洗練された話し方と卓越したコメディセンスで、世界中の観客を魅了した俳優レックス・ハリソン。彼はイギリス映画界の黄金期からハリウッドの超大作まで、幅広いキャリアを築き上げました。単なるコメディアンに留まらず、重厚な歴史劇やドラマでも存在感を示した彼の足跡を辿ります。
Key Facts
- アカデミー賞受賞:映画『マイ・フェア・レディ』のヘンリー・ヒギンズ役で主演男優賞を受賞。
- 幅広い役域:軽妙なラブコメディから、ユリウス・カエサルや教皇といった歴史的人物まで演じ分けた。
- 国際的な活躍:イギリス国内での成功後、20世紀フォックス社と長期契約を結びハリウッドで名声を確立。
- 音楽的貢献:歌手としての訓練は受けていなかったが、『ドクター・ドリトル』の楽曲がアカデミー歌曲賞を受賞。
キャリアの幕開けとイギリスでの躍進
ハリソンの映画人生は1930年の『The Great Game』から始まりました。当初は端役が中心でしたが、1936年の『Men Are Not Gods』でアレクサンダー・コーダ監督と出会ったことが転機となります。
その後、ヴィヴィアン・リーと共演した『Storm in a Teacup』(1937年)で初の主演を勝ち取り、ラブコメディ俳優としての地位を固めました。また、第二次世界大戦中のロンドンで撮影された『Major Barbara』(1941年)では、高い評価と興行的な成功を収めています。1942年から1944年にかけては軍務のためスクリーンから離れていましたが、復帰後の『Blithe Spirit』(1945年)では、原作者のノエル・カワードから「世界最高のライトコメディ俳優」と称賛されるほどの演技を披露しました。
ハリウッドへの進出と20世紀フォックス時代
1946年、20世紀フォックス社からの誘いを受けたハリソンは、ハリウッドへ渡り長期契約を結びます。『Anna and the King of Siam』(1946年)や、ジーン・ティアーニーと共演した『The Ghost and Mrs. Muir』(1947年)などのヒット作を連発し、アメリカでもトップスターとしての地位を確立しました。
その後、イギリスとアメリカを往来しながら活動を続け、1954年の歴史大作『King Richard and the Crusaders』ではサラディン役を演じるなど、アクションやエピック映画にも挑戦しました。
絶頂期と『マイ・フェア・レディ』の栄光
ハリソンのキャリアにおける最大のハイライトは、1964年の『My Fair Lady』でしょう。舞台での経験を活かしたヘンリー・ヒギンズ役で、彼はアカデミー主演男優賞に輝きました。彼の歌唱スタイルは、厳格な歌唱力よりも「音楽に合わせた話し方(レチタティーヴォ)」を重視したものであり、これが多くの俳優に影響を与えました。
また、ジョセフ・L・マンケヴィッツ監督による超大作『Cleopatra』(1963年)では、ローマの権力者ユリウス・カエサルを演じ、アカデミー賞にノミネートされる快挙を成し遂げました。

波乱の制作現場と晩年の活動
名声の絶頂にあった1967年の『Doctor Dolittle』制作時には、契約上の争いから作曲家の選定に介入したり、撮影現場で自身のヨットをわざとカメラの前に配置したりするなど、気難しい一面を見せました。一時はクリストファー・プラマーに代役を検討されるほどの騒動となりましたが、最終的に作品は完成し、劇中歌「Talk to the Animals」がアカデミー歌曲賞を受賞しました。翌年には、息子のノエル・ハリソンも歌曲賞を受賞するという珍しい親子での快挙が起きています。
晩年は、舞台作品を映画化した『A Flea in Her Ear』(1968年)や『Staircase』(1969年)に出演しましたが、これらは興行的に苦戦しました。その後、一時的に活動を休止したものの、1977年の『The Prince and the Pauper』や、インド映画『Shalimar』に出演するなど、最後まで表現への意欲を持ち続けました。彼の最後の出演作となったのは、1979年に撮影された『A Time to Die』でした。
レックス・ハリソン出演作の概要
| 作品名 | 公開年 | 主な役どころ・特徴 |
|---|---|---|
| Storm in a Teacup | 1937 | 初の主演作(ラブコメディ) |
| Major Barbara | 1941 | 批評家から高く評価された役 |
| The Ghost and Mrs. Muir | 1947 | ハリウッドでの人気作 |
| Cleopatra | 1963 | ユリウス・カエサル役(オスカー候補) |
| My Fair Lady | 1964 | ヘンリー・ヒギンズ役(オスカー主演男優賞) |
| Doctor Dolittle | 1967 | 主演(劇中歌がアカデミー歌曲賞受賞) |
Frequently Asked Questions
レックス・ハリソンがアカデミー賞を受賞した作品は何ですか?
1964年の映画『My Fair Lady』(マイ・フェア・レディ)で、ヘンリー・ヒギンズ役を演じ、アカデミー主演男優賞を受賞しました。
彼は歌手として訓練を受けていたのでしょうか?
いいえ、客観的な基準で歌手ではありませんでした。そのため、音楽に合わせて話すような「レチタティーヴォ」形式の歌唱スタイルを採用していました。
『ドクター・ドリトル』の撮影中にどのようなトラブルがありましたか?
契約上の不満から、作曲家のオーディションを要求したり、撮影中に自身のヨットをわざと画面に映り込ませたりするなど、制作を混乱させる行動を取りました。
ハリウッド以外にどのような映画に出演しましたか?
イギリス映画を中心に活動したほか、インドのボリウッド映画『Shalimar』にも出演しており、国際的に活動していました。
彼が演じた歴史的な人物にはどのような人がいますか?
『Cleopatra』でのユリウス・カエサルや、『King Richard and the Crusaders』でのサラディン、『The Agony and the Ecstasy』での教皇などを演じました。