ニュージーランドにおける国営企業(State-Owned Enterprises: SOE)とは、1986年国営企業法に基づき、スケジュール1および2に登録されている企業の総称です。その多くは、かつての政府部門や行政機関が法人化されたものであり、基本的には国営企業大臣の管轄下に置かれています。
一般的に「国営企業」という言葉は、厳密な定義に関わらず政府が所有する会社や法定取引組織を指して使われることが多いですが、法的なSOEは特定の運営基準に従う必要があります。
Key Facts
- 法的根拠:1986年国営企業法に基づき運営されている。
- 運営目的:民間企業と同等の収益性を追求し、ビジネスとして成功させることが求められる。
- 管理体制:国営企業大臣と、各企業の担当大臣の2名が株主大臣として機能する。
- 支援組織:財務省の商業運営グループ(旧Crown Ownership Monitoring Unit)が運営をサポートしている。
- 民営化の傾向:収益性の追求は、将来的な民営化への準備という意味合いを含む場合がある。
SOEの機能とガバナンス
SOEの最大の目的は、政府所有でありながら、民間企業と同等の効率性と利益を上げることです。この方針は、公的サービスを維持しつつ、税金への依存を減らし、経済的な自立を促すための戦略的なアプローチと言えます。
ガバナンス面では、財務省が中心となって監視を行い、企業のパフォーマンスを管理しています。また、多くのSOEはもともと政府の省庁の一部でしたが、法人化(コーポラタイゼーション)を経て、より柔軟な経営判断が可能な体制へと移行しました。
主要な国営企業の構成
現在、スケジュール1に記載されている主な国営企業には、航空管制を担うAirways New Zealandや、郵便事業のNZ Post、送電網を管理するTranspowerなどが含まれます。これらの企業は、インフラ維持という公共性と、ビジネスとしての収益性の両立を求められています。
| 企業名 | 設立日 | 前身組織 | 主な役割・備考 |
|---|---|---|---|
| Airways New Zealand | 1987年4月1日 | 運輸省の一部 | 航空交通管制および航法提供 |
| NZ Post | 1987年4月1日 | ニュージーランド郵便局 | 郵便サービス(1987年に銀行部門等が分離) |
| Transpower New Zealand | 1994年 | ニュージーランド電力公社の子会社 | 国家送電網の運営 |
| KiwiRail Holdings Limited | 2008年7月1日 | Toll NZ / Ontrack | 鉄道輸送およびインフラ管理 |
| MetService | 1992年7月 | 運輸省の一部 | 気象サービス提供 |
政府所有企業の多様な形態
厳密な意味でのSOE以外にも、政府が資本を保有する組織は数多く存在します。これらは財務省の監視下にありますが、法的なSOEとは異なる枠組みで運営されています。
一部政府所有企業(State-part-owned enterprises)
政府が株式の一部を保有している形態です。例えば、Air New Zealand(約52%保有)や、Genesis Energy、Mercury Energyなどのエネルギー関連企業が挙げられます。これらの多くは株式市場に上場しており、民間資本と政府資本が混在しています。
その他の政府所有組織(Crown Entities)
Crown Research Institutes(政府研究機関)や、TVNZ(ニュージーランドテレビ)、RNZ(ニュージーランド放送協会)などの放送局は、SOEではなく「Crown Entity(政府機関)」として分類されています。
民営化と組織の変遷
ニュージーランドでは、かつてのSOEが民営化されるケースが数多くありました。これは、政府が直接運営するよりも民間による競争を導入した方が効率的であるという判断に基づいています。
代表的な民営化事例としては、BNZ(ニュージーランド銀行)の売却や、Telecom New Zealandの民営化などが挙げられます。また、一部の企業は民営化されずに解散(例:Solid Energy)したり、再び政府の管理下に戻ったり(例:KiwiRail)するなど、時代の要請に合わせて形態を変化させてきました。
Frequently Asked Questions
SOEと一般的な政府機関の違いは何ですか?
一般的な政府機関が行政サービスの提供を主目的とするのに対し、SOEは民間企業と同様に「収益を上げること」を目的として運営される点が異なります。
すべての政府所有企業は民営化されるのでしょうか?
必ずしもそうではありません。収益性の追求は民営化への準備とされることが多いですが、公共インフラの維持など、戦略的な理由から政府が保有し続けるケースもあります。
Air New ZealandはSOEに該当しますか?
いいえ、Air New Zealandは政府が株式の一部を保有していますが、厳密な意味でのSOE(1986年法スケジュール1の企業)ではなく、一部政府所有企業に分類されます。
SOEの経営は誰が監督していますか?
主に国営企業大臣と各企業の担当大臣が株主としての責任を持ち、実務的な監視とサポートは財務省の商業運営グループが行っています。
過去に民営化された有名な企業はありますか?
BNZ(ニュージーランド銀行)やTelecom New Zealandなどが代表的です。また、National Film Unitはピーター・ジャクソン氏に買収され、Park Road Postとなりました。
References
- "List of Entities monitored by the Treasury". The Treasury. 5 January 2016.
- "Schedule 1 – State enterprises". State-Owned Enterprises Act 1986. Parliamentary Counsel Office.
- NZ Government, NZ (18 December 1986). "State-Owned Enterprises Act 1986 No 124 (as at 01 December 2014), Public Act 1 Short Title and commencement – New Zealand Legislation". www.legislation.govt.nz. Government of New Zealand. Retrieved 5 December 2016.
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