1963年に公開された『ムーブ・オーバー・ダーリン』は、豪華キャストと予測不能な展開が魅力のアメリカン・ロマンティック・コメディです。ドリス・デイとジェームズ・ガーナーという当時のトップスターが共演し、シネマスコープとデラックス・カラーで描かれる鮮やかな映像美が特徴的な作品です。
本作は、単なるラブコメディに留まらず、制作過程における数々のドラマや、古典的な文学作品へのオマージュが込められた、映画史的にも興味深い背景を持つ一本です。
Key Facts
- 主演:ドリス・デイ、ジェームズ・ガーナー、ポリー・バーゲン
- 監督:マイケル・ゴードン
- 公開日:1963年12月25日(米国)
- 興行収入:約1,270万ドル(当時の製作費335万ドルを大幅に上回るヒット)
- 原作背景:1864年の詩『エノック・アーデン』をベースにした物語
- 特筆点:マリリン・モンロー主演で計画されていた未完のプロジェクトを再構築して完成した
波乱万丈なストーリー展開
物語の主人公は、弁護士のニック・アーデン。彼は5年前に飛行機事故で太平洋に消え、死亡したとされる妻エレンの死亡宣告を法的に確定させようとしていました。その後、精神分析医のビアンカと再婚し、幸せな新婚旅行へと出発します。
しかし、運命のいたずらか、ニックが再婚したその日に、無人島で生存していたエレンが米海軍の潜水艦によって救出され、ロサンゼルスに帰還します。自分の知らない間に夫が再婚していたことを知ったエレンは、彼らの新婚旅行先であるホテルへと向かい、ニックの前に姿を現します。
再会に歓喜するニックでしたが、そこには新妻ビアンカの存在がありました。さらに、エレンが無人島で過ごした5年間、ある男性(スティーブン・バーケット)と共にいたことが判明し、ニックの嫉妬心に火がつきます。嘘と誤解が積み重なる中、物語は重婚罪の疑いによる法廷劇へと発展し、大混乱の末に真実の愛が試されることになります。
制作の舞台裏と数々のエピソード
本作の制作過程は、映画の内容以上にドラマチックでした。もともとはジョージ・キューカー監督、マリリン・モンロー主演の『Something's Got to Give』として撮影が始まっていましたが、モンローの欠席が相次ぎ、さらに彼女の急逝という悲劇に見舞われたため、プロジェクトは中断されました。
20th Century Fox社は、すでに投じた多額の予算とセットを有効活用するため、監督とキャストを刷新して本作を完成させました。唯一、テルマ・リッターだけが前作から続投しています。
撮影中のエピソードとして、マッサージシーンでジェームズ・ガーナーが誤ってドリス・デイの肋骨を折ってしまったことが挙げられます。また、ドリス・デイの肌への影響を懸念し、洗車機の中に入るシーンは撮影の最終日に設定されるなど、主演女優への細やかな配慮がなされていました。
作品概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 配給 | 20世紀フォックス |
| 上映時間 | 103分 |
| 予算 / 興行収入 | 335万ドル / 1,270万ドル |
| 主な受賞・ノミネート | 第21回ゴールデングローブ賞 主演女優賞ノミネート(ドリス・デイ) |
| 音楽 | ライオネル・ニューマン(劇伴)、ドリス・デイ(主題歌) |
評価とレガシー
公開当時の批評は賛否が分かれ、一部では演技が過剰であるとの指摘もありました。しかし、近年の再評価では、無駄のない構成とプロフェッショナルな演技が高く評価されており、純粋に楽しめるエンターテインメント作品として愛されています。
また、本作のヒットは、映画『クレオパトラ』で巨額の損失を出していた20世紀フォックス社の財政状況を救う一助となったという、ビジネス面での重要な役割も果たしました。
Frequently Asked Questions
この映画はリメイク作品ですか?
はい。1940年に公開されたスクリューボール・コメディ映画『マイ・フェイバリット・ワイフ(My Favorite Wife)』のリメイク作品です。
物語の元となった原作はありますか?
アルフレッド・テニソンの1864年の詩『エノック・アーデン(Enoch Arden)』がベースとなっており、登場人物の姓「アーデン」もここから由来しています。
マリリン・モンローとの関係は?
当初はモンロー主演で制作されていましたが、彼女の急逝により未完に終わりました。その後、キャストと監督を変更して作り直されたのが本作です。
ドリス・デイが歌っている曲はありますか?
オープニングで歌われる主題歌「Move Over Darling」や、子供たちに歌う「Twinkle Lullaby」など、彼女の歌声を堪能できるシーンがあります。
映画の結末はどうなりますか?
法廷での混乱を経て、ニックとビアンカの結婚は解消され、エレンが法的に生存していることが認められます。最終的にニックとエレン、そして子供たちが幸せに再会して物語は締めくくられます。
References
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- "Box Office Information for Move Over, Darling". . Retrieved September 5, 2013.
- Reid, John Howard (2006). Cinemascope 3: Hollywood Takes the Plunge. . p. 170.
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- Heal, Sue. "Move Over, Darling". . Retrieved December 21, 2018.