プウ・オオ火山:キラウエア東リフト帯で35年続いた歴史的噴火

ハワイ諸島のキラウエア火山、その東リフト帯に位置するプウ・オオ(Puʻu ʻŌʻō)は、近代の火山活動において極めて特異な存在です。1983年から2018年まで、ほぼ絶え間なく活動を続けたこの火山円錐丘は、過去2世紀におけるリフト帯噴火の中で最長期間の活動を記録しました。

もともとは火山学者が地図上の文字「o」の位置にあったことから便宜的に名付けましたが、後に地元の長老たちによって「掘り棒の丘」あるいは「オオ鳥の丘」を意味するハワイ語名が授けられました。この火山は、単なる自然現象にとどまらず、地域の地形を塗り替え、人々の生活に甚大な影響を与えた歴史を持っています。

Scheme of a Hawaiian eruption

Key Facts

  • 活動期間:1983年1月3日から2018年4月30日まで(約35年間)。
  • 地形的特徴:高さ約700mの地点に位置するシンダーコーン(噴石丘)およびスパッタコーン。
  • 被害規模:189棟以上の建物と14kmに及ぶ道路が溶岩に飲み込まれた。
  • 土地の拡大:噴出した約2.7立方kmのマグマにより、ハワイ南東海岸に新たな土地が追加された。
  • 最大噴水高:初期の活動時には、最大460mに達する溶岩噴水が観測された。

噴火の変遷と地質学的プロセス

1. 形成期:巨大な噴水と円錐丘の構築(1983年〜1986年)

1983年1月、東リフト帯の熱帯雨林地帯で地割れが発生し、噴火が始まりました。活動がプウ・オオの噴火口に集中すると、激しい溶岩噴水が繰り返し発生し、その際に飛散したシンダー(火山礫)やスパッタ(溶岩の飛沫)が積み重なり、高さ255mの円錐丘が形成されました。

USGS Map of Historic Flows 1983 – April 2008

2. 活動の転移:クパイアナハ噴火口への移行(1986年〜1991年)

1986年7月、マグマの通り道である導管が破裂し、活動中心が約3km下流のクパイアナハ(Kūpaʻianahā)へと移りました。ここでは激しい噴水ではなく、溶岩湖からの静かな流出という形態に変化しました。この時期に溶岩チューブ(溶岩が流れる地下トンネル)が形成されたことで、熱を保持したままのパホエホエ溶岩(滑らかな表面を持つ溶岩)が遠方まで到達できるようになりました。

Aerial view of Puʻu ʻŌʻō taken on August 30, 1990

この移行期には甚大な被害が出ました。1986年11月には溶岩が海岸線まで到達し、その後、カラパナ村やカイム村が完全に飲み込まれました。わずか9ヶ月間で100軒以上の家屋が消失し、黒砂海岸などの自然景観も塗り替えられました。

3. 安定期と断続的な変動(1992年〜2013年)

1992年になると活動は再びプウ・オオに戻り、円錐丘の側面に新たな溶岩シールド(盾状の盛り上がり)が形成されました。基本的には溶岩チューブを通じて海へ溶岩が運ばれる安定した状態が続きましたが、時折、劇的な変化が起こりました。

Cutaway of Puʻu ʻŌʻō January 1997

例えば1997年1月には、地下のマグマ供給が遮断されたことで噴火口の底が約150mも陥没し、西壁が崩落するという現象が発生しました。また、2011年には再び噴火口が陥没した後、中東リフト帯で新たな噴火が発生し、ロイヤルガーデン地区の残存していた家屋がすべて破壊されました。

Aerial view of Puʻu ʻŌʻō taken on September 10, 2007

4. パホア町への脅威と終焉(2014年〜2018年)

2014年6月、プウ・オオの北東斜面に新たな噴火口が出現しました。この溶岩流は地下の亀裂を通りながら断続的に前進し、パホア(Pāhoa)の町まで迫りました。リサイクルセンターのわずか25m先まで到達し、唯一の幹線道路である130号線が遮断される危機に陥りましたが、最終的に町への進入直前で停止しました。

USGS map of 2008 lava flows

Lava from the Puʻu ʻŌʻō cinder cone has flowed 14 miles into the town of Pāhoa. The lava has breached the boundary of the Pāhoa Transfer Station.

March 2015. Looking south toward the town of Pāhoa, and southwest toward the lava flow from Puʻu ʻOʻo – outlined by burned vegetation.

2018年4月30日、プウ・オオの噴火口底が完全に陥没し、マグマが地下へ引き抜かれました。これによりプウ・オオの活動は停止し、活動中心はさらに下流のレイラニ・エステーツへと移り、2018年の下部プナ噴火へと繋がりました。2019年1月、ハワイ火山観測所は、プウ・オオの噴火は正式に終了したと結論付けました。

Collapse in the crater of Pu‘u ‘Ō‘ō,[18] creating an ash plume (May 3, 2018)

プウ・オオ噴火の概要まとめ

プウ・オオ火山活動の主要データ
項目 詳細内容
活動期間 1983年 〜 2018年
噴出量 約 2.7 〜 3.1 立方km
影響面積 117 平方km 以上
主な溶岩形式 パホエホエ溶岩、アア溶岩(粘性が高くゴツゴツした溶岩)
主要な被害 建物189棟、道路14km、歴史的聖地(ヘイアウ)など

Frequently Asked Questions

プウ・オオとはどのような種類の火山ですか?

プウ・オオは、キラウエア火山の東リフト帯に形成されたシンダーコーン(噴石丘)およびスパッタコーンです。激しい溶岩噴水によって噴出物が積み重なってできた円錐形の丘です。

なぜ溶岩がこれほど遠くまで流れたのですか?

「溶岩チューブ」と呼ばれる地下のトンネルが形成されたためです。これにより、溶岩が地表で冷えて固まるのを防ぎ、高い温度を維持したまま効率的に遠方まで運ばれました。

パホエホエ溶岩とアア溶岩の違いは何ですか?

パホエホエ溶岩は表面が滑らかで縄状の模様を持つのが特徴ですが、アア溶岩は粘性が高く、表面が鋭くゴツゴツとした岩塊状になります。プウ・オオの活動では、時期や場所によって両方の形式が見られました。

この噴火は現在も続いていますか?

いいえ。2018年4月に噴火口が陥没して活動が停止し、2019年1月にハワイ火山観測所によって正式に噴火終了と判断されました。

どのような文化的・歴史的損失がありましたか?

多くの家屋やインフラだけでなく、ワハウル・ビジターセンターや、古代ハワイの聖なる場所であるワハウル・ヘイアウ(祭祀場)などの重要な文化的遺跡が溶岩に飲み込まれました。