惑星質量天体(PMO)とは?定義から多様な分類までを解説
宇宙には「惑星」と呼ぶには条件が足りないものの、その質量や形状が惑星に酷似している天体が数多く存在します。こうした天体を包括的に指す言葉が惑星質量天体(Planetary-Mass Object: PMO)、あるいは「プラネモ(planemo)」です。従来の天文学的な「惑星」の定義では分類しきれない多様な天体を、物理的な特性に基づいてひとまとめにした概念といえます。
PMOの根本的な定義は、その天体が持つ「質量」にあります。具体的には、自らの重力によって静水圧平衡(天体内部の圧力が均等になり、球形や楕円形に整う状態)に達するのに十分な質量を持ちつつ、恒星のように中心核で核融合反応を起こすほどではない天体を指します。
Key Facts
- 物理的定義:自重で球形(楕円体)になる質量を持ち、核融合は行わない天体。
- 多様な正体:惑星、準惑星、惑星サイズの衛星、浮遊惑星などが含まれる。
- 分類の目的:軌道上の位置や動的な条件ではなく、天体そのものの物理的性質で分類するため。
- 特殊な例:恒星から質量を失って惑星サイズになった天体や、ガス雲から直接形成された準褐色矮星も存在する。
PMOの多様なカテゴリー
PMOという用語が便利なのは、形成過程や現在の位置が異なる天体を、物理的な共通点(質量と形状)でグループ化できる点にあります。
惑星と準惑星
一般的に「惑星」は、恒星や褐色矮星などの周囲を公転し、その軌道周辺から他の物質を排除(クリア)した大きな球形天体を指します。一方、準惑星は、球形になる十分な質量を持ちながらも、軌道上の近傍を完全に掃除できていない天体です。国際天文学連合(IAU)はこれらを別カテゴリーとしていますが、物理的性質のみを重視する科学者は、準惑星も惑星の一種であると主張しています。

惑星質量衛星(サテライト・プラネット)
衛星であっても、その質量が十分に大きければPMOに該当します。例えば、ガニメデ、タイタン、カリストの3つは水星と同等かそれ以上のサイズを持っており、イオや月、エウロパ、トリトンも最大の準惑星である冥王星やエリスを上回る質量を有しています。特にタイタンは地球のように厚い大気と液体の海(メタン)を持つなど、物理的には惑星に近い特性を備えています。
![The planetary-mass moons to scale, compared with Mercury, Venus, Earth, Mars, and Pluto (the other planetary-mass objects beyond Neptune have never been imaged up close). Borderline Proteus and Nereid (about the same size as round Mimas) have been included. Unimaged Dysnomia (intermediate in size between Tethys and Enceladus) is not shown; it is in any case probably not a solid body.[1]](/images/ba/d2/bad2183d742e9d0bffa6dcc590d88b69b9217aab14d778cd6d8ee19c837f0e67.jpg)

浮遊惑星と準褐色矮星
恒星に縛られず宇宙空間を漂う「浮遊惑星(ローグプラネット)」もPMOの一種です。これらはもともと惑星系から弾き出されたものか、あるいは恒星のようにガス雲の重力崩壊によって直接形成された準褐色矮星(サブブラウン・ドワーフ)である可能性があります。後者は、重水素燃焼が起こる閾値以下の質量を持つ天体として定義されます。
![Artist's impression of a super-Jupiter around the brown dwarf 2M1207.[15]](/images/d0/aa/d0aa9e5227d0140615d3a023b006993dc226f25e9d5368de56f89e1bcd7ecfc2.jpg)
特殊な形成プロセスと天体の変遷
PMOの中には、一般的な惑星形成理論(星周円盤での集積)とは異なる経路で誕生したものが存在します。
- 元恒星の縮小:近接連星系において、一方の星が伴星に質量を奪われ続けた結果、惑星ほどの質量まで縮小することがあります。これにより、ヘリウム惑星や炭素惑星のような特殊な天体が生まれます。
- 再捕捉された惑星:星団の中を漂っていた浮遊惑星が、別の恒星の重力に捉えられ、再び惑星として公転し始めるケースがあります。この場合、元の惑星系とは異なる不規則な軌道を持つことが一般的です。
惑星質量天体のまとめ
| 分類 | 主な特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 惑星 | 恒星を公転し、軌道上の物質を排除済み | 地球、木星 |
| 準惑星 | 球形だが、軌道上の物質を排除できていない | 冥王星、エリス |
| 惑星質量衛星 | 惑星を公転する、惑星サイズの衛星 | ガニメデ、タイタン |
| 浮遊惑星 / 準褐色矮星 | 恒星を持たず単独で漂う、またはガス雲から形成 | Cha 110913-773444 |
Frequently Asked Questions
PMOと惑星の決定的な違いは何ですか?
「惑星」は軌道上の位置や周囲の物質を排除しているかという動的な条件が含まれますが、「PMO」は純粋に質量と形状(静水圧平衡に達しているか)という物理的な特性のみで定義されます。したがって、すべての惑星はPMOですが、すべてのPMOが惑星であるとは限りません。
なぜ「準褐色矮星」という呼び方があるのですか?
通常、惑星は円盤状の物質が集まって形成されますが、褐色矮星のようにガス雲が直接崩壊して形成された天体の中には、質量が非常に小さく重水素燃焼すらできないものがあります。これらを区別するために準褐色矮星と呼ばれます。
衛星が「惑星」と呼ばれることはありますか?
公式な定義では「衛星」ですが、物理的性質を重視する視点からは、ガニメデやタイタンのように惑星と同等の質量と構造を持つ天体を「サテライト・プラネット(衛星惑星)」と呼ぶことがあります。
浮遊惑星はどうやって生まれるのですか?
主に2つのルートが考えられています。一つは、惑星系で形成された後に重力的な相互作用で系外へ弾き出されたケース。もう一つは、恒星と同様に宇宙のガス雲が重力で収縮して直接誕生したケースです。
元々恒星だったものが惑星になることはありますか?
はい、可能です。近接連星系などで、一方の星が伴星に大量のガスを吸い取られ、質量が惑星レベルまで減少した場合、物理的には惑星質量天体となります。
📸 フォトギャラリー
![The planetary-mass moons to scale, compared with Mercury, Venus, Earth, Mars, and Pluto (the other planetary-mass objects beyond Neptune have never been imaged up close). Borderline Proteus and Nereid (about the same size as round Mimas) have been included. Unimaged Dysnomia (intermediate in size between Tethys and Enceladus) is not shown; it is in any case probably not a solid body.[1]](/images/ba/d2/bad2183d742e9d0bffa6dcc590d88b69b9217aab14d778cd6d8ee19c837f0e67.jpg)


![Artist's impression of a super-Jupiter around the brown dwarf 2M1207.[15]](/images/d0/aa/d0aa9e5227d0140615d3a023b006993dc226f25e9d5368de56f89e1bcd7ecfc2.jpg)