英語の膨大な語彙を網羅したRandom House Webster's Unabridged Dictionaryは、アメリカを代表する大規模な辞典の一つです。単なる単語の意味を調べる道具にとどまらず、コンピュータを用いた編纂という革新的な手法をいち早く取り入れたことで知られています。現代では、多くの人が利用するオンライン辞書「Dictionary.com」のコンテンツ基盤としてもその役割を果たしています。
Key Facts
- 初版の規模: 1966年刊行の初版は、2,256ページにわたり315,000もの見出し語を収録。
- 技術的革新: 辞書の編纂と組版にコンピュータを導入した初の辞典。
- 膨大なデータ: 2,500万語に及ぶコーパス(言語データセット)を基に構築。
- デジタル展開: 1994年のCD-ROM版では、12万件の発音データを収録。
- 現代への継承: Dictionary.comの独自コンテンツのベースとなっている。
辞書の誕生と進化の歩み
ランダムハウス社がリファレンス書籍の分野に参入したのは第二次世界大戦後のことでした。同社は、当時絶版となっていた「Century Dictionary」と「Dictionary of American English」の権利を取得し、1947年にクラレンス・バーンハート編集による「The American College Dictionary」を出版しました。これが同社の辞書事業の原点となります。
その後、1950年代後半からこの「American College Dictionary」の拡張計画が始動しました。ジェス・スタインとローレンス・アーダンという二人の編集者のもと、あらゆる分野の語彙、特に固有名詞を大幅に拡充。その結果、1966年に「The Random House Dictionary of the English Language: The Unabridged Edition」として結実しました。

編纂における哲学とアプローチ
初版の編集責任者であるスタインは、辞書が「正しい英語」を強制する権威的なガイドになるべきか、あるいは一切の主観を排して利用者に指針を与えない無機質なものになるべきかというジレンマについて言及しています。彼はその中間、つまり言語学的に健全な中道を歩むことを目指しました。
版の更新と名称の変遷
1987年にスチュアート・バーグ・フレックスナー編集による第2版が登場し、1993年には改訂が行われました。この版では、単語が言語に登場した時期を示す「日付」の記載が導入されました。特筆すべきは、特定の1年を記すのではなく、「1670–80年」のように期間で表記する手法を採用した点です。
また、名称に「Webster's」というブランド名が加わった背景には法的な経緯があります。メリアム=ウェブスター社による名称使用の制限を求める差し止め請求が、控訴裁判所によって覆されたことで、ランダムハウス社は正式に「Webster's」の名を冠することが可能となりました。
多様な展開とデジタル化
本辞典は、時代に合わせて様々な形態で提供されてきました。1982年にはコンピュータ用のスペルチェッカー「The Random House ProofReader」が発売され、2001年には第2版をベースとした「Webster's Unabridged Dictionary of the English Language」が出版されています。また、「Webster's New Universal Dictionary」などの名称で派生版もリリースされました。
基本仕様のまとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 初版刊行年 | 1966年 |
| 収録見出し語数 | 約315,000語 |
| 総ページ数 | 2,256ページ |
| 挿絵数 | 2,400点 |
| 編纂データ量 | 2,500万語のコーパス |
Frequently Asked Questions
この辞書が歴史的に画期的だった理由は何ですか?
辞書の編纂および組版のプロセスにコンピュータを導入した世界初の辞典であるためです。また、2,500万語という大規模なコーパス(言語データ)を用いて客観的な分析を行った点も革新的でした。
「Webster's」という名前が使われているのはなぜですか?
もともとはメリアム=ウェブスター社との間で名称使用に関する法的な争いがありましたが、裁判所がランダムハウス社の使用を認める判決を下したため、タイトルに組み込まれるようになりました。
単語の登場時期の表記にはどのような特徴がありますか?
多くの辞書が「最初に見つかった文献の年」を一点で記すのに対し、本辞典(第2版以降)では「1670–80年」のように、その単語が浸透したと思われる期間を幅を持って表記しています。
現在でもこの辞書の内容を利用する方法はありますか?
はい。有名なオンライン辞書サイトである「Dictionary.com」が、その独自のコンテンツのベースとしてこのランダムハウス版の情報を採用しています。
References
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