2025年、ニュージーランドでは地方選挙と並行して、地方議会におけるマオリ選挙区(Māori wards/constituencies)の設置継続を問う住民投票が実施されました。これは、先住民族であるマオリの政治的代表権を確保するための専用議席を維持するか、あるいは廃止するかを住民が直接判断する重要なプロセスとなりました。
この投票は、2025年9月9日から10月11日にかけて行われ、計37の地方評議会と5の地域評議会、合わせて42の自治体で実施されました。結果として、自治体数では廃止を支持する側が上回りましたが、総得票数では維持を求める声が上回るという、対照的な構図が浮かび上がりました。
Key Facts
- 実施規模:計42の評議会(地方37、地域5)で実施。
- 最終結果:18の評議会が「維持」を決定し、24の評議会が「廃止」を決定。
- 得票の乖離:自治体数では廃止が多かったが、総得票数では「維持」が「廃止」を約7万5,000票上回った。
- 投票率:登録有権者1,469,552人のうち1,078,949人が投票し、投票率は73.42%に達した。
- 法的背景:国民党主導の連立政権による2024年の法改正により、マオリ選挙区の設置には住民投票が必須となった。
住民投票に至った背景と法的経緯
今回の住民投票は、2024年に成立した「地方政府(選挙法およびマオリ選挙区・マオリ選挙区)改正法」に基づいています。以前の労働党政権下では、住民投票なしでマオリ選挙区を導入することが可能でしたが、新政権はこの要件を復活させました。これにより、住民投票を経ずに選挙区を導入していた自治体は、2025年の選挙時に継続を問う投票を行うことが義務付けられました。
多くの自治体がこの要件に従いましたが、一部の評議会は法的助言を求め、政府の要求を無視する可能性を検討しました。また、タウランガ市議会のように、直近(2024年)に選挙を実施していたため、今回の投票対象から外れたケースもありました。なお、これら一連の住民投票にかかった費用は200万ドルを超えると試算されています。
賛否両論:代表権と民主主義の対立
維持を支持する主張:社会的公正と代表権
維持派の主な論点は、「公平性(Equity)」と歴史的な代表権の不足です。人権委員会の報告書では、マオリが人口の15%を占める一方で、2007年の当選者のうちマオリはわずか5%に留まっていたことが指摘されており、植民地化による構造的な不平等の解消が必要であると主張されています。
また、マオリ選挙区の導入によって、地方議会とイウィ(部族)グループとの間に建設的な関係が構築されたという実例も挙げられています。さらに、ワイタンギ審判所は、今回の法改正(住民投票の義務化)がワイタンギ条約に直接違反しているとの判断を下しています。

廃止を支持する主張:平等な権利と民主主義
一方で廃止派は、特定のグループに専用の議席を設けることは、すべての市民が平等に投票し代表されるという民主主義の基本原則に反すると主張しています。過去の住民投票(例:2015年のファーノース地区)でも、マオリ選挙区に反対する票が上回る傾向が見られました。
投票結果のまとめ
全体の集計では、維持を支持した票が過半数(50.25%)に達しましたが、自治体ごとの判定では廃止が上回る結果となりました。これは、人口密集地での強い維持支持と、地方圏での廃止支持という地域的な分断を示唆しています。
| 選択肢 | 評議会数 | 得票数 | 得票率 (%) |
|---|---|---|---|
| 維持 (Keep) | 18 | 542,134 | 50.25 |
| 廃止 (Remove) | 24 | 467,923 | 43.37 |
| 白票 (Blank) | - | 68,586 | 6.36 |
| 無効 (Informal) | - | 306 | 0.02 |
Frequently Asked Questions
なぜ2025年にこの住民投票が行われたのですか?
国民党主導の連立政権が2024年に法改正を行い、マオリ選挙区を設置・維持するためには住民投票による承認が必要であるというルールを再導入したためです。
総得票数では「維持」が多かったのに、なぜ「廃止」した自治体の方が多いのですか?
これは、一部の人口の多い都市部(ウェリントン市など)で「維持」への支持が非常に高く、得票数を押し上げた一方で、多くの小規模な地方自治体では「廃止」が支持されたためです。
マオリ選挙区を支持する主な理由は 무엇입니까?
主に、人口比に見合った政治的代表権を確保し、歴史的な不平等を解消して、地方行政におけるマオリの声を確実に反映させるためです。
この住民投票に反対していた政治団体はありますか?
ACTニュージーランドなどの政党や、ホブソンズ・プレッジ(Hobson's Pledge)などの団体が、平等な権利の観点から廃止を支持し、キャンペーンを展開しました。
投票の結果、すべてのマオリ選挙区がなくなったわけではないのですか?
いいえ。18の評議会では「維持」が決定したため、それらの地域では引き続きマオリ専用の議席が設けられます。
References
- Māori for "young people"