1950年代のSF黄金期を彩った作家アンドレ・ノートン(筆名:アンドリュー・ノース)による『Plague Ship』は、未知の惑星を巡る緊張感あふれる宇宙冒険譚です。本作は、危険と隣り合わせの貿易に従事する人々を描いた人気シリーズ「ソーラー・クイーン(Solar Queen)」の第2作目として、1956年に出版されました。
物語の舞台となるのは、新しく発見された辺境の惑星で貿易契約を遂行する「フリー・トレーダー(自由貿易商)」たちの世界です。彼らは予測不能なリスクを背負いながら、希少な資源を求めて銀河を旅しています。
Key Facts
- 著者:アンドレ・ノートン(Andrew North名義)
- シリーズ:ソーラー・クイーン(第2巻)
- 初版発行:1956年(Gnome Press社)
- ジャンル:サイエンスフィクション
- 主要登場人物:デイン・ソーソン(貨物責任者見習い)
物語のあらすじ:繁栄から絶望への転落
主人公のデイン・ソーソンは、貿易船ソーラー・クイーン号で貨物責任者の見習いとして修行しています。彼らが訪れた惑星サルゴルでは、猫のような外見を持つ知的生命体「サラリキ」との交流が始まりました。当初は進展が遅かった関係ですが、地球(テラ)から持ち込んだキャットニップなどの植物がサラリキに絶大な人気を博したことで、事態は急展開します。
船員たちはこれらの植物を対価として、極めて希少で価値の高い「コロス・ストーン」や、地元産の赤い木材を手に入れました。さらに、サラリキの嵐の司祭たちから、半年以内に再び植物を届けるという前払いの契約を提示され、一見すると大成功を収めたかに見えました。
しかし、地球への帰還路に就いた直後、船内に異変が起こります。激しい頭痛に始まり、やがて半昏睡状態に陥るという謎の病が乗組員を襲ったのです。この不可解な症状に耐えられたのは、デインを含む若手メンバー4名だけでした。
ハイパースペース(超空間)を抜け、地球近辺に到達した彼らを待っていたのは、歓迎ではなく「疫病船(Plague Ship)」としての宣告でした。社会から隔離されたパリア(のけ者)となった彼らは、絶望的な状況に追い込まれます。
追い詰められた乗組員たちは、船内に侵入した害虫こそが病の正体であることを突き止めます。彼らは強引に医師を連れ出し、ビデオを通じて全太陽系にその証拠を提示するという大胆な行動に出ました。この賭けが功を奏し、彼らの潔白が証明されます。
最終的に、回復した乗組員たちは交渉の末、サラリキとの貿易契約を大手インターギャラクティック貿易会社に売却しました。それによって得た資金と、静かな太陽系内郵便ルートという新たな職を得ることで、彼らは騒動に終止符を打ち、平穏な生活を取り戻したのでした。
作品詳細データ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 原題 | Plague Ship |
| 出版年 | 1956年 |
| 出版社 | Gnome Press |
| ページ数 | 192ページ |
| ISBN | 9780441062911 |
| 前作 / 次作 | Sargasso of Space / Voodoo Planet |
Frequently Asked Questions
この小説はシリーズのどの位置に当たりますか?
アンドレ・ノートンの「ソーラー・クイーン」シリーズの第2巻にあたります。前作に『Sargasso of Space』、次作に『Voodoo Planet』が続きます。
物語の主な対立構造は何ですか?
未知の惑星での貿易成功という「栄光」から、正体不明の病による「疫病船」としての社会的抹殺という絶望への転落、そしてそこからの名誉挽回という流れで物語が展開します。
「フリー・トレーダー」とはどのような存在ですか?
新しく発見された辺境の惑星などで、危険を承知で貿易契約を結び、希少な物資を取引する独立した宇宙貿易商のことです。
結末でソーラー・クイーン号はどうなりますか?
サラリキとの契約を大企業に売却して資金を得て、リスクの少ない太陽系内の郵便ルートへの転換を決めることで、船の評判と平穏を守りました。