REFPROP:NISTが開発した高精度な流体熱物理特性予測ソフトウェア

化学工学や熱力学の設計において、流体の正確な物性値を把握することは不可欠です。REFPROPは、米国国立標準技術研究所(NIST)によって開発された、流体の熱物理特性を極めて高い精度で予測するための専門ソフトウェアです。1989年のリリース以来、産業界および研究機関で標準的なツールとして利用されており、複雑な流体の挙動を数値的に算出することを可能にしています。

Key Facts

  • 開発元:米国国立標準技術研究所(NIST)
  • 主な機能:147種類の純流体および混合流体の熱物理特性を予測
  • 計算基盤:主にヘルムホルツ自由エネルギーに基づく状態方程式を採用
  • 対応プラットフォーム:x86-64(Fortranで記述)
  • 最新安定版:バージョン10.0(2018年リリース)

REFPROPの動作原理と計算メカニズム

REFPROPの中核となるのは、実装されている各流体に対する状態方程式(物質の状態を記述する数学的モデル)です。多くの純流体において、実験データに適合させた「ヘルムホルツ自由エネルギー」の式を用いて計算が行われます。このアプローチにより、流体の平衡状態における多様な特性を導き出すことができます。

具体的に算出可能な特性には、密度、温度、圧力、音速、比熱、第二ビリアル係数、蒸気圧、飽和液・蒸気密度、蒸発エンタルピー、エントロピー、およびジュール=トムソン係数が含まれます。

輸送特性と混合物の扱い

平衡特性以外にも、多くの流体で表面張力、粘度、熱伝導率の予測が可能です。これらは、流体固有の実験データに適合させた方程式や、拡張対応状態則(Extended Corresponding States)という理論的な定式化を用いて算出されます。また、単一の純流体だけでなく、複数の流体が混ざり合った混合物に対しても、専用の計算手法を用いて同様の物性値を予測できる仕組みを備えています。

実装されている流体と対応範囲

バージョン10.0では、合計147種類の純流体が実装されています。その大部分は前述のヘルムホルツ自由エネルギー定式化に基づいたモデルですが、一部の物質(F3N、R-13、R-123、R-152a)については異なるモデルが採用されています。

対応物質は、一般的な水や空気(窒素、酸素、アルゴンなど)から、産業用冷媒(R-134a、R-1234yfなど)、有機溶剤、希ガス、さらには特殊なシリコキサン類まで多岐にわたります。

REFPROPの基本仕様まとめ
項目 詳細内容
開発言語 Fortran
ライセンス形態 プロプライエタリ(有償/独占的)
純流体実装数 147種類
主要算出項目 密度、比熱、粘度、熱伝導率、表面張力など
公式サイト www.nist.gov/srd/refprop

Frequently Asked Questions

REFPROPで計算できる主な物性値は何ですか?

密度、温度、圧力、音速、比熱、蒸気圧、エントロピー、蒸発エンタルピーなどの平衡特性に加え、粘度、熱伝導率、表面張力といった輸送特性も計算可能です。

どのような計算モデルが使用されていますか?

ほとんどの純流体において、実験データに適合させたヘルムホルツ自由エネルギーに基づく状態方程式が使用されています。一部の流体では別のモデルが適用されています。

混合流体の物性値も予測できますか?

はい、可能です。純流体とは異なる専用の計算手法を用いることで、混合物の熱物理特性を予測する機能を備えています。

最新バージョンはいつリリースされましたか?

安定版としての最新リリースは、2018年に公開されたバージョン10.0です。

どのようなプラットフォームで動作しますか?

x86-64アーキテクチャのプラットフォームに対応しており、プログラム自体はFortranで記述されています。