ニュージーランドのメディア界において、オークランドを拠点とするニュージーランド・ヘラルド(The New Zealand Herald)は、単なる日刊紙以上の存在です。同国における「記録新聞(newspaper of record)」としての地位を確立しており、広範な流通網とデジタル戦略によって、国民に多大な影響を与え続けています。
現在はNZME(New Zealand Media and Entertainment)の傘下にあり、伝統的な紙媒体から最先端のニュースアプリまで、多様なプラットフォームで情報を発信しています。
Key Facts
- 創刊: 1863年11月13日(ウィリアム・チザム・ウィルソンによって設立)
- 拠点: ニュージーランド、オークランド
- 所有者: NZME
- 主要ブランド: 日刊紙のほか、「Weekend Herald」および「Herald on Sunday」を展開
- デジタル実績: 2020年から2023年までVoyager Media Awardsで「ニュースウェブサイト・オブ・ザ・イヤー」を4年連続受賞
- 政治的傾向: 伝統的に中道右派とされる
創刊から統合への歩み
19世紀半ば、オークランドの人口急増というビジネスチャンスを見出したウィリアム・チザム・ウィルソンにより、本紙は誕生しました。創刊当時、ウィルソンはマオリとの紛争(当時「先住民の反乱」と呼ばれた)を支持する立場にあり、この政治的見解の相違が、以前のパートナーであったジョン・ウィリアムソンとの決別と新紙創刊のきっかけとなりました。
その後、競合であった「デイリー・サザン・クロス(The Daily Southern Cross)」との激しい競争時代を経て、1876年にウィルソン家とホートン家が提携。これにより、ヘラルド紙がサザン・クロス紙を吸収合併し、現在の強固な基盤が築かれました。

また、業界全体の効率化を図るため、1879年には主要紙の間でニュースを共有する連合体が結成され、後のニュージーランド・プレス協会(NZPA)へと発展しました。所有権は時代と共に変遷し、ダブリンのインディペンデント・ニュース&メディア・グループやAPN NZを経て、2014年に現在のNZME体制へと移行しています。
多様な発行形態とデジタル展開
ニュージーランド・ヘラルドは、読者のライフスタイルに合わせた複数の形態でニュースを提供しています。平日はコンパクト版を採用し、土曜日は伝統的なブロードシート(大判)形式の「Weekend Herald」を発行しています。また、日曜版の「Herald on Sunday」は、国内で最も読まれている日曜紙として知られています。
デジタル分野への移行も迅速で、1998年に開始したオンラインサービスは、現在では週に220万回閲覧される巨大プラットフォームへと成長しました。2019年からは一部のプレミアムコンテンツにペイウォール(有料壁)を導入し、質の高いジャーナリズムを維持するための収益モデルを構築しています。
主要媒体の概要
| 媒体名 | 形式・特徴 | 主な実績・役割 |
|---|---|---|
| The New Zealand Herald | 日刊紙(平日:コンパクト版) | 国内最大の流通数を誇る記録新聞 |
| Weekend Herald | 週刊(土曜:ブロードシート版) | 2023年「週間新聞・オブ・ザ・イヤー」受賞 |
| Herald on Sunday | 日曜版(コンパクト版) | 国内で最も読まれている日曜紙 |
| nzherald.co.nz | ニュースウェブサイト・アプリ | 4年連続でニュースサイト賞を受賞 |
論争と社会的責任
長い歴史を持つがゆえに、同紙はいくつかの深刻な誤報や倫理的問題に直面してきました。2014年には、ガザで戦死した兵士の記事において、誤って別の人物(テレビスターのライアン・ダン)の写真を掲載し、遺族に謝罪する事態となりました。また、2015年には取材手法における不適切さがプレス評議会によって指摘され、担当記者が辞任しています。
さらに、2020年には中国共産党の機関紙「人民日報」によるCOVID-19に関する誤情報を掲載したことで批判を浴び、後にウェブサイトから削除しました。直近の2024年には、特定の政治団体による広告掲載を巡り、マオリ党(Te Pāti Māori)から抗議を受け、関係を一時停止されるなどの影響が出ています。
Frequently Asked Questions
ニュージーランド・ヘラルドの政治的な傾向はどうですか?
伝統的に中道右派の傾向があると言われており、1990年代までは「グラニー・ヘラルド(おばあちゃんヘラルド)」という愛称で呼ばれていました。
どのような地域で購読されていますか?
主にオークランド地域が中心ですが、ノースランド、ワイカト、ウェリントンなど、北島の広範囲にわたって配送されています。
デジタル版は無料で読めますか?
多くの記事は無料で閲覧可能ですが、2019年4月より「プレミアムコンテンツ」として一部の有料記事が導入されています。
どのような賞を受賞していますか?
Voyager Media Awardsにおいて、ニュースウェブサイト部門で2020年から2023年まで4年連続で受賞したほか、ニュースアプリ部門や週間新聞部門でも高い評価を得ています。
現在の編集責任者は誰ですか?
編集長(Editor-in-chief)および平日版の編集者は、マレー・カークネス(Murray Kirkness)氏が務めています。
References
- "NZME managing editor Shayne Currie moves into new role". The New Zealand Herald. 14 March 2023.
- "Murray Kirkness appointed new editor of New Zealand Herald". The New Zealand Herald. 18 June 2015.
- Te, Saing (2021). Media Ownership in New Zealand from 2011 to 2020 (PDF) (Report). Commissioned by the Journalism, Media and Democracy (JMAD) Research Centre. Auckland University of Technology, School of Communication Studies. p. 7. Archived from the original (PDF) on 5 February 2023. Retrieved 23 July 2022.
-
- "Behind the Lines: The New Zealand Herald". Museum of Australian Democracy. Government of Australia. 2022.
- Wild, Jane (9 August 2017), "NZ Herald glass plate negatives and the man in a hat with a cat", Heritage et AL, Auckland Libraries, Unique collections and resources from Auckland Libraries research centres and heritage collections,
This builds on our partnership with the New Zealand Herald getting the newspaper of record microfilmed and digitised ...
- Sommer, Udi; Rappel-Kroyzer, Or (2 October 2022). "Online coverage of the COVID-19 outbreak in Anglo-American democracies: Internet news coverage and pandemic politics in the USA, Canada, and New Zealand". Journal of Information Technology & Politics. 19 (4): 393–410. :10.1080/19331681.2021.1997869. 244545175.
We comprehensively study the coverage of the outbreak on the internet website of a newspaper of record in each [country]. ... the websites of the New York Times, New Zealand Herald, and the Globe and Mail ...
- "More eyes on the Herald as readership rises to 844,000 a day". The New Zealand Herald. 7 November 2014. Retrieved 21 August 2015.
- "NAB – New Zealand Herald". Newspaper Advertising Bureau. 2012. Archived from the original on 8 May 2012. Retrieved 23 May 2012.
- "Death of Mr. W. C. Wilson". The New Zealand Herald. Vol. XIII, no. 4569. 6 July 1876. p. 2. Retrieved 6 May 2026 – via .
- "Background: Daily Southern Cross". Papers Past. – Te Puna Mātauranga o Aotearoa. Retrieved 27 October 2023.
- "Background: The New-Zealander". Papers Past. National Library of New Zealand – Te Puna Mātauranga o Aotearoa. Retrieved 27 October 2023.
- Horton, Michael (1 September 2010). "Horton, Alfred George". . . Retrieved 15 September 2012.