← ホームへ戻る
火星ソルMarsSolNASA

火星の1日「ソル」とは?地球との時間差やNASAの運用ルールを解説

🗓 2026年8月11日

地球で暮らす私たちにとって「1日」とは約24時間のサイクルを指しますが、赤い惑星・火星では異なる時間の尺度が使われています。火星における太陽日の単位はソル(Sol)と呼ばれ、ラテン語で太陽を意味する言葉に由来しています。これは火星の観測者が、太陽が同じ子午線に戻ってくるまでにかかる時間を計測したものです。

Key Facts

  • 1ソルの長さ: 約24時間39分35秒(地球より約39分長い)
  • 火星の1年: 約668.6ソル(地球の日数で約687日)
  • 導入時期: 1976年のバイキング着陸船ミッションから採用
  • 主な用途: NASAによる火星探査機(ローバーなど)のスケジュール管理

火星の自転と時間のメカニズム

火星の1日は地球よりもわずかに長く、平均して24時間39分35.244秒(地球日の約1.027倍)です。ここで興味深いのは、火星の恒星日(固定された星を基準とした自転周期)が24時間37分22.66秒である点です。

なぜ太陽日(ソル)の方が恒星日より長いのかというと、火星の自転方向が公転方向と同じであるためです。自転して1周しても、公転によって位置が移動しているため、再び太陽を同じ位置に見つけるにはさらに時間がかかるという仕組みになっています。

NASAによる時間計測と運用ルール

NASAが火星探査機を運用する際、着陸後の経過日数を数値でカウントします。しかし、着陸した日を「ソル0」とするか「ソル1」とするかは、ミッションによって異なります。

一般的に、実質的な運用が開始される「意味のある1日目」をソル1とする基準が設けられています。そのため、火星の1日の終盤に着陸した機体(バイキング、フェニックス、キュリオシティ、インサイト、パーサヴィアランスなど)は着陸日をソル0と数え、1日の早い時間に着陸した機体(パスファインダーやMER探査機など)はソル1からカウントを開始しました。

また、同時に2機の探査機を運用した場合でも、必ずしもソルカウントを同期させるとは限りません。例えばスピリットとオポチュニティは、それぞれが着陸日をソル1としたため、カレンダー上で約21ソルのズレが生じていました。

火星独自の時間用語と文化

火星探査の現場では、地球の言葉をベースにした独自の造語が生まれました。2003年のMERミッション中にNASAの運用チームが考案したyestersol(イエスターソル)は、「昨日のソル」を意味し、その後メディアでも使われるようになりました。

他にも、以下のような用語が存在します。

  • tosol(トソル):火星の今日
  • nextersol / morrowsol / solmorrow:火星の明日
  • soliday(ソリデイ):惑星間のスケジュール調整などで発生する休日

地球時間への変換と時計の工夫

将来的な火星移住を想定し、「ソルをどう地球時間に変換するか」という議論があります。SF小説『火星三部作』(キム・スタンリー・ロビンソン著)やフィリップ・K・ディックの作品では、地球の時計を使いつつ、深夜に約39分40秒間だけ針を止めることで時間差を調整するというユニークな手法が描かれています。

現実の世界でも、スピリット・ミッションのために、1日あたり10秒以内の誤差で火星時間を刻む機械式時計が特注されました。また、2022年にはオメガ社が、地球時間と火星時間の両方を表示できるデジタル・アナログハイブリッド時計を一般販売しています。

項目 火星 (Sol) 地球 (Day)
1日の長さ 約24時間39分35秒 24時間
1年の長さ 約668.6ソル 約365.25日
地球換算の1年 約687日 (1.88年) 1年

Frequently Asked Questions

ソル(Sol)とは具体的に何を指しますか?

火星における太陽日のことで、火星の表面にいる観測者が、太陽が南中してから次に南中するまでの時間を指します。

なぜ火星の1日は地球より長いのですか?

火星の自転速度が地球よりもわずかに遅いためです。平均して地球より約39分ほど長いサイクルとなっています。

NASAはなぜ「ソル0」と「ソル1」を使い分けるのですか?

着陸した時刻によって、その日に十分な活動ができるかどうかが異なるためです。実質的な運用開始日を「ソル1」とするため、着陸時刻に応じて開始番号を調整しています。

「yestersol」とはどういう意味ですか?

英語の「yesterday(昨日)」と「sol」を組み合わせた造語で、火星における「前日」を意味します。NASAの運用チームによって作られました。

火星時間を刻む時計は実在しますか?

はい。過去にミッションチーム向けに特注されたほか、現在はオメガ社などのメーカーが火星時間を計測できるハイブリッド時計を販売しています。

References

  1. "Mars' Calendar".
  2. Snyder, Conway W. (1979). "The extended mission of Viking". Journal of Geophysical Research. 84 (B14): 7917–7933. :1979JGR....84.7917S. :10.1029/JB084iB14p07917.
  3. Allison, Michael; Schmunk, Robert (30 June 2015). "Technical Notes on Mars Solar Time as Adopted by the Mars24 Sunclock". . . Retrieved 13 June 2018.
  4. Allison, Michael (15 August 1997). "Accurate analytic representations of solar time and seasons on Mars with applications to the Pathfinder/Surveyor missions". . 24 (16): 1967–1970. :1997GeoRL..24.1967A. :10.1029/97GL01950.
  5. Belloni, Mario; Timberlake, Todd (2014). "Sidereal and Solar Day JS Model". compadre.org. .
  6. "Phoenix Mars Mission - Mission - Mission Phases - On Mars". Phoenix.lpl.arizona.edu. 29 February 2008. Archived from the original on 8 February 2012. Retrieved 13 July 2012.
  7. Rusch, Elizabeth (2012). The Mighty Mars Rovers: The Incredible Adventures of Spirit and Opportunity. HMH Books.  .
  8. Chang, Alicia (3 August 2012). "MSL? EDL? A guide to NASA's Mars rover lingo". . Retrieved 19 June 2020. Yesterday on Mars is yestersol.
  9. Martínez-Frías, Jesús (28 September 2002). "Marte: 'yestersol', 'tosol' y 'solmorrow'" [Mars: 'yestersol', 'tosol', and 'solmorrow']. El Mundo (in Spanish). Madrid, Spain: Unidad Editorial S.A. Retrieved 23 April 2014.
  10. "MSL abbreviations and acronyms". an.rsl.wustl.edu. 31 October 2012. Retrieved 19 December 2015.