ミスタラ(Mystara)は、世界的に有名なテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』におけるキャンペーン設定の一つです。特に1980年代から90年代にかけて、D&Dの「ベーシック」エディションにおける標準的な舞台として多くのプレイヤーに親しまれました。現実世界の歴史的な文化をベースにした人間国家と、多様な亜人種が共存するこの世界は、冒険者たちに無限の可能性を提供しました。
Key Facts
- 標準設定:1980年代〜90年代のD&Dベーシック版におけるデフォルトの舞台。
- 中心地:「既知の世界(The Known World)」と呼ばれる大陸の東部が物語の主軸。
- 神々の概念:一般的な神ではなく、「昇天した不死者(Immortals)」が世界を司る。
- 多様な世界観:中世ファンタジーから、大航海時代風の「サベージ・コース」、地球内部のような「ホロウ・ワールド」まで包含。
- 開発の起源:ローレンス・シックとトム・モルドヴェイが1974年から個人セッションで構築した世界がベース。
ミスタラの成り立ちと発展
ミスタラの原点は、1974年から1976年にかけてローレンス・シックとトム・モルドヴェイが自身のゲームセッションのために作り上げたファンタジー世界にあります。彼らはH.P.ラヴクラフトの「共有宇宙」という概念に影響を受け、他のプレイヤーが自由に拡張できるよう、あえて「既知の世界(Known World)」という名称を付けました。
その後、シックがTSR社のデザイン部門ディレクターに就任し、モルドヴェイを招き入れたことで、この設定は公式に採用されることになります。当初、AD&D(Advanced Dungeons & Dragons)向けに予約されていた「グレーホーク」設定が使えなかったため、ベーシック版の標準設定として「既知の世界」が承認されました。
「ミスタラ」という正式名称が公式に登場したのは1991年、ブルース・ハードによる雑誌『Dragon』への寄稿がきっかけです。その後、1994年のAD&D第2版への移行に伴い、ロゴと共に正式なブランドとして確立されました。
惑星ミスタラの地理と構造
ミスタラは、地球の約1億3500万年前の超大陸(ローラシアやゴンドワナ)に似た地質構造を持つ惑星です。表面には主にブルン、スコサー、ダバニアの3つの大陸と、アルファティアという島大陸が存在します。
既知の世界(The Known World)
プレイヤーにとって最も馴染み深いのが、ブルン大陸の東部を中心とした「既知の世界」です。ここでは、サイアティアン帝国やカラメイコス大公国、グラントリ公国など、現実の歴史文化を模した多様な統治形態を持つ国家がひしめき合っています。また、エルフのアルフヘイムやドワーフのロックホームなど、種族ごとの国家も存在します。
サベージ・コース(The Savage Coast)
ブルン大陸の中南部に位置するサベージ・コースは、「既知の世界」から西に約2,000マイル離れた辺境の海岸地帯です。ここは中世的な雰囲気よりも「大航海時代」に近い空気感を持ち、火薬武器(スモークパウダー)が登場するなど、独自の文化圏を形成しています。
ホロウ・ワールドとその他の領域
ミスタラには、惑星の内部に存在する「ホロウ・ワールド(空洞世界)」という特異な設定があります。これは「地球空洞説」のような構造になっており、内部の表面に文明が存在します。また、惑星の過去には「ブラックムーア」という高度な文明が存在していましたが、破滅的な大爆発によって消滅し、それが現在の惑星の気候や地形に大きな影響を与えたとされています。
天体と超越者
ミスタラには2つの月が浮かんでいます。一つは地球の月に似た「マテラ」で、人狼などのライカンスロープの活動を支配しており、不死者たちが住む都市パンディウスが存在します。もう一つは、地上からは見えない不可視の月「パテラ(住民にはミヨシマと呼ばれる)」で、中世日本の文化に似た社会が築かれています。
また、この世界で最も特徴的なのは、信仰の対象が「神」ではなく、修行や功績によって次元を超越した「不死者(Immortals)」である点です。プレイヤーキャラクターも、高レベルに達することでこの不死者の階級へと昇進することが可能です。
メディア展開と出版履歴
ミスタラは書籍だけでなく、ビデオゲームや小説でも展開されました。特にカプコンが開発した『Dungeons & Dragons: Tower of Doom』や『Shadow over Mystara』は、日本企業による数少ないD&Dゲームとして知られています。
| コード | タイトル | 対応レベル | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 1011 | Basic Set | 1–3 | 基本的な冒険プロセスの導入 |
| 1012 | Expert Rules | 4–14 | 屋外冒険の拡大と「既知の世界」の提示 |
| 1013 | Companion Rules | 15–25 | 領地経営や大規模戦(ウォーマシン)の導入 |
| 1021 | Master Rules | 26–36 | 帝国運営と世界への影響力行使 |
| 1017 | Immortal Rules | 36+ | 不死者への昇天とマルチバースの探索 |
| 1071 | Rules Cyclopedia | 1–36 | 上記ルールを1冊に統合した決定版 |
Frequently Asked Questions
ミスタラと他のD&D設定(グレーホークなど)との最大の違いは何ですか?
最大の特徴は、伝統的な「神」の代わりに、元人間などの超越的な存在である「不死者(Immortals)」が世界を管理している点です。また、現実世界の多様な歴史文化を色濃く反映した国家群が配置されている点もユニークです。
「既知の世界」とは具体的にどこを指しますか?
主にブルン大陸の東部と、夜明けの海(Sea of Dawn)周辺の島々を指します。初期のモジュール『X1: The Isle of Dread』で提示された地図の範囲が基本となっています。
サベージ・コースではどのような冒険が楽しめますか?
中世ファンタジーよりも、未知の土地を切り拓く「開拓時代」や「大航海時代」のような雰囲気の冒険が楽しめます。火薬武器の使用など、技術レベルが「既知の世界」とは異なるため、異なるゲームプレイ体験が得られます。
ホロウ・ワールドとはどのような場所ですか?
惑星ミスタラの内部に存在する空洞世界のことです。外殻の内側に大地が広がっており、独自の文明や歴史を持つ世界として設定されています。
現在でもミスタラで遊ぶことはできますか?
公式な製品サポートは2000年の第3版リリースまでに終了し、その後はファンサイト(Vaults of Pandiusなど)によるコミュニティベースの運営へと移行しました。しかし、過去の資料やファンメイドのコンテンツを通じて、今でも多くのプレイヤーに愛されています。
References
- Previous 'boxset' versions by (in 1977), and later by (in 1981) were in a generic 'Known World' setting.
- Credited as Paul Jaquays.