全米書評家協会(NBCC)の役割と文学賞の歴史
アメリカの文学界において、作品の価値を公正に評価し、批評の質を向上させる重要な役割を担っているのが全米書評家協会(NBCC: National Book Critics Circle)です。ニューヨークに拠点を置くこの非営利団体は、700名以上の書評編集者や批評家が集う専門家組織であり、毎年発表される権威ある文学賞で広く知られています。
Key Facts
- 設立: 1974年4月、ニューヨーク市にて設立。
- 目的: 文学批評の基準を維持・向上させ、批評家同士の対話を促進すること。
- 構成: 700名以上の現役書評編集者および書評家で構成。
- 主要活動: 毎年3月に「全米書評家協会賞」を授与。
- 運営: 選出された24名の理事(Directors)がノミネートと最終選考を行う。
NBCCの成り立ちと理念
NBCCは1974年、ジョン・レナード、ノナ・バラキアン、アイヴァン・サンドロフの3名によって創設されました。彼らの狙いは、かつての「アルゴンキン・ラウンドテーブル(知的な社交集団)」のような活発な議論を、全米規模の対話へと広げることでした。
同年10月にニューヨーク州の非営利法人として正式に認可され、11月には年次文学賞の設立が決定しました。初代会長のアイヴァン・サンドロフは、価値観が低下しつつある時代において、文学批評の水準を高く保つことが組織の至上命題であると宣言しています。
全米書評家協会賞の仕組みとカテゴリー
1976年に初めて授与されたこの賞は、前年に出版された優れた書籍を称えるものです。投票権を持つのは現役のレビュー編集者と書評家のみであり、彼らが選出した24名の理事が厳格な選考プロセスを経て受賞作を決定します。
主な受賞カテゴリー
現在は以下の8つの賞が設けられています。そのうち6つは、前年に米国で出版された「最高の書籍」を分野別に選出するものです。
- 作品部門: フィクション、ノンフィクション、自伝、伝記、批評、詩
- 翻訳部門: グレッグ・バリオス翻訳書賞
- 個人・団体賞: ノナ・バラキアン優秀書評賞(最も優れた書評家へ授与)、アイヴァン・サンドロフ生涯功労賞(書籍への格別な貢献をした個人・団体へ授与)
また、近年では若手批評家の育成を目的とした「エマージング・クリティクス・フェローシップ(2017年設立)」や、機関を称える「トニ・モリソン功労賞(2021年設立)」など、活動の幅を広げています。

組織の変遷と直面した課題
長年にわたり文学界をリードしてきたNBCCですが、2020年には組織内部で大きな混乱が生じました。理事会のメンバーの半数以上が辞任するという異例の事態が発生したのです。
この騒動の背景には、出版業界および協会内部における人種的な格差への対応を巡る意見の対立がありました。また、内部メールの流出による機密保持の侵害や、一部理事による威圧的なコミュニケーションスタイルへの反発も重なり、業界全体で問われている「多様性の欠如」という課題が表面化した形となりました。
NBCCの概要まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | National Book Critics Circle |
| 設立年 | 1974年 |
| 組織形態 | 非営利団体(501(c)(3)) |
| 会員数 | 700名以上 |
| 主な賞 | 全米書評家協会賞(Fiction, Nonfiction等) |
| 公式サイト | www.bookcritics.org |
Frequently Asked Questions
NBCCの会員になるにはどのような条件がありますか?
投票権を持つ正会員となるには、現役の書評編集者であるか、あるいは現役の書評家である必要があります。
文学賞の選考はどのように行われますか?
会員によって選出された24名の理事が、ノミネート作品の決定から最終的な受賞作の選定までをすべて担います。
「ノナ・バラキアン優秀書評賞」とは何ですか?
1991年から創設された賞で、その年に最も優れた書評を執筆したNBCC会員に贈られるものです。
トニ・モリソン功労賞はどのような賞ですか?
2021年に設立された賞で、個人ではなく、文学的な貢献をした「機関(インスティテューション)」を称えるために設けられました。
NBCCはどのような目的で設立されましたか?
文学批評の水準を維持・向上させるとともに、批評家たちが国レベルで対話できる場を提供することを目的として設立されました。