南米のアンデス山脈、チリとアルゼンチンの国境にまたがるオホス・デル・サラドは、標高6,893メートルに達する地球上で最も高い火山です。単なる一つの山ではなく、複数の溶岩ドームや火口が重なり合って形成された巨大な複合火山であり、チリ国内では最高峰として君臨しています。周囲に多くの火山を従えるこの地は、極限の乾燥と高度がもたらす特異な自然環境で知られています。
この地域は、平均標高4,000メートルの高地平原「プナ・デ・アタカマ」の南端に位置しています。水資源が極めて乏しく、ほとんどのエリアが無人地帯となっており、未舗装路でしかアクセスできない場所が多くあります。しかし、チリ側のルート31号線が山から約20km北方を走っているため、他の高山火山に比べれば到達しやすい環境にあります。

Key Facts
- 世界最高峰の火山であり、標高は6,893メートルに達する。
- チリとアルゼンチンの国境に位置する複合火山(成層火山)である。
- 世界で最も高い場所にある火口湖(標高約6,480〜6,500m)を擁する。
- 最後の大規模な噴火は約750年頃(±250年)と推定される休火山である。
- 極めて乾燥した環境にあり、標高4,900メートル以上では植物がほぼ存在しない。
複雑な地質構造と火山の成り立ち
オホス・デル・サラドは、単一の円錐形ではなく、20以上の火口を持つ巨大な山塊です。その中心部は幅13km、奥行き12kmにわたる厚いデイサイト質の溶岩流で構成されており、表面は火砕流堆積物に覆われています。山頂付近には幅1.3km×0.5kmの主火口があり、その東西を小さな火山体が挟んでいます。また、西側にはさらに300〜400メートル幅の第2の火口が存在します。
地質学的な歴史を辿ると、この火山の活動は約330万年前から150万年前、あるいは更新世後期に始まったと考えられています。岩石の年代測定では、山頂付近の岩石は約34万年前、北側の溶岩ドームはわずか3万5千年前のものまであり、長期にわたって断続的に活動してきたことが分かります。

火山活動と現在のリスク
現在は休火山とされていますが、山頂付近や標高6,600メートル付近では、硫黄分を含むガスを放出する噴気孔(フマロール)が確認されています。過去には、風向きによっては人が窒息するほどの激しいガス放出が報告されたこともあります。また、地熱発電への利用可能性についても検討されており、地下には熱水循環システムが存在していると考えられています。
噴火リスクについては、チリの地質機関SERNAGEOMINなどの評価により「非常に低い」とされています。万が一噴火が起きた場合、溶岩ドームの形成や小規模な爆発的噴火が予想されますが、山上の氷が溶けることで泥流(ラハール)が発生し、近隣の道路に影響を与える可能性があります。
極限環境における水と氷の形態
この山で最も特筆すべきは、標高約6,500メートルに位置する世界最高所の湖です。永久凍土や雪原から供給されるこの湖は、周囲を噴気孔に囲まれており、流入する小川の水温が40.8℃に達することもあります。このような過酷な環境下でも、塩分や酸、低温に耐性を持つ極限環境微生物(バクテリア)が湖底の堆積物から発見されています。
また、氷の形態も独特です。強い日射によって氷が昇華(固体から直接気体になる現象)することで形成される、鋭い氷の塔「ペニテンテ」が観察されます。1949年には高さ5〜8メートルに達するペニテンテが報告されました。

一方で、地表の下には砂に覆われた氷が存在しており、過去には氷河が存在した痕跡(U字谷や圏谷など)も見られます。しかし、更新世においてこの地域まで氷河が広がっていた明確な証拠はなく、気候変動に伴う限定的な氷河の発達であったと考えられています。

生態系と人類の足跡
標高4,600メートルを超えると植生は極めて乏しくなり、4,900メートル以上ではほとんど見られません。ただし、地衣類や苔類はより高い標高でも生存しており、山頂付近で緑色の生物が報告された例もあります。低標高地域では、グアナコやビクーニャなどのラクダ科の動物、フラミンゴやカモなどの鳥類が生息しています。驚くべきことに、ハサミムシが標高5,960メートルで観察された記録もあります。
人類の歴史においては、インカ帝国が近隣のサン・フランシスコ峠を主要なルートとして利用していましたが、山頂に構造物を建てた形跡はありません。1937年2月26日、ポーランドの登山家ヤン・アルフレッド・シュチェパンスキとユスティン・ヴォイシュニスによって初めて登頂されました。その後、正確な標高を巡って議論が続きましたが、GPSなどの近代的な測定技術により、現在の数値が確定しました。
オホス・デル・サラドの基本データ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 最高標高 | 6,893 m |
| 山種 | 複合火山(成層火山) |
| 所在地 | チリ・アルゼンチン国境 |
| 初登頂日 | 1937年2月26日 |
| 主な岩石 | デイサイト、玄武岩、軽石、スコリア |
| 特筆事項 | 世界最高所の火山、世界最高所の湖を保有 |
Frequently Asked Questions
オホス・デル・サラドは現在も活動している火山ですか?
現在は休火山に分類されていますが、完全に死んでいるわけではありません。山頂付近には現在も硫黄ガスを出す噴気孔が存在しており、地熱活動が続いていることが分かっています。
なぜ「世界最高所の火山」と言われるのですか?
標高6,893メートルという高さは、地球上のどの火山よりも高く、アンデス山脈全体の中でもアコンカグアに次ぐ第2位の高さであるためです。
ペニテンテとは何ですか?
強い日射によって氷が昇華し、鋭い針状や塔状に積み上がった氷の造形のことです。この山のような極めて乾燥し日射の強い高地特有の現象です。
登山以外にどのような挑戦が行われていますか?
車両による最高高度到達への挑戦が盛んです。自動車、電気自動車、オートバイなどが試みられており、2015年には改造車が標高6,688メートルまで到達しました。
この山に植物や動物は住んでいますか?
標高4,900メートル以上ではほとんどの植物が消えますが、地衣類や苔類は生存しています。動物では、低地にはビクーニャなどが住み、高所ではマウスやハサミムシなどの小動物が確認されています。
References
- The Pleistocene is the geological period between 2.58 million and 11,700 years ago.
- The Holocene is the geological period between 11,700 years ago and today.
- The river does not actually originate on Ojos del Salado; according to the map from 2004, the Rio Salado originates next to .
- Paso San Francisco one of the most important crossings of the Andes with over 8,100 people crossing in 2018 when the road was paved.
- Relative to sea level; relative to base level is considerably higher.
- Cryoturbation landforms form when triggers deformation of the soil.
- There are waterbodies at 6,600 metres (21,700 ft) elevation; if considered lakes, they may be the highest lakes in the world.
- An early report of such lakes goes back to 1937.
- Several metres wide valleys that are filled with erosion debris.
- Zentilli 1974 considered the volcano linked to the so-called " Hot Line" of volcanoes but they do not have a common magma.
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