1970年にリリースされたナンシー・ウィルソンのスタジオ・アルバム『Can't Take My Eyes Off You』は、彼女の多才な表現力が光るヴォーカル・ジャズの傑作です。キャピトル・レコードから発表された本作は、当時のポピュラー音楽シーンを象徴する作曲家たちの楽曲を、彼女独自のスタイルで再解釈した作品となっています。
本作の最大の特徴は、その豪華な楽曲構成にあります。バート・バカラック&ハル・デヴィッド、レナード・コーエン、ライバー&ストラー、ジミー・ウェブといった名だたるソングライターの作品が収録されており、音楽的な深みと華やかさを兼ね備えています。当時の音楽誌『Record World』も、彼女の明るく温かみのある歌声を絶賛し、「作曲家のためのアルバム」と評しました。
Key Facts
- リリース年:1970年3月
- ジャンル:ヴォーカル・ジャズ
- プロデューサー:デヴィッド・カヴァノー
- 主要チャート:Billboard 200で最高155位、Hot R&B LPsで最高38位を記録
- 特筆点:前作『Hurt So Bad』で好評だったタイトル曲を再収録し、アルバムの顔とした
アルバムの背景と音楽的構成
本作のタイトル曲「Can't Take My Eyes Off You」は、もともと1969年の前作アルバムに収録されていました。しかし、ラジオでの放送を通じて爆発的な人気を博したため、キャピトル・レコードはこの曲をタイトルに据えて新アルバムを構成するという戦略的な決定を下しました。
音楽面では、フィル・ライトとジミー・ジョーンズが編曲と指揮を担当し、ロサンゼルスでレコーディングが行われました。バカラックとボブ・ヒリアードによる初期の楽曲「Waitin' For Charlie To Come Home」や、ダスティ・スプリングフィールド、ブラッド・スウェット&ティアーズによって有名になった楽曲などが盛り込まれ、ジャズの枠を超えた幅広いリスナーに訴えかける内容となっています。
収録曲リスト
| ディスク面 | 曲名 | 作詞・作曲 | 時間 |
|---|---|---|---|
| Side 1 | Waitin' For Charlie To Come Home | B. Bacharach, B. Hilliard | 2:33 |
| Side 1 | A Brand New Me | J. Butler, K. Gamble, T. Bell | 3:00 |
| Side 1 | Mixed Up Girl | Jimmy Webb | 2:30 |
| Side 1 | Raindrops Keep Falling On My Head | B. Bacharach, H. David | 2:54 |
| Side 1 | This Girl Is a Woman Now | A. Bernstein, V. Millrose | 3:05 |
| Side 2 | Can't Take My Eyes Off You | B. Crewe, B. Gaudio | 3:21 |
| Side 2 | Words And Music | J. Segal, M. Fisher | 2:02 |
| Side 2 | Suzanne | Leonard Cohen | 4:34 |
| Side 2 | You Made Me So Very Happy | B. Gordy, B. Holloway, F. Wilson, P. Holloway | 3:14 |
| Side 2 | Trip With Me | J. Leiber, M. Stoller | 2:21 |
後世への影響とリマスター版
リリース当時はBillboard 200で6週間のチャートインにとどまりましたが、R&Bチャートではより高い評価を得るなど、ジャンルを横断する彼女の魅力が証明されました。
2013年にはSoulMusic Recordsより、デジタルリマスター版がリリースされました。このCDでは、同じく1970年に発表されたアルバム『Now I'm a Woman』と2枚組で収録されており、さらに3曲のボーナストラックが追加されるなど、ファンにとって貴重なアーカイブとなっています。
Frequently Asked Questions
このアルバムのタイトル曲はなぜ収録されているのですか?
「Can't Take My Eyes Off You」はもともと1969年のアルバム『Hurt So Bad』に収録されていましたが、ラジオでのヒットを受けて、キャピトル・レコードが本作のタイトル曲として改めて採用しました。
どのようなジャンルの音楽として分類されますか?
主にヴォーカル・ジャズに分類されますが、バカラックなどのポップスやR&Bの要素を巧みに取り入れた構成になっています。
アルバムの制作に関わった主要人物は誰ですか?
プロデューサーはデヴィッド・カヴァノーが務め、編曲と指揮はジミー・ジョーンズとフィル・ライトが担当しました。
リマスター版ではどのような特典がありますか?
2013年にSoulMusic Recordsから発売されたリマスター版では、アルバム『Now I'm a Woman』とのセット収録に加え、3曲のボーナストラックが追加されています。
どのようなアーティストの楽曲がカバーされていますか?
バート・バカラック、レナード・コーエン、ジミー・ウェブ、ライバー&ストラーなど、当時のトップクラスの作曲家・作詞家の楽曲が収録されています。
References
- ↑ "New Album Releases" (PDF). Billboard. March 7, 1970. Retrieved December 4, 2018.
- ↑ Lord, Tom (1992). The jazz discography. Vol. 25. West Vancouver, B.C., Canada. . 30547554.
{{}}: CS1 maint: location missing publisher () - ↑ Campbell, Al. Can't Take My Eyes Off You at
- ↑ Larkin, Colin (2004). "Nancy Wilson". (Rev Upd ed.). Virgin Books. p. 941. .
- ↑ "Pick Hits Album Reviews" (PDF). Record World. March 7, 1970. Retrieved December 4, 2018.
- ↑ . "NANCY WILSON: CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU/NOW I'M A WOMAN EXPANDED EDITION (SMCR-25087)". Archived from the original on December 5, 2018. Retrieved December 4, 2018.
- ↑ "Nancy Wilson Can't Take My Eyes Off You Chart History". Billboard. Retrieved December 3, 2018.
- ↑ "Nancy Wilson Can't Take My Eyes Off You Chart History". Billboard. Archived from the original on July 13, 2023. Retrieved December 3, 2018.
- ↑ "Nancy Wilson – Can't Take My Eye Off You / Now I'm a Woman". Discogs. Retrieved December 3, 2018.