マートン通り:オックスフォードの歴史と学術的薫り漂う石畳の道

イギリスの学術都市オックスフォードの中心部に位置するマートン通り(Merton Street)は、古き良き時代の面影を色濃く残す石畳の通りです。ハイ・ストリートの南側に並行して走るこの道は、世界的に有名なカレッジに囲まれ、静謐ながらも知的なエネルギーに満ちた空間となっています。

主要な事実(Key Facts)

  • 立地:オックスフォード中心部、ハイ・ストリートの南側に位置する東西方向の通り。
  • 特徴:伝統的な石畳の路面(一部アスファルトで補修済み)で、現在はA420道路に指定されている。
  • 隣接施設:マートン・カレッジ、コーパス・クリスティ・カレッジ、クライスト・チャーチ、ユニバーシティ・カレッジなどの名門校が面している。
  • 希少施設:現存する数少ない「リアル・テニス(伝統的なテニス)」のコートがある。
  • 著名な居住者:J.R.R.トールキンやジークフリート・サッスーンなどの文豪・学者がかつて居住していた。

地理的構成と周辺環境

マートン通りの北東端は、歴史的な市門があるイーストゲート・ホテルと、ラスキン美術学校および試験学校(Examination Schools)の間に位置し、ハイ・ストリートへと繋がっています。ここから西に向かって伸びる通りは、オックスフォードを代表する複数のカレッジの玄関口となっています。

通りの南側には、市内で最も古い歴史を持つカレッジの一つであるマートン・カレッジが構え、その西側には小規模ながらも美しいコーパス・クリスティ・カレッジが隣接しています。さらに西の終点であるオリエル・スクエアに至ると、市内最大規模を誇るクライスト・チャーチへの入り口が現れます。

また、東端には「ピンクハウス」として知られる建物や、ユニバーシティ・カレッジへの入り口があります。通りからは北へ向かってロジック・レーンやマグパイ・レーンという狭い路地が分岐しており、南側にはマートン・グローブを通じてクライスト・チャーチ・メドウ(広大な草原地帯)へ歩いてアクセスすることが可能です。

交通面では、ハイ・ストリートが一般車両に制限されているため、この通りはA420という主要道路の役割を担っています。伝統的な石畳の景観が維持されていますが、市議会による一部のアスファルト補修が行われています。

変遷する名称と歴史

現在の「マートン通り」という名称に統一されるまでには、長い時間をかけて複数の名前が使い分けられてきました。ハイ・ストリートに接する部分は、かつて西側にあったパブにちなんで「コーチ&ホーセズ・レーン(Coach & Horses Lane)」と呼ばれ、18世紀初頭から19世紀後半にかけては「キング・ストリート(King Street)」と称されていました。

一方、東西に走る主要部分は、現在はマートン・カレッジの礼拝堂となっている教会に由来し、「セント・ジョン・バプティスト・ストリート(St John Baptist's Street)」と呼ばれていました。1751年には通り全体がキング・ストリートと呼ばれた時期もありましたが、1772年頃には東西部分が「マートン通り」として定着し、20世紀に入ってようやく通り全体がこの名称で統一されました。

この地に足跡を残した著名人

学術と芸術の街であるため、多くの知識人がこの通りに居を構えました。1919年には、詩人のジークフリート・サッスーンがレディ・オットリン・モレルの勧めで14番地に短期間滞在しました。また、1950年代初頭には歴史家のマイケル・ブロックとその妻エレノアが居住していました。

特に特筆すべきは、『指輪物語』の著者として知られるJ.R.R.トールキンです。彼は1970年代初頭、人生の晩年をこのマートン通りにある部屋で過ごしました。

マートン通りの概要まとめ

マートン通りの基本情報
項目 詳細
所在地 イギリス、オックスフォード(郵便番号 OX1)
道路区分 A420
主な隣接カレッジ マートン、コーパス・クリスティ、クライスト・チャーチ、ユニバーシティ
歴史的な名称 キング・ストリート、セント・ジョン・バプティスト・ストリート等
特筆すべき施設 リアル・テニスコート

Frequently Asked Questions

マートン通りにはどのようなカレッジがありますか?

マートン・カレッジ、コーパス・クリスティ・カレッジ、クライスト・チャーチ、そしてユニバーシティ・カレッジの入り口などがこの通りに面しています。

この通りの路面はどのような素材でできていますか?

伝統的な石畳(コブルストーン)で構成されていますが、オックスフォード市議会による補修のため、一部にアスファルトが使用されています。

どのような著名人がここに住んでいましたか?

作家のJ.R.R.トールキンや、詩人のジークフリート・サッスーン、歴史家のマイケル・ブロックなどがかつてこの通りに居住していました。

「リアル・テニス」のコートとは何ですか?

現代のテニスの原型となった伝統的な形式のテニスが行われるコートのことで、マートン通りにあるものは現存する非常に希少な例の一つです。

通りの名前は昔から「マートン通り」だったのでしょうか?

いいえ。かつてはキング・ストリートやセント・ジョン・バプティスト・ストリートなど複数の名称があり、通り全体がマートン通りと呼ばれるようになったのは20世紀になってからです。