきました。

マグニチュードの計算とエネルギーの正体

リヒタースケールの核心は、地震計に記録された最大振幅の対数を取ることにあります。単純な足し算ではなく対数を用いるため、数値が1上がるごとに、地震波の振幅は10倍に跳ね上がります。

さらに重要なのが、放出されるエネルギー量との関係です。マグニチュードが1.0増加すると、エネルギーは約31.6倍に増加し、2.0増加すると1,000倍という劇的な差になります。つまり、マグニチュード5と7の地震では、放出されるエネルギーに1,000倍の開きがあるということです。

How Richter magnitude is determined – the larger the value on the log graph, the higher the damage caused.

マグニチュード別の影響と発生頻度

地震の規模によって、地球規模での発生頻度や地表への影響は大きく異なります。以下の表に、一般的な傾向をまとめます。

マグニチュード別 地震の特性まとめ
マグニチュード 区分 主な影響 世界的な年間発生頻度(推定)
1.0–1.9 微小 人間には感知されず、地震計のみで記録 数百万回以上
2.0–2.9 一部の人がわずかに感じるが、被害はない 100万回以上
3.0–3.9 軽微 多くの人が感じ、室内の物が揺れることがある 10万回以上
4.0–4.9 弱い 軽微な揺れが広範囲に及ぶ 10,000~15,000回
5.0–5.9 中程度 強い揺れとなり、建物に影響が出始める 1,000~1,500回
6.0–6.9 強い 激しい揺れにより、深刻な被害が出る可能性がある 100~150回
7.0–7.9 主要 多くの建物が損壊し、津波警報が出るレベル 10~20回
8.0–8.9 巨大 広範囲にわたる壊滅的な被害が発生 約1回
9.0–9.9 極大 歴史的な大災害となる 1世紀に1~3回

現代における尺度の使い分けと限界

リヒタースケール(ML)には、ある一定以上の規模の地震になると数値が頭打ちになる「飽和」という現象があります。これは、使用する地震波の波長が、巨大地震による断層の破壊領域よりも短いために起こります。そのため、マグニチュード7〜8を超える巨大地震の測定には不向きでした。

この問題を解決するために導入されたのがモーメントマグニチュード(Mw)です。これは波の振幅ではなく、断層が動いた面積とズレの量(滑り量)という物理的な量から算出されるため、どれほど巨大な地震であっても正確に規模を測定できます。現在、世界的な大地震の報告に用いられているのは主にこのMwです。

また、混同されやすいのが「震度」との違いです。マグニチュードが地震そのものの「エネルギー量(規模)」を表すのに対し、震度はある地点での「揺れの強さ(影響)」を表します。たとえエネルギーが大きくても、震源が深い場合や距離が離れている場合は、震度は低くなります。

Frequently Asked Questions

リヒタースケールとモーメントマグニチュードは何が違うのですか?

リヒタースケールは地震計の波の振幅から計算されますが、モーメントマグニチュードは断層の破壊面積やズレの量という物理的な規模から計算されます。リヒタースケールは巨大地震で数値が飽和してしまいますが、モーメントマグニチュードにはその限界がありません。

マグニチュードが1上がると、揺れはどれくらい強くなるのですか?

地震波の振幅(揺れの大きさ)で見ると10倍になります。しかし、地震が持つエネルギー量で見ると、約31.6倍という非常に大きな差になります。

マグニチュード10の地震は起こり得るのでしょうか?

理論的には、非常に広大な断層帯(例えば日本海溝から千島・カムチャツカ海溝まで)が同時に破壊され、数十メートルのズレが生じた場合に起こり得るとされています。ただし、これは数万年に一度という極めて稀なイベントになると考えられています。

なぜニュースでは今でも「リヒタースケール」と呼ばれているのですか?

リヒタースケールが歴史的にあまりに有名だったため、一般的に「マグニチュード=リヒター」という認識が定着しているからです。実際にはモーメントマグニチュード(Mw)で測定されていても、便宜上リヒターという言葉が使われることが多くあります。

マグニチュードが大きくても被害が少ないことがあるのはなぜですか?

被害の大きさはマグニチュードだけでなく、震源の深さ、震央から都市までの距離、および地盤の条件(地質)に大きく左右されるためです。人里離れた深海で起きた巨大地震よりも、都市直下の浅い場所で起きた中規模地震の方が被害が大きくなることがあります。