ブラジル、リオデジャネイロのシネランディア広場に位置するブラジル国立図書館(Fundação Biblioteca Nacional)は、同国の書誌的・文書的な遺産を保管する最高機関です。ユネスコによってラテンアメリカ最大、そして世界で7番目に大きな図書館として認められており、その膨大なコレクションはブラジルの歴史と文化を象徴しています。
かつての首都であったリオデジャネイロの中心部にあり、国立美術館や市立劇場とともに、都市の文化的・建築的な価値を高める重要なアンサンブルを形成しています。

Key Facts
- 蔵書規模: 約900万点に及ぶ膨大なアイテムを所蔵。
- 世界的な地位: ラテンアメリカ最大、世界第7位の規模を誇る。
- 設立年: 1810年(ポルトガル王室の命により創設)。
- 重要コレクション: ユネスコ「世界記憶遺産」に登録された写真コレクションを保有。
- 先駆的な取り組み: ラテンアメリカで初めて図書館学のコースを開設し、サービスの近代化を牽引。
図書館の起源と波乱の歴史
この図書館のルーツは、1755年にリスボンを襲った大地震にまで遡ります。当時、ヨーロッパでも有数の規模を誇ったポルトガル王立図書館が甚大な被害を受けたため、貴重な蔵書を保護すべくブラジルへ移送することが決定されました。
1810年から1811年にかけて3段階に分けて運ばれた約6万冊の書籍は、当初カルメル会の病院の2階に保管されていました。しかし、施設が不十分で貴重な本を損なう恐れがあったため、1810年10月29日、摂政王子ジョアン(後のポルトガル王ジョアン6世)が王室資金による正式な図書館設立を布告しました。これが現在の国立図書館の創立日とされています。

主権の移行と帝国への継承
1821年にジョアン6世がリスボンへ帰還した後も、図書館はブラジルに留まりました。1822年のブラジル独立後、このコレクションはブラジル帝国の所有となりました。1825年のポルトガル・ブラジル間の友好同盟条約に基づき、王室側へ200万ポンドの補償金が支払われ、その一部である800コントス・デ・レイスが図書館の買い取り費用に充てられました。これにより、名称は「宮廷帝国公共図書館」へと変わりました。
建築の進化と現在の姿
蔵書の増加に伴い、図書館は移転と拡張を繰り返しました。1858年にはラパ広場のパッセイオ通りに移りましたが、世界中からの寄贈や購入、希少な美術品の収集により、さらに大きな施設が必要となりました。
現在の建物は、軍事エンジニアのソウザ・アギアルによって設計され、1905年に定礎、そして創立100周年にあたる1910年10月29日に開館しました。建築様式は、新古典主義とアールヌーヴォーが融合した折衷主義が特徴です。内部にはエリゼウ・ヴィスコンティなどの著名な芸術家による装飾が施されています。


知の管理と法的枠組み
ブラジル国立図書館は、単なる保管場所ではなく、学問的な発展の拠点でもありました。1911年にはマノエル・シセロ・ペレグリーノ・ダ・シルバによって南米初の図書館学コースが設立され、多くの司書が欧米の大学で学び、サービスの近代化やオンラインデータベースの開発へと繋げました。
法定納本制度(Legal Deposit)
ブラジルの知的生産物を確実に保存するため、1907年の大統領令(後に2004年の法律第10,994号に更新)により、すべての出版社は出版物のコピーを1部、国立図書館に送付することが義務付けられています。この制度は、国家の言語と文化を保護し、ブラジルの書誌情報を管理・普及させることを目的としています。
特筆すべきコレクション
数ある蔵書の中でも特に価値が高いのが、「テレザ・クリスティーナ・マリア写真コレクション」です。19世紀のブラジルの歴史や人々を捉えた21,742枚の写真で構成されており、1891年にペドロ2世皇帝から寄贈されました。その世界的な重要性が認められ、2003年にユネスコの「世界記憶遺産」に登録されています。ここにはモーリッツ・ランベルクによる作品のほか、アフリカ、北米、ヨーロッパの写真も含まれています。
概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | Fundação Biblioteca Nacional |
| 所在地 | ブラジル、リオデジャネイロ(シネランディア広場) |
| 設立年 | 1810年 |
| 蔵書数 | 約9,000,000点 |
| 建築様式 | 折衷主義(新古典主義・アールヌーヴォー) |
| 主要な遺産 | テレザ・クリスティーナ・マリア写真コレクション(世界記憶遺産) |
Frequently Asked Questions
ブラジル国立図書館はなぜ設立されたのですか?
1755年のリスボン大地震でポルトガルの王立図書館が甚大な被害を受けたため、貴重な蔵書を安全なブラジルへ移送し、保護・管理することを目的として設立されました。
世界的に見てどのくらいの規模があるのですか?
ユネスコの評価によれば、ラテンアメリカで最大であり、世界全体で見ても7番目に大きな規模を持つ図書館です。蔵書数は約900万点に達します。
「法定納本」とはどのような制度ですか?
国内のすべての出版社に対し、出版した資料のコピーを1部、国立図書館に提出することを義務付ける制度です。これにより、国家の知的生産物の登録と保存、文化の保護が行われています。
どのような貴重なコレクションがありますか?
特に有名なのが、19世紀の写真を収めた「テレザ・クリスティーナ・マリア写真コレクション」です。ブラジルだけでなく世界各国の歴史的な写真が含まれており、ユネスコの世界記憶遺産に登録されています。
現在の建物はどのような特徴がありますか?
1910年に完成した現在の建物は、新古典主義とアールヌーヴォーを組み合わせた折衷主義的なスタイルで設計されており、著名な芸術家による装飾が施された文化的に価値の高い建築物です。
References
- "Fundação Biblioteca Nacional". Archived from the original on 2014-03-27. Retrieved 2012-12-06.
- Murray, Stuart A. P. “The Library: An Illustrated History.” New York, NY: , 2012, p. 277.
- Murray, S. (2009). The library : an illustrated history / Stuart A.P. Murray; introduction by Donald G. Davis, Jr.; foreword by Nicholas A. Basbanes. New York, NY : ; Chicago : ALA Editions, 2009.
- Wayne A. Wiegand and Donald G Davis, Jr., eds, Encyclopedia of Library History (1994) pp 86=87
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- FONSECA, Edson Nery. A biblioteconomia brasileira no contexto mundial. Rio de Janeiro; . 1979. p. 26
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