1949年に公開された『My Dream Is Yours』は、華やかなテクニカラーで彩られたアメリカのミュージカル・ロマンティック・コメディです。マイケル・カーティス監督の手による本作は、新進気鋭の歌手が成功を掴むまでの道のりと、それに伴う複雑な恋愛模様を軽快に描いています。1934年の作品『Twenty Million Sweethearts』を緩やかにリメイクした本作は、当時のハリウッドらしい娯楽性に満ちた一作となりました。
Key Facts
- 公開日:1949年4月16日
- 主演:ドリス・デイ、ジャック・カーソン、リー・ボウマン
- 監督:マイケル・カーティス(アニメーション部分はフリズ・フレリング)
- 製作・配給:ワーナー・ブラザース
- 特筆点:実写とアニメーションが融合した夢のシーケンスにバッグス・バニーが登場
物語のあらすじ:才能の発見とすれ違う恋心
物語の舞台はロサンゼルス。マネージャーのダグ・ブレイクは、所属していた歌手ゲイリー・ミッチェルに解雇されたことを機に、ラジオ番組『Hour of Enchantment』の新しい主役を探してニューヨークへ向かいます。そこでダグは、ジュークボックス工場でレコードを回して働いていた女性、マーサ・ギブソンに出会い、彼女の類まれなる歌声に目をつけます。
ダグはマーサをロサンゼルスへ連れて行き、富裕なスポンサーであるフェリックス・ホーファーに紹介しようと奔走しますが、事態は思い通りに進まず、多くの誤解が生じます。また、マーサが第二次世界大戦で夫を亡くした未亡人であり、幼い息子フレディを育てていることも明らかになります。
一方で、マーサはゲイリーに惹かれ始めます。ある夜、ゲイリーの家で開かれたパーティーで彼が泥酔し、ラジオ番組で歌えなくなった際、代役として登場したマーサが絶大な成功を収めます。かつての傲慢さゆえに周囲の信頼を失っていたゲイリーでしたが、マーサへの想いを知るダグが彼の復帰を支援します。しかし、ゲイリーは再び元の性格に戻り、マーサを突き放してしまいます。最終的にマーサは、自分を心から支えてくれたダグへの愛に気づき、二人は結ばれることになります。
豪華なキャストと印象的なキャラクター
本作では、ドリス・デイが天真爛漫な歌姫マーサを演じ、その歌唱力で作品を牽引しています。また、ダグ役のジャック・カーソンやゲイリー役のリー・ボウマンに加え、名脇役のイヴ・アーデンが重要な役割を担っています。
特にイヴ・アーデンが演じるヴィヴィアン・マーティンは、ラジオ番組の有能なプロフェッショナルとして描かれています。彼女はダグに資金的な援助を行い、マーサ親子を自宅に住まわせるなど、非常に献身的な一面を見せます。マーサのキャリアを後押しするために自身のミンクコートを売却するシーンは、彼女のキャラクターの深みを強調しています。
音楽とアニメーションの融合
音楽面では、ハリー・ウォーレンが作曲し、主にラルフ・ブレインが作詞を手掛けました。劇中では「My Dream Is Yours」や「Someone Like You」などの楽曲が披露され、特に後者は後にエラ・フィッツジェラルドやペギー・リーによってもカバーされる名曲となりました。
また、本作の最大の見どころの一つが、実写とアニメーションを組み合わせた幻想的な夢のシーケンスです。イースターをテーマにしたこの場面では、俳優たちがウサギの衣装を身にまとい、ワーナーの名キャラクターであるバッグス・バニーやトゥイーティーが登場します。バッグス・バニーがジャック・カーソンやドリス・デイと共に『ハンガリー狂詩曲第2番』に合わせて踊る演出は、当時の観客に強い印象を残しました。
作品データまとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 上映時間 | 101分 |
| 製作予算 | 約200万ドル |
| 興行収入 | 国内199.4万ドル / 海外74.8万ドル |
| 言語 | 英語 |
| 製作国 | アメリカ合衆国 |
批評と後世への影響
公開当時の批評は賛否が分かれました。『タイム』誌や『ニューヨーク・タイムズ』などは、物語が使い古されたテーマであると厳しく評しましたが、ドリス・デイの歌唱力やイヴ・アーデンの鋭いコメディ演技については高く評価しました。
しかし、後年の視点からは異なる評価がなされています。映画監督のマーティン・スコセッシは、自身のドキュメンタリーの中で、この作品が1977年の映画『ニューヨーク・ニューヨーク』に影響を与えたことを明かしています。
Frequently Asked Questions
この映画はリメイク作品ですか?
はい。1934年の映画『Twenty Million Sweethearts』を緩やかにリメイクした作品です。また、ジュークボックス工場で働く歌手という設定は、1944年の『Swing Hostess』という作品とも共通点があります。
アニメーションキャラクターは誰が登場しますか?
ワーナー・ブラザースの代表的なキャラクターであるバッグス・バニーとトゥイーティーが登場します。特にバッグス・バニーが主演俳優たちと一緒に踊るシーンが有名です。
ドリス・デイ以外の注目すべき俳優は誰ですか?
イヴ・アーデンが演じるヴィヴィアン役が非常に高く評価されています。彼女の完璧なコメディの間(タイミング)と、自立したプロフェッショナルな女性像が作品に彩りを添えています。
劇中の音楽に特徴はありますか?
ハリー・ウォーレンとラルフ・ブレインによる楽曲が多く、ジャズやポップスの要素を取り入れています。また、「Tic, Tic, Tic」というガイガーカウンター(放射線測定器)をテーマにしたユニークな楽曲も含まれています。
興行成績はどうでしたか?
国内で約199万ドル、海外で約75万ドルの収入を上げました。製作予算が約200万ドルであったため、商業的に大きな成功を収めたとは言い難いものの、一定の収益を上げています。
References
- Variety 18 February 1948 p 14
- Warner Bros financial information in The William Schaefer Ledger. See "Appendix 1". Historical Journal of Film, Radio and Television. 15 (sup1): 1–31. January 1995. :10.1080/01439689508604551.
- "Top-Grossers of 1949". Variety. January 4, 1950. p. 59.
- "AFI|Catalog".
- Hemming (1999), p. 298
- "DorisDayMagic.com". July 26, 2017.
- Christopher Young (January 1, 1977). The Films of Doris Day. Citadel Press. .
- J. Wilfred Johnson (August 5, 2010). Ella Fitzgerald: An Annotated Discography; Including a Complete Discography of Chick Webb. McFarland. pp. 128–. .
- Mark Lewisohn (October 29, 2013). Tune In: The Beatles: All These Years. Crown/Archetype. pp. 1350–. .
- Tucker (2012), p. 107-109